おおはしひできくん(小学3年生・神奈川県)からの質問に、「コンピューター・ロボット」の坂本真樹先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)
【出演者】
坂本先生:坂本真樹先生(電気通信大学副学長)
ひできくん:質問者
――お名前を教えてください。
ひできくん:
ひできです。よろしくお願いします。
――こちらこそ、よろしくお願いします。ひできくん、どんな質問ですか?
ひできくん:
メッセージアプリでメッセージを送ると、どうしてすぐに届くのですか? 相手にすぐ届くのですか?
――ひできくんは、誰かとそういうやり取りをしたことがあるのですか?
ひできくん:
はい、あります。
――お友達とか?
ひできくん:
いや、おじいちゃんです。
――あぁ、そうですか。では坂本先生、お願いします。
坂本先生:
はい。おおはしひできくん、おはようございます。
ひできくん:
おはようございます。
坂本先生:
先生もいろいろよく使うので、確かに本当にすぐ届いて便利だなって思っています。今、「携帯でメッセージを送る」という質問と、「メッセージアプリを使っている」というお話がありましたが、携帯で直接メッセージを送る方法と、メッセージアプリを使うときの送られ方は違うところがあるので、ちょっと難しい話なんですが、ついてきてください。
ひできくん:
はい。
坂本先生:
まず、携帯でメッセージを送る、直接送るという場合は、携帯電話で1回、文で入ったものが、コンピューターで処理できるような信号、小さな電子の信号みたいなものに変わります。その信号が今度は電波に代わって、イメージでは、なんか空中を通って送られていく。ラジオの電波みたいな感じかな。
ひできくん:
あぁ。
坂本先生:
携帯電話の場合は、特定のその携帯電話用の「周波数」、というと難しいんですけど信号で、独自の電波を送っていきます。送られた電波は、自分が送ったところの一番近くの、「基地局」というんですけど、電波を受け取るアンテナに届きます。
ひできくん:
うん。
坂本先生:
基地局で電波が受け取られると、また小さい電子の信号になって、電子の信号が「モバイルスイッチングセンター」みたいな、なんかそういうネットワークの拠点に行って、そこでインターネットを通って、また相手の携帯電話の近くにある基地局に送られて、その基地局で電子の信号がまた無線信号に代わって、携帯電話のアンテナが受信して相手の携帯電話にメッセージが表示されます。
ひできくん:
へぇ~。
坂本先生:
むちゃくちゃ説明が長かったけど、これが数秒というか瞬時にふだんは行われている、と。「送ったけど届いたかなぁ」とかいうようなことがないんですね。これが、携帯電話で携帯電話と同じような感じでメッセージを送る方法です。
ひできくん:
うん。
坂本先生:
もう1つ、メッセージアプリを使う方法は、基本的な流れは携帯電話でメッセージを書くとそれが電子の信号に代わって……みたいなところは一緒なんだけれども、ちょっと違うところがあります。一番大きな違いは、最初からインターネットを使ってメッセージを送ります。
ひできくん:
うん。
坂本先生:
アプリを使って文を打つと、電子の信号に変わる。これはさっきと一緒なんだけど、この信号を、直接スマートフォンが、インターネットに接続しているでしょう? その接続しているインターネットに送って、送られたメッセージはそこからいったん、サーバーという、インターネット上にある大きいコンピューターみたいなところに1回届くんですね。
ひできくん:
うん。
坂本先生:
だからもしメッセージを送る相手がお隣に座っている家族でも、むっちゃくちゃ遠くにいるおじいちゃんやおばあちゃんでも、いったん同じ大きいコンピューターに1回行くので、同じなんですね。隣だから速いとか遠いから遅いかなというのは、あまりない。
ひできくん:
うん。
坂本先生:
そうすると、インターネット上の大きいコンピューターが、このメッセージを伝えたい相手の携帯電話に転送していく。これをインターネットを通じてやっていて、そうすると相手の人が、インターネットでメッセージを受け取って、アプリ上に届くと見えるようになっているという仕組みなんです。これがすごく速く行われていて、何か送ったらめっちゃすぐにシュッと送られてるなという感じですよね。
ひできくん:
うん。
坂本先生:
これをいかに速く届けるかというので、メッセージアプリごとにいろいろ工夫しています。結構速い方法みたいなものに「ストリーミングプッシュ」とかいうのがあったり、いろいろな方法があるんだけれども、ストリーミングプッシュというのは、動画とか音楽とかをインターネットとかでリアルタイムにずっと聴いたりとかできるでしょう? 聴いたこと、ある?
