11時台を聴く
24/03/17まで

11時台を聴く
24/03/17まで

きたにしおさん(小学4年生・東京都)からの質問に、「昆虫」の清水聡司先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
清水先生:清水聡司先生(大阪府営箕面公園昆虫館 副館長)
しおさん:質問者


――お名前を教えてください。

しおさん:
しおです。

――どんな質問ですか?

しおさん:
家の庭でイネを育てました。花が咲いた1週間後ぐらいに、ふだん見ない虫を見つけました。調べてみると、クモヘリカメムシだということがわかりました。近くに田んぼもないのに、どこからどうやって来たのか、なんでうちでお米を作っているのがわかったのか、教えてください。

――クモヘリカメムシだというのは、どうしてわかったの?

しおさん:
JAの、農協の人が教えてくれました。

――そうですか。ちゃんと自分で聞いて調べたんですね。近くに田んぼがないのに、どこからやって来たのか、驚いちゃったわけですね。

しおさん:
はい。

――では先生に教えていただきましょう。清水先生、お願いします。

清水先生:
はい。しおちゃん、こんにちは。

しおさん:
こんにちは。

清水先生:
おうちでイネを育ててたんや。

しおさん:
はい。

清水先生:
それでいつの間にか、ついてた?

しおさん:
はい。

清水先生:
クモヘリカメムシってどういうカメムシかというのは、JAの方に話を聞いた?

しおさん:
聞きました。

清水先生:
どんなカメムシやった?

しおさん:
お米を黒くしてしまうカメムシ。

清水先生:
おぉ。お米の中で、害虫という言い方がいいのか悪いのかわからないけれども、お米を作っている人にとったら、すごく困ることで有名な虫の1つなんやけれども、実はイネだけじゃない、お米だけにつくカメムシじゃないのね。他にどんなものにつくか、どんなものから汁を吸うかは、調べてみた?

しおさん:
調べていません。

清水先生:
お米の仲間、イネ科植物って、聞いたことあるかな?

しおさん:
聞いたことあります。

清水先生:
例えばどんな植物があるかというのは、わかんないかな?

しおさん:
わかりません。

清水先生:
うん。お米の葉っぱというのは、ちょっととがった、細長い感じの葉っぱやんか。植物の名前を聞いてもなかなかイメージできないかもしれないけど、例えばエノコログサって、わかるかな? ふわふわっとしたソーセージみたいな……

しおさん:
あっ、知ってます!

清水先生:
ねぇ。ふわふわっとしたネコジャラシみたいな感じの植物とか、オヒシバという植物とかメヒシバとか、わりと有名、よく知られた、これも雑草と言っていいのかどうかわからないけれども、管理をしないとその辺りにどんどん生えてきちゃう植物なんやけれども、もともとそういうものにつくのがクモヘリカメムシなのね。そういう植物って、おうちの周りにもいっぱいあるでしょう?

しおさん:
あります。

清水先生:
ありますよね。だからクモヘリカメムシは、ふだん、しおちゃんは気がついていないけれども、そういうところで生活しているの。

しおさん:
はい。

清水先生:
もともといたんやけれども、クモヘリカメムシがどういうタイミングで飛んできたかというのは、しおちゃん、さっき言ってくれたよね。どんなタイミングやった?

しおさん:
花が咲いた1週間後くらいに見かけました。

清水先生:
ねぇ。イネ科植物が穂を出して花が咲いて、そこに実が実ってくるやんか。穂が出たその段階、その穂の汁を吸うのが、すごく好きみたいなのね。

しおさん:
はぁー。

清水先生:
だから周りにいたクモヘリカメムシが、恐らく穂が出たときに、カメムシにとったらいいにおいがすると思うの。それを感じ取って、穂が出た信号を感じ取って、飛んできたんだと思います。気がついていなかったけれども、もともと周りにたくさんいて、おいしそうな穂がいっぱい出てきたので、そのタイミングでそこに飛んできちゃった。それで、穂の部分から汁を吸っちゃうのね。

