11時台を聴く
24/03/31まで

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たにぐちゆいさん(小学2年生・福井県)からの質問に、「水中の生物」の林公義先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
林先生:林公義先生(北里大学海洋生命科学部講師)
ゆいさん:質問者


――お名前を教えてください。

ゆいさん:
ゆいです。

――どんな質問ですか?

ゆいさん:
おばあちゃんがイカをさばいていたときに、20cmぐらいのイカの体と同じぐらいの魚が出てきました。どうやって食べたんですか? どうやって消化するんですか?

――イカと同じくらいの魚が出てきたの?

ゆいさん:
うん。

――びっくりしたねぇ。では先生、教えてください。林先生、お願いします。

林先生:
はい。たにぐちゆいさん、こんにちは。

ゆいさん:
こんにちは。

林先生:
ちょっと驚くねぇ。

ゆいさん:
はい。

林先生:
ちょっと話違うけど、そのイカはどうやって食べたの? 輪切りにしておしょうゆとお砂糖で甘く……

ゆいさん:
お好み焼きに入れて食べました。

林先生:
あぁ! そういう食べ方もあるんだね。おじさんは、輪切りにしたやつを甘くおしょうゆで煮て片栗粉を入れて、とろっとしたところを一緒に食べるのが大好きですけど、関係なかったかな(笑)。ごめんね、はい。えーっと、1つお聞きしたいんですが、おなかの中に入っていたお魚ですけども、おばあちゃんがさばいたと言ってたよね。

ゆいさん:
うん。

林先生:
さばいたときに、イカのいわゆる臓物、内臓がありますよね。その内臓の中にお魚は入っていたんですか? それともイカの皮のところ、内臓の中ではなくて、内臓と一緒にそれが出てきたということでしょうか? どっちなんでしょう。覚えていますか?

ゆいさん:
たぶん一緒だと思う。

林先生:
一緒?

――つるんと、出てきたのかな?

林先生:
イカのおなかの中から、つるんと、そのまま出てきたということ?

ゆいさん:
うん。

林先生:
そのお魚、どんなお魚だったのかわかんないけど、イカが食べたんだから細長いお魚だろうとは思うんですけど、ゆいさんはそのお魚を、観察というか見てみましたか?

ゆいさん:
はい。

林先生:
そのお魚の体に、何か傷のようなものとか、皮がはがれたりとか、うろこがなくなっているとか、普通に生きているときのお魚とちょっと違う状態を見ることはできましたか? それとも、普通のお魚がそのまま入っていたという感じ?

ゆいさん:
そうです。

林先生:
あぁ。そうするとね……これはイカがそのお魚を食べたのではなくて、イカがとれたときにイカを入れてある網、とったときの網、またはイカを網から船に揚げたときに入れた入れ物の中に一緒に入っていた魚が、イカの胴体は実はおなかの中にちょっと隙間があるので、そこに魚が入り込んだんじゃないかなと思うんですよ。その魚は、頭がイカの頭のほうでしたか? それとも尾っぽが頭のほうにありましたか?

ゆいさん:
イカの頭のほうに魚の頭のほうが……。

林先生:
魚の口がある頭のほうが、イカの頭と同じ方向に入っていたということだね。

ゆいさん:
はい。

林先生:
そうするとね、うーん……なかなか判定が難しいんだけれども、お魚の写真とかスケッチとかがあれば何となく説明がつくことはあるんだけれども、今、ゆいさんから聞いた話では、イカと一緒に、とれた魚がイカの中に入ってしまったという感じだと思うんですよね。

もしイカがその魚を食べた状況だとすると、イカにも私たちと同じように口があって食道があって、そして実は尾っぽの後ろのほうに胃袋があるんです。その胃袋からずっとカーブして口のほうに向かってお尻が出てきているという、結構長い消化管があるんですよね。
イカは、捕まえたお魚をアゴでくわえてから、必ず1回砕きます。要するに細かく切ろうとするんです。そのときに、ものすごい傷痕がつくんです。それでさらに、イカは貝なんかと同じ仲間で軟体動物ですから、細かい歯舌(しぜつ)という、私たち人間でいえば歯が中にあるんです。そこを通っていくときに、えーっと……ゆいさんは、しょうがを食べるとき、または大根おろしを作るときに、トゲトゲのあるやつ、ザラザラッとこする「おろし金」は知ってますか?

ゆいさん:
知ってます。

林先生:
うん。あれでもって、魚の肉がおろされたような感じ。あんなに細かくはならないけど、歯舌というところで細かくされて消化管の中に入っていくんです。
だから魚が小さければ、そのまんまの形ということはあるんですけれども、硬い口で1回かみつきますからそのときの傷が大きくて、ちょっと柔らかい肉の魚だと崩れたりすることもあるので、魚がまるまるきれいに出てきて消化管の中に入っていたのではないとなると、イカがとれたときに、一緒にとれたお魚が混じっておなかの中に収まったまま、ゆいさんのところに届いたという感じだと私は考えますが、どうでしょうか。

――ゆいさん、そういうことがあるんですって。

林先生:
まれにね、そういうことがあるんです。

――漁師さんがイカをとったときに、他のお魚がイカの中に入っちゃうということですね。

林先生:
そうですね。でも魚が入っていたのは、食べたそのイカだけですよね。

ゆいさん:
はい。

林先生:
だからたぶん、そういうことだと思うんです。もしまたそういう機会があったら、まるまるまた出てくることはないかもしれないけど、イカが食べているものの中にどんなかたちで魚が入っているのかを調べるために、内臓を少し開けて見てみたらわかるかもしれない。

ゆいさん:
はい。

――写真を撮ったりして、観察してみてください。

林先生:
もう1回、食べるチャンスを作ってもらって、観察し直してみたらどうかなと思います。よろしいですか?

ゆいさん:
はい。

――ゆいさん、ありがとうございました。

ゆいさん:
ありがとうございました。

林先生:
はい、どうも!

――さようなら。

ゆいさん:
さよなら~。


【放送】
2024/02/04 「子ども科学電話相談」

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