10時台を聴く
24/03/24まで

10時台を聴く
24/03/24まで

いばらきなのはさん(小学1年生・神奈川県)からの質問に、「科学」の藤田貢崇先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
なのはさん:質問者


――お名前を教えてください。

なのはさん:
なのはです。

――どんな質問ですか?

なのはさん:
加湿器のタンクに色水を入れると、“煙”は何色になりますか?

――なのはさんの家には、加湿器があるんですか?

なのはさん:
あります。

――色の付いた蒸気が出たらいいなと思ったのかな?

なのはさん:
はい。

――では早速、藤田先生に教えていただきましょう。お願いします。

藤田先生:
はい。いばらきなのはさん、こんにちは。

なのはさん:
はーい、こんにちはー。

藤田先生:
加湿器のタンクの中に色水を入れたら煙は何色になるんだろう、という疑問ですね。やってみては、いないんですね?

なのはさん:
いない。壊れそうでちょっと怖い。

藤田先生:
そうですよね、壊れそうですよね。たぶん加湿器の取扱説明書にも、水以外は入れてはいけませんと書いてあるでしょうね。入れるとちょっと困るということで、なのはさんもやっていないということですが、なのはさん、1年生ですよね。

なのはさん:
はい。小学1年生です。

藤田先生:
加湿器は何種類かあるの、知ってます?

なのはさん:
2種類くらい?

藤田先生:
2種類くらいあるのは知っている。じゃあ、1種類をまだ知らないんですね。じゃあ、ちょっと聞いてみましょうか。なのはさんのおうちにある加湿器で、白い煙というか、白いのが出てくるというのはありますか?

なのはさん:
はい。

藤田先生:
それは加熱式とかスチーム式という加湿器で、中で水を沸騰させるんです。それはきっと、あったかくなりますよね。あったかくというか、熱くなる。

――ボコボコッと沸かして。

藤田先生:
そうですね、ボコボコッと沸かす。

なのはさん:
それは家のじゃないんだけど……。

藤田先生:
なのはさんの家のはそれではないけど、それはたぶん中でお湯を沸かす感じで蒸気が出てくる、というのがまず1つあります。それと、気化式といって、フィルターが中に入っていてその中を水が通っていく、染みていく。そしてそのフィルターに風を当てることで、水が空気に混じって出てくるのがあります。それは知っているかな?

なのはさん:
あっ、家にあります。

藤田先生:
それが気化式ですね。もう1つは、超音波式というのがあります。超音波式というのはちょっとイメージが難しいんですけど、こういうふうに考えたらいいかな。なのはさん、お風呂でお風呂の水をパチパチとたたいたとします。一生懸命たたく。そしたら、水が周りに飛び散りますよね。

なのはさん:
はい。

藤田先生:
超音波式は、とても簡単に言うとそんな感じなんです。水の中で超音波という波を発生させて、水を細かいしぶきにして飛ばしているという、そういう仕組みになっているんです。この3種類が、加湿器の仕組みなんです。

なのはさん:
えぇーっ!

藤田先生:
そう、3種類あるんですよ。気化式というのとスチーム式というのは、水が蒸発していくことで蒸気をたくさん出そうという仕組みで、これは水だけしか出ていかないんです。

なのはさん:
えっ?

藤田先生:
なのはさん、食塩水、塩水をそのままずっと置いておいたら、いつか中に塩だけが残ってしまうのは知っていますか?

なのはさん:
知りません。

藤田先生:
じゃあ今度、おうちで確かめてみてください。おうちの人に食塩、塩を水に溶かしたものを用意してもらって、それをしばらく何時間か置いておいたら、あとに白いのが残ると思うんですよ。残るのは、食塩なんです。水に溶けていたものが出てきちゃうんです。出ていくのは水だけなんですね。というふうな仕組みをしているのが、気化式とスチーム式なんです。だから色水を作ったとしても、その色っていうのは、例えば絵の具で付けようとか思ったのかな?

なのはさん:
はい。

藤田先生:
絵の具を入れて混ぜたとしても、結局その色水の水だけの部分が蒸発していくので、気化式とスチーム式だと結局同じことになっちゃう。

なのはさん:
白になっちゃう?

藤田先生:
白になっちゃうんですね。

なのはさん:
タンクの中はその色になっちゃう?

藤田先生:
タンクの中というかフィルターに、そういう色が染みちゃうかもしれないですね。

なのはさん:
それを考えると怖い……。

――うん、怖いね。

藤田先生:
タンクとその間にあるところに、色素が、色の部分が、残っちゃうということになります。それで、ダメですね。超音波式というのは、さっき、「お風呂の水をパチパチたたいてみたら?」というお話をしましたけど、そのものが飛んでいっちゃうんです。もし超音波式の加湿器に色水を入れてスイッチを入れたとして、しばらくしたら、たぶんその加湿器の周りに色が飛び散っていると思います。そのものを出しちゃうから。

――部屋の周りに?

藤田先生:
加湿器の周りに。

なのはさん:
ちょっとなんか、あの……加湿器、水を入れるのにふたを開けたんだけど、そのときにめちゃくちゃ水がコポコポ、沸いているっていうか。

藤田先生:
コポコポ沸いているんだったら、スチーム式のほうかな。熱くなっていませんか?