しおさん:
はい。

清水先生:
たぶん、しおさんが聞いたJAの方も言っておられたと思うけれども、クモヘリカメムシにそこを吸われちゃうと、例えばお米ができなくなったり、「しいな」というんだけど実が入らなくなっちゃうとか、栄養を取っていかれるので生育不良とか、うまくお米になったとしても吸われた部分に斑点模様ができちゃうのね。そうすると、売り物のお米としたら商品価値がすごく下がっちゃう。たくさんのお米の中にそれが少し入っているぐらいだったら、見栄えは悪いけれどもたぶん食べられるとは思うんやけれども、厳密に言うと、恐らく味が変わっていると思う。

しおさん:
はぁ……。

清水先生:
ちょっと話が飛んじゃうけれども、例えば他の植物、お豆、枝豆なんかにも別のカメムシがよく来るんです。それを放置すると、やっぱり吸われたところは何か変な味がするのね。おいしくないの。

しおさん:
ふうん……。

清水先生:
利用しようとしている人間にとったら、すごく困ったことをしてしまうカメムシなので、害虫と言われています。ただ、そのクモヘリカメムシは自然の中に普通にたくさんいて、イネ科植物に依存して、イネ科植物を使って生活している生き物なんです。周りにそういう植物がたくさんあるので、ふだん気にしていないだけで、そのカメムシは実はたくさん周りにいるんです。

しおさん:
なるほど!

――なるほど、だねぇ。しおちゃん、お米はうまく育ったの? 収穫はできたんですか?

しおさん:
はい。収穫して、今、モミを取ったりとかしています。

清水先生:
おぉー。

――クモヘリカメムシが来たけれども、うまく育ったんですね。

清水先生:
守りきった感じやね。もしきれいに精米してお米の粒々が見えるようになったら、玄米のうちのほうが模様がはっきりわかりやすいと思うんやけれども、何かこう、模様が入っているお米はないかな、変なお米はないかなって、探してみてください。

しおさん:
はい、わかりました。

――これから食べるのかな?

清水先生:
楽しみやね。

しおさん:
食べました。

清水先生:
あっ、食べた?

しおさん:
はい。

清水先生:
おいしかった?

しおさん:
おいしかったです。

――すごいすごーい。

清水先生:
それはよかった! クモヘリカメムシにも少しおすそ分けしたんやなというふうに、思っといてくれたらいいと思います。

しおさん:
はい、わかりました。

――植物を育てていると、どこから来たんだろう、今まで見たことがない虫だけれどということが、よくありますよね。

清水先生:
探しにくい昆虫が、「あれ? ウリが植わっていると来ちゃった」とか、「こんな簡単に見れたの、初めて」とか、意外とそういう経験もしてくると思います。しおさん、お米に害虫がついたなというだけじゃなくて、それについていろいろ興味を持って見てくれたのは、すごくよかったと思います。

しおさん:
はい。ありがとうございます。

――イネ科植物のエノコログサというのは、いわゆるネコジャラシですよね。

清水先生:
そうです。よく子どもがおもちゃにするような。だからイネ科植物自体は、周りにいくらでもと言っていいほどあるんです。

――しおさんの周りには、実はクモヘリカメムシはふだんからいるんですって。そしてたまたま「おいしそうなお米を作っているぞ」と見つけてやって来た、と。

清水先生:
いいタイミングでやって来ます。あと、似たようなカメムシがいくらかいますので、また来年作ったら違うカメムシに出会えるかもしれません。

しおさん:
はい。

――自分の体験から疑問に思って質問してくれて、ありがとうございます。大丈夫ですか?

しおさん:
はい、大丈夫です。

――よかったです。質問をしてくれてありがとうございました。

しおさん:
ありがとうございました。

――さようなら。

しおさん:
さよなら~。

清水先生:
さよなら~。


【放送】
2024/01/21 「子ども科学電話相談」

11時台を聴く
24/03/17まで

11時台を聴く
24/03/17まで