ひできくん:
うん、できます。
坂本先生:
音楽がブチブチ切れたら困るので、そういうときに使われてたりする方法です。プッシュ、送る、人が何かメッセージをちょうだいとか、どこかサーバーから命令をしなくても、プッシュして送られてくる、自動的に情報が送られてくるような方法なので、動画とか音楽がどんどん自動的に流れてくる、ストリーミング、流れる、プッシュ、送られる、というものなんです。これがリアルタイムでできている。このような仕組みを、メッセージを送るときにも実は使っていて、そうすると動画とかをリアルタイムに聴いているときと同じぐらいの速さでメッセージも送れたりすることもあるんです。
ひできくん:
はい。
坂本先生:
ちょっと難しいお話でしたけど、わかりました?
ひできくん:
結構わかりました。
坂本先生:
おぉ、よかった! すばらしい! 今、自分で説明していて、「こうなってこうなって……」って長く説明して、「速くメッセージが送られるのはなぜですか」という質問なのにこんなに長く説明しなきゃいけないなんて大丈夫かなとか、自分が心配になってました(笑)。
――先生がおっしゃったように、携帯電話、いわゆる携帯電話番号どうしのやり取りだと、基地局というところを通るんですね。
坂本先生:
携帯電話の基地局ですね。
――そしてメッセージアプリだと、インターネットを通して、お隣の人とでも、いったんサーバーという大きなところに飛ばすと。
坂本先生:
そうですね。大きなコンピューターに1回送られます。
――そういう違いはあるけれども、こういうのが瞬時にできるって、ひできくん、すごいよね。ちょっと不思議ですもんね。
ひできくん:
うん。ちょっと不思議です。
――でも、おじいちゃんと時々やり取りしているんですものね。おじいちゃん、喜ぶよねぇ。
ひできくん:
うん、喜んでる。
――ところで突然ですが、ひできくんにちょっと聞きたいんですけど、いいですか?
ひできくん:
はい。どうぞ。
――きょうは12月30日ということで、ひできくんは、ことし何かこんなことを頑張ったよとか、ありますか?
ひできくん:
ありまーす。
――おっ、なんですか?
ひできくん:
サッカースクールに入って、いっぱい練習を頑張りました。
坂本先生:
おぉー!
――頑張ったんだ。リフティングとか、できるようになった?
ひできくん:
できます。
――ちなみに何回ぐらい?
ひできくん:
今は12回とか13回。
坂本先生:
すごーい!
――来年も続けて頑張るのかな?
ひできくん:
はい、そうです。
坂本先生:
サッカーボールも、結局人どうしの間でボールをメッセージみたいにどんどん送り合っているから、すごい速さで送れるといいですね、メッセージアプリみたいに(笑)。
ひできくん:
あぁ、はい。
坂本先生:
瞬時に次の人のところに行ったら相手がびっくりしちゃう。
ひできくん:
うんうん(笑)。
坂本先生:
ゴールまですごい速さで行く、と。
――坂本先生らしいすてきな発想! ひできくんの質問から、大人の人も知らないことがいっぱいわかったと思います。すてきな質問をしてくれてありがとうございました。
ひできくん:
ありがとうございました。
坂本先生:
ありがとうございます。
――これからもサッカー頑張ってね。
ひできくん:
はい。よいお年を!
坂本先生:
はい、よいお年を! すごい、おりこう……。
――よいお年を! さようなら。
ひできくん:
さよなら~。
【放送】
2023/12/30 「子ども科学電話相談」