なのはさん:
違うけど、なんか……超音波……で、はねてる。

藤田先生:
あぁ! そしたら中で振動を与えるので、それでコポコポ見えるんですね。

――超音波式もコポコポするんですね。

藤田先生:
するんですね。それで色は出るんですけども……

なのはさん:
も?

藤田先生:
結局しぶきが出るから、しぶきというか水の小さい粒そのものが出るので、周りは色が付くんですけれども、煙はきっと白く見えると思うんです。

なのはさん:
あぁ。

藤田先生:
どうしてかというと、物って、特に水とかは、小さい粒になっていけばいくほど色が白く見えちゃうんです。雲が白く見えるのと同じですね。

なのはさん:
はぁ〜。

藤田先生:
水の粒が小さくなればなるほど、散乱というんですけど、光を全部いろいろな方向に反射して、白く見えちゃうんですね。それで煙は白く見える。

加湿器を使うと、壊しちゃいそうですよね。壊れちゃっても責任とれませんから、こういう実験をしたらいいと思います。私、この夏、やったんですけど、色水を作るんです。絵の具の水じゃなくて、私が使ったのは食用色素、食紅という、食べても大丈夫な赤とか青とかを水に溶かして……

なのはさん:
あぁ、クッキーの色付けとかに使う?

藤田先生:
そうです、それです。

――おぉ、よく知ってますねぇ。

藤田先生:
それを霧吹きの中に入れるんです。霧吹きって100均にも売っていますでしょ、シュシュッとする。

なのはさん:
はい、あれね。

藤田先生:
食紅だと口に入っても安全なので、それを入れてシュッとやると、原理としては超音波式みたいなものですよね。水そのものを飛ばしているという。色水を作ってシュッとやると、確かに霧吹きの霧が落ちたところは色が付くんですけれど、霧自体は白っぽく見えちゃうんです。出てくるところは、よく見れば色が付いているような気がしますけれど、細かくなっていくと白く見えちゃいます。こんなふうになるんだというのを、なのはさんにもわかってもらえるかもしれないので、もし周りに道具があったら、やってみてください。

なのはさん:
あの、ちょっと質問してもいいですか?

――どうぞどうぞ。

なのはさん:
めちゃくちゃ濃い黒とか紫とかであれば、メッチャほんのりだけど色が付くことはありますか?

藤田先生:
うん、たぶんですね……加湿器の中に入れた場合だと付かないと思います。 仮に超音波式だとしても、ものすごく小さいものに見えてしまうのでそもそも煙みたいに見えないですね。出てくるものが煙には見えないので、たぶん色は付かないと思います。そのかわり、周りは黒とか濃い紫色になっちゃいます。

なのはさん:
あぁ。

――さっき先生がおっしゃった、食紅を使って霧吹きでやる実験で濃い色を入れても?

藤田先生:
私がやったときは、やっぱり白く見えちゃいましたね。霧吹きのものによっては、もし水滴が大きければ色が付いて見えるかもしれません。根元の部分だと色が付いて見えたので。向こうのほうは、白っぽくなっちゃう、白くなっちゃう、という感じですね。

なのはさん:
あぁ。

――でも、なのはちゃんの発想、すてきだなとすごく思いました。

藤田先生:
そうですね。

――なのはちゃん、お部屋でふわっと色が付いたらいいなって、想像したのかな?

なのはさん:
そこまでは想像していない……。

――そっかそっか(笑)。色が付いたらどうかな、くらいに思ったのかな?

なのはさん:
はい。

――そうなんだね。でも先生が言った実験、私もやってみたいなと思いました。食紅でちょっと色を付けたら、どうなるのかなって。

藤田先生:
そうですね。やってみると、「そういうものか」とわかってくれるかも。

なのはさん:
意外と楽しそう。

――ねぇ。

藤田先生:
楽しいと思いますね。

――加湿器だと、壊れちゃうとおうちの人も大変だと思うので。

藤田先生:
霧吹きだったら何回でもやれますから。

――そうですね。なのはちゃん、「そこまでは……」って言ってたけど、いい発想だなと思いました。先生、霧に色を付ける方法というのは?

藤田先生:
何か特殊な化学物質を使ってそういうガスを作る、色の付いた気体を作るという方法でしょうね。

なのはさん:
えっ?

藤田先生:
例えば、それこそ火事のときの黒い煙というのは、あれはまた別の仕組みでススが混じって黒く見えますけど、そういう方法になってしまいます。

――他の物質で色を付ける方法はあるけれども……

藤田先生:
日常的には難しいですよね。色を付けるというのはなかなか難しいです。

――先生のおっしゃった霧吹きでの実験くらいだったら、いいですね。

藤田先生:
食用色素で安全にできますから。

――加湿器ではしないほうがいいですね。

藤田先生:
そうですね。それはダメっていうことですね。

――なのはちゃん、すごく楽しい質問でした。

なのはさん:
はい(笑)。

――発想がすてきだなと思いました。大丈夫ですか?

なのはさん:
はい。

――よかったです。質問してくれてありがとうございました。

なのはさん:
ありがとうございまーす。

藤田先生:
どういたしまして。

――さようなら。

なのはさん:
さよなら〜。

藤田先生:
さよなら〜。


【放送】
2024/01/28 「子ども科学電話相談」

10時台を聴く
24/03/24まで

10時台を聴く
24/03/24まで