11時台を聴く
24/03/31まで

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すぎやまのぞみさん(小学2年生・栃木県)からの質問に、「植物」のアキリ亘先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
アキリ先生:アキリ亘先生(農研機構 上級研究員)
のぞみさん:質問者


――お名前を教えてください。

のぞみさん:
のぞみです。

――どんな質問ですか?

のぞみさん:
人間は食べ過ぎると太るのに、どうして植物は食べ過ぎても太らないんですか?

――あっ、ちょっと今、おなかを触ってしまいました……。のぞみさんは何か植物を育てていますか?

のぞみさん:
はい。

――何を育てているの?

のぞみさん:
ブルーベリーです。

――ブルーベリー! すごいですねぇ。では先生に聞いてみましょう。アキリ先生、お願いします。

アキリ先生:
はい。のぞみさん、こんにちは。

のぞみさん:
こんにちは。

アキリ先生:
食べ過ぎると、太っちゃいますよね。のぞみさんは気をつけていますか?

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
私も今、甘い物とか食べ過ぎないよう気をつけているところです。年をとると太りやすくなるので(笑)。のぞみさんはまだ大丈夫だけど、気をつけてください。

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
のぞみさんは、植物は太らないと思っているのかな?

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
太るって、見た感じだとどういう感じかな? どういうものを見たら「太っている」と思いますか? 何となくわかる?

のぞみさん:
……体が大きくなったりとか。

アキリ先生:
そうだね。例えば背が高い人がいます。背が高くても、体全体のバランス……「バランス」ってわかりますか?

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
バランスによって、背が低いわりには太いとか、高いわりには細いとか、そういう感じでバランスによって、太っているか、やせているかというふうに思うんですよね。だから例えば木を見ると、すごく背が高いですよね。山とかに生えている杉の木って、わかりますか?

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
杉の木はすごく背が高いけど、あれは太っていますか、やせていますか?

のぞみさん:
……。

アキリ先生:
そんなに太くは見えないよね。

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
でも近くで見ると、結構太いでしょう?

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
そんな感じでバランスによって、太っている・太っていないと思ってしまうんですよね。植物の場合は、背が高くなる成長と太くなる成長の2種類があって、あまり背が高くならないのにどんどん太くなると、やっぱり太っているように見えるんです。

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
今、覚えてもらいたいのは、植物には2つの成長の方法があって、1つはどんどん上に向かって伸びていく、これを「伸長成長」といいます。もう1つがどんどん太っていく「肥大成長」で、この2種類の成長のしかたのどちらが強いかによって、太っているように見えるか、太っていないように見えるかが決まってくると思うんです。背が伸びないでどんどん肥大成長、太くなる方向にいくと太っているように見えるので、「植物が太ってしまうことはないのですか」というのぞみさんの質問に対しては、「植物は太ります」というのが答えなんですね。

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
どういうものが「太っている」のか言ってみると、一番わかりやすいのは……のぞみさん、大根とか食べますよね。大根好きですか?

のぞみさん:
好きじゃないです。

アキリ先生:
あっ、好きじゃないか(笑)。にんじんは?

のぞみさん:
好きです。

アキリ先生:
嫌いな大根も今度頑張って食べてみてほしいんだけど、大根も、タネから育てた始めはあんなに太い根っこじゃないんです。細い根っこなんだけど、どんどん体が大きくなって背が伸びる。背が伸びて根っこも伸びるんだけど、大根はそれに加えて、他の植物よりも根っこをどんどん横に太らせる力があるんです。そういう性質があるんです。だから今、言ったように、植物も太るんです。

のぞみさん:
あぁ……。

アキリ先生:
ただ、どんなときでも太るわけではないんです。

のぞみさん:
へぇ、そうなんですね。

アキリ先生:
そう。大根も、太るにはやっぱり栄養が必要なんです。栄養も何もないところで育てたら、体を作ることができないですよね。

のぞみさん:
そうですね。

アキリ先生:
のぞみさんも、大きくなるためにごはんとかいろいろ食べていますよね。

のぞみさん:
食べています。

アキリ先生:
植物は、のぞみさんと同じようにお口でパクパクごはんを食べることはないけれども、栄養を取り込んだり自分で作ったりしているんです。のぞみさん、植物は水と二酸化炭素とお日様の力で栄養を作っているのは、知っていますか?

のぞみさん:
はい。

アキリ先生:
その栄養とあともう1つ、土の中にもいろいろな養分があるので、そういうものを根っこから取り込んで栄養を使って体をどんどん大きくしているんです。そのときに、上に伸びるように成長したり横に伸びるように成長したり、それを使い分けながらどんどん太っていくんです。だいたいわかるかな?

のぞみさん:
はい。でも、食べ過ぎたりしないんですか?

アキリ先生:
例えば肥料が多くなってしまった場合、植物がその肥料をどんどん体の中に取り込んじゃいますよね。そうするとどういうことが起きるかというと、例えば窒素肥料。肥料には窒素肥料とかがあるんだけど、そういうのを多く与え過ぎると体がすごく大きくなるんです。でも成長し過ぎると、今度は強い体を作らずに大きくなっちゃうんですね。要するに、ちょっとヘニャヘニャになって弱い体ができたりするんです。

のぞみさん:
えーっ。

アキリ先生:
バランスの悪い養分の取り方をすると、植物にもちょっとおかしなことが起きるんです。のぞみさんと同じように、植物もバランスよくいろいろな養分を自分で吸収したりしないと、バランスのいい体ができない。肥料を与え過ぎるとすごく背が高くなるんだけど、ちょっと柔らかくなってしまって、風が吹いたら途中で折れちゃうこともあるんです。だからバランスが大事なんですね。

のぞみさん:
おなかがふんわりするようになるってことですか?

――食べ過ぎておなかがふんわりする、というようなことかな?

のぞみさん:
はい。

――例えば茎の途中が人間のおなかみたいにぷわんと膨れるというようなことは……

アキリ先生:
そういうことはないですね。全体的に大きくはなるんだけど、1つ1つの体がちょっと弱くて柔らかくなってしまって、そこでポキッと折れたりヘニャヘニャになってしまったりということはあります。

――大きくなるけれども、細くて倒れちゃったり?

アキリ先生:
細くなるというよりも、全体的に大きくなったりはするんですけど体そのものが柔らかくて、それで倒れてしまうことはあります。

――なんですって、のぞみさん。大丈夫ですか?

のぞみさん:
はい、わかりました。

――植物も太るし、バランスよくというのは人間と同じですね。

アキリ先生:
そうですね。のぞみさんも、バランスよくごはんを食べてください。

のぞみさん:
はい。

――質問をしてくれて、ありがとうございました。

のぞみさん:
ありがとうございました。

――さようなら。

のぞみさん:
さよなら~。

アキリ先生:
さよなら~。


【放送】
2024/02/04 「子ども科学電話相談」

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