たく卵の習性がある恐竜はいますか?/宇宙空間に上下はありますか?

24/05/05まで

子ども科学電話相談

放送日:2024/03/10

#子ども科学電話相談#サイエンス#SDGs#恐竜#天文・宇宙

11時台を聴く
24/05/05まで

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いまいあやかさん(中学3年生・北海道)と、いまいさやかさん(中学3年生・北海道)からの質問に、「恐竜」の小林快次先生と、「科学」の藤田貢崇先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
小林先生:小林快次先生(北海道大学総合博物館教授)
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
田中先生:田中理恵子先生(埼玉県こども動物自然公園園長)
あやかさん:質問者
さやかさん:質問者

祖父母も聞いて喜んでくれたかな

――「中学3年生、最後に聞いちゃおう」のコーナーです。 「子ども科学電話相談」では、中学3年生までの皆さんの質問を受け付けています。この春卒業を迎える中学3年生に最後の質問をしてもらうとともに、番組の思い出をお聞きします。きょう電話でお話ししてくれるのは、北海道の双子の姉妹のお二人です。こんにちは。

あやかさんさやかさん:
こんにちはー。

――お名前をお願いします。

あやかさん:
あやかです。

さやかさん:
さやかです。

――お二人とも中学3年生で、これまでもたくさん質問を送ってくれました。高校受験を終えて発表待ちという中で出演してくださって、ありがとうございます。初めて質問を送ってくれたきっかけとか、覚えていますか。

あやかさん:
石川県にいるおじいちゃんとおばあちゃんが、夏休みに甲子園の高校野球を聞くのが習慣だったらしくて、それが始まる前に「夏休み子ども科学電話相談」をやっていて、おもしろいから聞いてみたらって言われて、おじいちゃんとおばあちゃんが喜んでくれるかなと思って質問を送りました。

――そうなんだ。でも、これだっていう質問、パッと浮かぶんですか。

あやかさん:
ふだんちょっと言ったこととかを、お母さんが「質問に使えるんじゃない?」と言ってくれて、それをメモ帳みたいなものに書いてためて送っていました。

――メモを作っていたんだ。

あやかさん:
はい。

たく卵の習性がある恐竜は?

――あやかさんとさやかさんに、中学3年生の最後の質問をしていただきたいと思います。さやかさんは「恐竜」の質問をしたいということですが、これまで恐竜の質問をしたことがなかったんですね。

さやかさん:
はい。

――なかなか機会がなかった?

さやかさん:
もともと恐竜のことはそんなに詳しくなかったんですけど、「子ども科学電話相談」を聞いていたら詳しくなって、それで私もテレビを見たりして恐竜が好きになって、本を読んだり「恐竜博」も2回くらい行ったんですけど、恐竜の質問を出すときに他にも科学とか疑問を持っちゃって、そっちのほうの疑問が先に出てきてしまってなかなか恐竜の質問が……。

――そうでしたか。この番組を聞いて恐竜に興味を持ってくれたというのは、うれしいですねぇ。これが最後の質問ですが恐竜の質問は初めてということですね。では質問をお願いします。

さやかさん:
恐竜は鳥のように、たく卵の習性はありますか? 例えばブラキオサウルスとマメンチサウルスみたいに似ている恐竜の場合、だまされて育てた化石が見つかっていますか?

――小林先生、お願いします。

小林先生:
「たく卵」をちょっと説明してくれる? どういう行動なのか。

さやかさん:
今の鳥でもあって、カッコウやホトトギスとかが自分で巣を作らずに、他の種類の鳥の巣に自分の卵を産みつけて育てさせるという習性で、自分では育児せず相手に任せっきりというものです。

小林先生:
ということは、ブラキオサウルスやマメンチサウルスは育児をしていたと思う? 子どもを育てていたと思う?

さやかさん:
たぶん体が大きいからできないと思うんですけど、ブラキオサウルスとマメンチサウルスはちょっと例が悪かったと思うんですけど……。

小林先生:
じゃあ、子育てをした恐竜はどんなのがいるか、知ってるかな?

