いずもとしずくさん(小学1年生・愛知県)からの質問に、「昆虫」の小松貴先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)
【出演者】
小松先生:小松貴先生(昆虫学者)
しずくさん:質問者
――お名前を教えてください。
しずくさん:
しずくです。
――どんな質問ですか?
しずくさん:
なんでクマゼミの抜け殻は泥がついているのに、アブラゼミの抜け殻は泥がついてなくてきれいなんですか?
――しずくさんは、抜け殻をとったり集めたりしたことがあるんですか?
しずくさん:
はい。
――そのときに思ったの?
しずくさん:
はい。
――ではこれは「昆虫」の小松先生、お願いします。
小松先生:
しずくさん、こんにちは。
しずくさん:
こんにちは。
小松先生:
クマゼミの殻なんだけれども、公園とかで見つけたのかな?
しずくさん:
はい。
小松先生:
クマゼミの殻は、いくつか見つけてその全部に泥がついていたということかな?
しずくさん:
違う。
小松先生:
1個か2個見つけて、それに泥がついていたという感じなのかな?
しずくさん:
はい。
小松先生:
実はですね、クマゼミの抜け殻は私も結構外で探して見つけたことがあるんですけれども、基本的にクマゼミの殻は、泥がつかないのが普通です。アブラゼミの抜け殻は結構そこら辺によくついていて、あれは泥がついていないじゃないですか。クマゼミも、基本的に殻に泥はつかないと言われている種類です。
なので、もしかしたら、しずくちゃんがクマゼミの殻を見つけた場所の地面が、ひょっとしたら他の周りの場所とはちょっと性質の違う土の質である可能性があります。もしかしたら地下水とかが多くて、たまたまその場所がちょっと泥っぽいとか、あるいは雨が降ったあとその場所がたまたま日陰になっていて、地面の土が乾きにくくて少し泥の質になっていて、たまたまそこから出てきたクマゼミの幼虫の体に泥がついていたのかな、という感じかもしれません。しずくさん、ニイニイゼミの殻は見たことあるかな?
しずくさん:
はい。
小松先生:
ニイニイゼミの殻は、すごくいっぱい泥がついているよね。ニイニイゼミの抜け殻にだけは、なぜか泥がいっぱいついています。どうしてかと言いますと、ニイニイゼミの幼虫は他の種類のセミの幼虫に比べて、もともと湿った水けが多い土の中で暮らしていて、水けの多い土を好む性質があるというのが1つ。
もう1つは、ニイニイゼミは土の中で泥を自分でこね回していまして、そのこねた泥を、自分が住んでいる部屋、それは土の中に穴を掘って、土の中に作った縦穴に暮らしているんですが、こねた泥を、自分の体を使ってその土の穴の内側の壁に押しつけて塗りつける癖があるらしいんです。なので、どうしても体に泥というかそういうものがつきやすい、というのが1つ。
さらに、ニイニイゼミの幼虫の体の表面には、結構細かい毛がいっぱいびっしり生えているんです。普通のアブラゼミとかの抜け殻を見ると、表面はわりとつるつるしていて毛があまり生えていないじゃないですか。でもニイニイゼミの幼虫の体の表面には細かい毛が生えているので、体に泥がこびりつきやすいんです。体に泥がつくと、それがずっとついたまま、落ちないんですよ。
その状態で成長を続けて、最終的に大人のセミになるために土の中から地上に出てくるので、ニイニイゼミの幼虫の体には泥がすごくいっぱいついているんです。でも他の種類のセミは、体にそんなに毛が生えていないのと、一般的にはそんなにべちゃべちゃしたところにはいないので、体に泥はついていません。そんな感じで、よろしいでしょうか。
――そうすると、しずくさんがとってきたクマゼミの抜け殻は、たまたま(泥が)ついていたのかもしれない、ということですね。
しずくさん:
はい。
――ニイニイゼミであれば、泥がつくということなんですね。どうでしょう、わかったかな?
しずくさん:
はい。
――でも、しずくさん、抜け殻をいろいろ観察して、泥がついているのはなんでだろうと思うのは、すてきなことですね。
小松先生:
そうですね。私も初めて聞きました、クマゼミの殻に泥がついているというのは。
――何か特別な条件があったのかもしれませんね。しずくさん、これからもいろいろなことを観察して、また疑問があったら質問を送ってください。
しずくさん:
はい。
――質問してくれてありがとうございました。
しずくさん:
ありがとうございました。
――さようなら。
小松先生:
さよなら~。
しずくさん:
さよなら~。
【放送】
2024/02/18 「子ども科学電話相談」