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みなみふみさん(小学3年生・東京都)からの質問に、「鳥」の川上和人先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
川上先生:川上和人先生(森林総合研究所 鳥獣生態研究室長)
ふみさん:質問者


――お名前を教えてください。

ふみさん:
ふみです。

――どんな質問ですか?

ふみさん:
私はマンションの11階に住んでいます。ベランダにヒヨドリらしき鳥がやってきます。ベランダにはミニトマトがなったまま枯れてしまったプランターが放置してあります。そのミニトマトの実をついばんで、ベランダの柵の上でゆっくりと食べていきます。この鳥は何という鳥ですか? また、もっと観察するにはどんな工夫をすればよいですか?

――先生に教えていただきましょう。川上先生、お願いします。

川上先生:
はい。どうもこんにちは、川上でーす。

ふみさん:
こんにちはー。

川上先生:
ヒヨドリかどうかわかんないけど、鳥がトマトを食べているということですね。鳥はトマトを食べていたけれども、ふみさんはきょう、おやつを食べましたか?

ふみさん:
食べました。

川上先生:
何を食べたんですか?

ふみさん:
サンドイッチです。

川上先生:
サンドイッチですか、いいですねぇ。僕もサンドイッチ大好きです。僕は朝ごはんに、パンにお魚とかお野菜をいろいろ挟んで食べてきました。おいしいですよね。

ふみさん:
ふふっ。

川上先生:
ふみさんが見た鳥ですけど、どんな鳥なのかというところを考えてみましょうか。大きさはどのくらいだったか、覚えていますか?

ふみさん:
えーっと、20cm〜30cmくらいです。

川上先生:
20cm〜30cmくらい。結構大きめの鳥ですね。ハトよりは小さいかな、というくらいですね。

ふみさん:
そうです。

川上先生:
体は太っていましたか、細かったですか?

ふみさん:
細かったです。

川上先生:
尻尾の長さはどのぐらい? 体に対して長かったですか、それとも短めでした?

ふみさん:
そんなに変わらなかったです。

川上先生:
体と同じぐらいの長さの尻尾があったという感じかな?

ふみさん:
はい。

川上先生:
じゃあ、尻尾は結構長めですね。体は何色をしていたか、わかりますか?

ふみさん:
グレーと白です。

川上先生:
おなかのほうが白だった?

ふみさん:
おなか……よくわからないんですけど、白っぽかったです。

川上先生:
白っぽいところがあったけど、見た目はグレーっぽかったということですね。わかりました。恐らくそれは、ふみさんが思ったとおりヒヨドリだと思います。たぶん正解でーす。

ふみさん:
はーい。

川上先生:
ヒヨドリという鳥は、今言ってくれたとおり、頭とか背中はちょっとグレーなんです。おなかが白いんだけれども、おなかにちょっと茶色い模様が入っています。翼とか尻尾もグレーっぽいんだけれども、ちょっと茶色みがかかっています。

ふみさん:
へぇ~。

川上先生:
もう1つ特徴があって、今度もし見られたら顔を見てほしいんです。顔を見ると、頭はグレーなんだけれども、ほっぺたがちょっと赤茶色をしています。

ふみさん:
へぇ~、そうなんですか。

川上先生:
ほっぺたの赤茶色が見えたら、これはヒヨドリだなと思ってたぶん大丈夫だと思います。

ふみさん:
はい。

川上先生:
この鳥をまた見たい、じっくり見たいと思うと思うんだけれども、じっくり見ると、顔の模様とかも見られるからね。

ふみさん:
はい。

川上先生:
さっき、ふみさんはサンドイッチを食べたと言っていましたが、サンドイッチ、好きですか?

ふみさん:
好きです。

川上先生:
よかったです。じゃあ、あるお部屋があります。その中にサンドイッチが置いてあります。入って食べようかなと思うんだけど、そこに長くのんびりいるためには、他に何があったら、のんびりできますか? サンドイッチだけでいいかな?

ふみさん:
うーん……ソファーに座って食べます。

川上先生:
ソファー! いいですねぇ。地面よりもいすがあったほうが、座りやすくてゆっくりできますよね。実は鳥もそうで、鳥にとっては止まり木なんていうのがあると、ゆっくりできるんです。

ふみさん:
へぇ~。

川上先生:
今は、枯れたトマトがあるって言ってたんだっけ?

ふみさん:
はい。

川上先生:
そのトマトの枝に止まって食べているのかな?

ふみさん:
ベランダの柵の上で、一瞬でくちばしで実を取って、それを柵の上でのみこんで、ゆっくりと……。

川上先生:
そっかそっか。トマトを持ってベランダの柵の上にポンと飛んで、そこで食べたりとか、持っていっちゃったりとかするのかな。

ふみさん:
はい。

川上先生:
じゃあ、今のところ、ソファーにあたるものがないかもしれないので、止まりやすい止まり木というのがあったら、もしかしたらゆっくりしてくれるかもしれないです。

ふみさん:
へぇ~。

川上先生:
もう1つ。サンドイッチばかり食べていると、のどが渇きませんか?