さやかさん:
ハドロサウルスとか巨大植物食恐竜。竜脚類みたいなやつは、卵を踏んじゃうから卵を育てることはできないというのがあって、だからたぶんブラキオサウルスは駄目なんだと思うんですけど。

小林先生:
子育てしている恐竜で考えたらおもしろいと思うんだけど、先に答えを言うと、今のところ、間違いなくたく卵をしていたという化石はないです。“間違いなく”というのはね。ただ、中国とかで見つかっていたり、ポルトガルでは確かワニの卵が恐竜の巣の中にあったとか、これは田中康平先生に聞くのが一番いいんだけどね。でも“間違いなく”たく卵していたという証拠はないです。

さやかさん:
あぁ……。

小林先生:
ただ、子育てしていた恐竜でちょっと調べてもらって、もしかしたらその恐竜の種類であれば、要はそこに卵を産んで育ててもらうと考えたときには、あるかもしれないんです。実際、確か中国のやつもハドロサウルスの卵だったような気がするんですけど。

さやかさん:
おーっ!

小林先生:
子育てにからむので、そこからもしかしたらたく卵の証拠、化石というのが将来見つかるかもしれない。さやかさんから今アイデアをもらったので、ことしの夏も先生、恐竜の発掘に行くんだけど、そういう目線でちょっと探してみたいと思います。

さやかさん:
ありがとうございます! おぉ~。

――電話の向こうで拍手してますねぇ。あやかさんも恐竜が好きなんですか。

あやかさん:
はい。

――そうなんだ。将来的には恐竜のことも勉強してみたいなと思っていたりするんですか。

さやかさん:
はい。二人とも恐竜を研究する職業に就きたくて、私は北海道大学に行って、恐竜の化石発掘をしたり恐竜の色のこととか恐竜の絶滅の謎とか、わかっていないことを研究したいです。

――と、さやかさんがおっしゃっていますよ、先生。

小林先生:
いいですねぇ。まだまだやることがいっぱいあるから、北海道大学に来て一緒に楽しく調査と研究ができたらいいなと先生も思っています。

さやかさん:
はい、ありがとうございます。

――頼もしい次世代が誕生していますね。

宇宙空間に上下はある?

――続いて、あやかさんの質問です。どのジャンルでしょう。

あやかさん:
「科学」でお願いします。

――では質問をお願いします。

あやかさん:
宇宙空間で、右とか左はわかりそうですけど、上とか下ってありますか?

――藤田先生、いかがでしょうか。

藤田先生:
はい。あやかさん、さやかさん、こんにちは。

あやかさんさやかさん:
こんにちは~。

藤田先生:
宇宙空間で上とか下はどうやって決めるのかということですけど、あやかさん、日常生活では、下はどっちですか?

あやかさん:
下は、足があるほうです。

藤田先生:
足があるほうが下になりますね。じゃあ、右とか左はパッと決まる?

あやかさん:
右左は、私は右利きなのでお箸を持つほうが右です。

藤田先生:
なるほど、お箸を持つほうが右。そういうふうにきちんと答えられますよね。私たちの日常空間と宇宙空間が大きく違うのは、たぶん知っていると思いますけど、宇宙空間に行ったら何が違うんでしょうね。一番大きな違いの1つは何でしょう?

あやかさん:
宇宙空間に行ったら歩けない。

藤田先生:
うまく歩けないですよね。それはどうしてかというと?

あやかさん:
重力がない。

藤田先生:
重力がないですよね。重力が地球と比べるとものすごく小さくなってしまうんですね。そうすると、私たちは日常生活で上とか下とかを無意識に決めているけれど、下というのは、地球に引っ張られている方向を下というふうに考えているんです。

あやかさん:
あぁ。

藤田先生:
右とか左は、あやかさんが右と言ったら、たぶん正面がもう決まっているわけですよね。目の方向が向こう側で、そうすると右は、右手を上げれば右手だよってなりますよね。

あやかさん:
はい。

藤田先生:
でもその右を決めるときに、目の前というのを暗黙のうちに、気がつかないうちに正面に捉えているから、右というのがわかるわけです。 右とか左とか上とか下って、何か基準が決まらないと次が決まらないんです。

あやかさん:
あぁ。

藤田先生:
宇宙空間に行ったとき、重力を感じられない場所に行ってしまうと、日常的な上下は決まらなくなっちゃうんです。決まらないというよりも、上とか下という言葉自体に、もう意味がなくなっちゃうんです。

あやかさん:
えーっ!?

藤田先生:
何か基準があるから上、基準があるから下だけど、基準がないとどうにもならないんですね。例えば、「あやかさんは若いです」と言ったときに、「若い」というのは何に比べて若いのかを決めないといけないですよね。

あやかさん:
確かに。

藤田先生:
科学は、何か基準がないとどうにも話ができないことがいっぱいあるんです。あやかさんは、たぶん数学の時間にグラフを作ると思うんですけど、グラフはX軸とY軸がありますよね。それで初めて書けますよね。

あやかさん:
はい。

藤田先生:
中学生までだと、私たちはグラフとか軸とかっていうと、X軸とY軸という直角に交わったものしか学ばないんです。でもこれからどんどん勉強していくと、それだけで軸をとるわけじゃないことがわかってくるんですね。

あやかさん:
へぇー。

藤田先生:
例えば地球で星の動きを研究するときに、赤経・赤緯(せっけい・せきい)という考え方があります。北極星の方向がありますよね。それを1つの軸にとる考え方で、そういうのを赤経・赤緯といいます。それとまた全く別のとり方で、太陽系が銀河系の中にありますよね。その銀河系の円盤を1つの基準にしてとる、銀経・銀緯という考え方もあります。

あやかさん:
へぇー。

藤田先生:
何か基準を決めて表してあげないと意味がないということがあって、宇宙空間での上下というのは、そういう1つの例ですね。だから何か基準を決めれば、上下というのが宇宙空間でも意味はあるけれど、それを決めない限りは、何の意味もなくなっちゃうんです。でも何か基準を決めれば大丈夫です。太陽の方向を上にしようとか、地球の方向を下にしようというふうになったら、あやかさんの言ってくれた上下の意味が初めて出てくる。決めないと、何にもわからないということですね。

あやかさん:
なるほど。

――どうでしょう、あやかさん。

あやかさん:
なんか……すごいですね。

――地球上での上とか下とかは基準があるけれど、違う空間に行ったらまた違う基準が……。

藤田先生:
基準を作らないといけないということですね。それはとても大事なことで、科学は全て基準をきっちり決めます。人によって基準が違ったら大変ですよね。ルールを決めるということが、一番先にあるんです。

あやかさん:
あぁ……。

――あやかさん、どうですか、わかりましたか?

あやかさん:
はい、わかりました。

「当たり前」と思うことが多いけど

――まもなく卒業するあやかさんとさやかさんから、今この番組を聞いてくれているお友達に、メッセージをいただけますか。

あやかさん:
科学というとすごく難しそうだしわからないかなと思うけど、身近なところに不思議なことがたくさんあるので、科学は難しいんじゃなくて楽しいものだから、いろいろな質問とか聞いてみてほしいなと思いました。

――ありがとうございます。さやかさん、お願いします。

さやかさん:
あやかが昔質問した、「お花が枯れるのはどうして?」というのもそうなんですけど、お花って枯れるものだというのを結構普通に当たり前だと思っていることが多いんですけど、それを当たり前だと思わないで、「どうして?」と疑問に思うことを大切にしてほしいです。

――ありがとうございます。先生方からもお二人にメッセージをいただきたいと思います。藤田先生、お願いします。

藤田先生:
質問の内容も、具体的なものから上とか下とかっていう抽象的なものに変わっていって、少しずつ考え方が進化しているところがとても頼もしいと思いました。ぜひこれからも、いつも質問を思いながら生活してほしいなと思います。

――ありがとうございます。小林先生、お願いします。

小林先生:
北海道大学を目指しているということなので、コツは、「“勉強”しないでください」。学問を、楽しむ。学ぶことって楽しいから、今の興味を継続すれば北大に行けます。北大でお会いしましょう。

あやかさんさやかさん:
はい、お会いしましょう!

――「動物」の田中理恵子先生からもメッセージをお願いいたします。

田中先生:
あやかさん、さやかさん、本当にすばらしいと思います。疑問の持ち方とか楽しむという気持ち、私も改めて勉強になりました。これからも頑張ってください。

あやかさんさやかさん:
ありがとうございます。

――あやかさん、さやかさん、きょうはありがとうございました。中学卒業おめでとうございます。(拍手)

あやかさんさやかさん:
ありがとうございます。

――高校に行っても聞いてくださいね。ありがとうございました。さようなら。

あやかさんさやかさん:
さよなら~。


【放送】
2024/03/10 「子ども科学電話相談」

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