ふみさん:
あぁ、はい。水が!

川上先生:
そう、水です。水があると飲むし、鳥は飲むだけじゃなくて水浴びなんかもするんです。

ふみさん:
へぇ~。

川上先生:
なのでそういう水場があると、ゆっくりしていってくれるかもしれないです。ゆっくりしてくれれば、ゆっくり観察できますよね。

ふみさん:
はい。

川上先生:
大切なことがもう1つあります。それはですね、「何を見たいか」ということです。もしその鳥が何の鳥なのかを見たかったら、さっき言ったような顔の模様とかが大切になってくるし、他にも、今どういう状態なのかをじっくり見ると、いろいろおもしろいことがあるんです。例えば、よく見ると羽が生え変わっている途中で1枚抜けていたりするときがあります。そうすると、「今、羽が生え変わる時期なんだ」ということがわかったりします。

ふみさん:
なるほど。

川上先生:
ねぇ。あと例えばヒヨドリの足の爪がどんな形をしているのか、知ってますか?

ふみさん:
あんまりわからない。

川上先生:
見たことないから、わかんないよね。

ふみさん:
はい。

川上先生:
足の爪の形は、地面をよく歩く鳥はまっすぐだし、木の上にいる鳥は、まっすぐじゃなくて曲がっているとかっていうのがあるんだよね。なので鳥の形を見ていると、実はどういう生活をしているかがわかってくるんです。
でもそれをじっくり見るのはなかなか大変なので、例えば写真に撮るなんてことができたら、じっくりゆっくり見ることができるんだよね。なので、お父さんとかお母さんに言って、スマホでもいいからちょっと写真に撮ってもらったりするのもいいかもしれないです。

ふみさん:
はい。

川上先生:
最後に、ヒヨドリなんですけれども、ヒヨドリは日本にはいっぱいいるけれど、世界で見るとほとんど日本の近くにしかいないとても珍しい鳥なので、ぜひじっくり観察してほしいと思います。だいたいわかった?

ふみさん:
はい。

――ふみさん、質問してくれてありがとうございました。

ふみさん:
ありがとうございました。あの……もう1つ、質問してもいいですか?

――どんなことでしょう?

ふみさん:
ありがとうございます。ヒヨドリをよく観察しようと思って近づいても、きれいに写真に撮る前に逃げてしまうので、何か方法はありませんか?

川上先生:
うん、逃げちゃうかもしれないね。鳥は何を嫌がるかというと、動くものをすごく嫌がることがあります。なので、「あっ、来た」と思って近づくと逃げられちゃうから、いつもきっと、だいたい同じ場所に来るよね?

ふみさん:
はい。

川上先生:
だったら先に、近いところで待っている。でもあまり近くにいて、例えばベランダでとかいうと来なくなっちゃうから、ベランダの窓とか、あるかな?

ふみさん:
はい。

川上先生:
その窓の内側の近いところで、来るのをひたすら待つ。来ても自分はなるべく動かないようにする、というのが1つあります。

ふみさん:
へぇ~。

川上先生:
もう1つ大切なことがあります。鳥はね、ずっとじいっと見られているのがすごく怖いんです。見られるというのはどういうときかというと、襲われるときというのがよくあるんです。例えばネコがじっと見ているとかタカがじっと見ているとか、襲ってくるやつがじっと見ていたりするので、鳥は見られるのがすごく嫌なんですよ。

ふみさん:
はい。

川上先生:
だから、ちょっぴり知らんぷりをするのも大切です。いつもこのへんに来るなというところがあったら、最初からそこにカメラを向けておいて、なるべく自分は動かないで待っていて、来たらあまりしっかり見ないで、ちょっと見て写真を撮るのがいいと思います。

ふみさん:
なるほど!

川上先生:
だから観察するときは観察だけ、写真を撮るときは写真を撮るだけ、と分けてやると、見やすいかな、撮りやすいかなと思います。

ふみさん:
はい。

川上先生:
あともう1つ大切なのは、鳥がいっぱい来るとフンがいっぱいあって迷惑だなと思う人もいるから、さっき、「食べ物や水があるといいよ」と言ったけれども、お母さんやお父さんと相談して、ほどほどに集めることも大切だと思います。

ふみさん:
わかりました。

川上先生:
がんばって観察してみてください。

ふみさん:
はい。

――これから観察して、また報告してくださいね。

ふみさん:
はーい。

――ありがとうございました。さようなら。

ふみさん:
ありがとうございました。さよなら~。

川上先生:
さよなら~。


【放送】
2024/02/04 「子ども科学電話相談」

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