10時台を聴く
24/02/04まで

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いばらきなのはさん(小学1年生・神奈川県)からの質問に、「水中の生物」の林公義先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
林先生:林公義先生(北里大学海洋生命科学部講師)
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
なのはさん:質問者


――お名前を教えてください。

なのはさん:
なのはです。

――どんな質問ですか?

なのはさん:
あの、お魚を釣って、エラをテープで留めてまた海に戻したら、どうなるんですか?

――わぁ、なのはさん、すごいこと考えましたねぇ。魚のエラがどういう役割かとか、わかっているのかな?

なのはさん:
エラは、水の中にいても息が吸える。

――それをもしテープで留めちゃったらどうするんだろうと、疑問に思ったのかな?

なのはさん:
はい。

――では教えていただきましょう。林先生、お願いします。

林先生:
はい。なのはさん、こんにちは。

なのはさん:
こんにちはー。

林先生:
元気ですねぇ。なのはちゃん、釣りやるの?

なのはさん:
1回しか釣ったことないです。

林先生:
あぁ、そう。水槽の中で何か魚を飼ったりしてる?

なのはさん:
メダカは飼ったことあります。

林先生:
あぁ、そうか。メダカはちょっと小さいから、エラぶたを動かしている様子は観察しにくいかもね。
なのはちゃんは、魚がエラ呼吸をする動物だということはもう知っているんだね。テープをエラに巻いてそのまま海に戻したらどうなるかということだけど、回答を先に言っちゃうと、もしこういう実験をしたら、テープを巻かれた魚は残念ながら死んでしまうでしょうね。

なのはさん:
水、吸っちゃって?

林先生:
水は吸えない。なぜかというのを、これからちょっと説明しますね。

なのはさん:
はい。

林先生:
私たちは、陸上で空気を吸ってその空気を肺に取り込んで、肺でガスを交換して酸素を使って二酸化炭素を外に出すという交換をやる。これは肺呼吸という呼吸法なんですが、わかりますか?

なのはさん:
はい。

林先生:
ワンちゃんもそうだし猫ちゃんもそうだし、お猿さんもそうです。陸上の哺乳動物は、大体肺呼吸をしていますよね。それはわかりますね。

なのはさん:
はい。

林先生:
例えば、なのはちゃんが呼吸をするとき、顔にはいろいろな場所があるけれど、どこを使っていますか?

なのはさん:
口とか鼻。

林先生:
そうですね。口と鼻と両方使いますね。

なのはさん:
うん。

林先生:
じゃあ、今度はお魚の話をします。お魚はエラで呼吸しているということは、なのはちゃんも知っているね。

なのはさん:
はい。

林先生:
お魚は鼻もあるんだけれども、その小さな鼻は呼吸には使っていません。

なのはさん:
えーっ。

林先生:
ですから、お口だけなんですよ。しかも、水の中にすんでいるでしょう?

なのはさん:
うん。

林先生:
さっき、「エラにテープを貼っちゃう」と言ってたんだけど、もしそういうことをされたら、魚にとっては致命傷。要するに、魚は酸素をどこからとっているかということなんです。エラ呼吸という呼吸法なんだけど、どこでとっているかというと、泳いでいる水の中で、口でもってその水を吸い込んで、吸い込んだ水の中に溶けている酸素をエラという器官を使って取り込んで、そしてまたエラから使ったあとの二酸化炭素を出すんです。

なのはさん:
うん。

林先生:
なのはちゃんが言ったエラぶた、そのエラぶたを動かしているというのは、実は水を口から吸うときに、ただ口を開けていても吸えないんです。エラぶたを動かすことによって、水が口から引き込まれてくる。わかるかな……ストローと同じような原理。

なのはさん:
えーっ……?

林先生:
例えばジュースを飲むときに、ストローを使って吸うと水が口の中に入ってくるでしょう? あれと同じなんです。魚でも、口が前に伸びてストローみたいになるやつ、いるじゃん?

なのはさん:
カジキとか、そういうのですか?

林先生:
あっ、カジキはね、あれはストローじゃなくて、1つの大きな唇みたいなものなんだよね。あれはちょっと違うんだ。タツノオトシゴって、知ってる? 来年、辰(たつ)年なんだけど。

なのはさん:
知ってますぅ!

林先生:
うん。タツノオトシゴの口は見たことありますか?

なのはさん:
なんかこう、タコみたいな。

林先生:
そうですね。ちょっとこう、前に出てるでしょう? ああいうのをサイフォン型の口、いわゆるストロー型の口というんです。ですから、口はただ口として餌を取っているだけではなくて、大事なエラに水を送る役目もしています。

なのはさん:
ほほ~う。

林先生:
なのはちゃん、直接魚のエラを触ったことはないだろうと思うけれども……

なのはさん:
ないです。

林先生:
もし魚屋さんかなんかに行って大きな魚を調理していたら、そのときにエラを取り出すからちょっと触らせてもらうといい。すごくやわらかいんです。

なのはさん:
えーっ?

林先生:
ちょうどクシの歯のような形をしていて、何本も何本も、いっぱい出てるの。

なのはさん:
クシの歯って、なんですか?

林先生:
クシというのは、髪の毛をとかすクシ、あるでしょう?

なのはさん:
うん。

林先生:
ああいうふうに、1つの棒のところにとげが何本もあるの。それで、間に隙間があるでしょう? その隙間をお水が通っていくんです。

なのはさん:
ふぅーん。

林先生:
大きな魚だと、1つのエラの形に100本ぐらいの細かい枝がついている。

なのはさん:
ひぇーっ。

林先生:
そういうことなんです。それでそのエラの葉っぱみたいなやつから、酸素を取って二酸化炭素を出しています。
大切なエラはやわらかいので、傷つきやすいでしょう? その傷つきやすいエラを保護しているのが、パクパクやっているエラぶたなんです。これが硬いの。骨が硬い。だから、エラぶたとエラは一対なのね。(エラは)水を吸い込む役目をしていて、酸素を取り込むという大事な作業を、エラぶたという硬い骨格、骨が、傷つかないように守ってくれている。

なのはさん:
へぇー。

林先生:
だからそのエラぶたをテーブでがんじがらめに巻いちゃったら、エラぶたが動かせないから、まずお水が吸えないでしょう?

なのはさん:
うん。

林先生:
エラぶたに仮にお水が入っても、今度はその水を外に出すこともできない。

なのはさん:
口から出すしかないですか?

林先生:
口からはたぶん出せないと思う、エラぶたが閉まっちゃっていると。だから、こういうことは実験ではやらないでください(笑)。

なのはさん:
はい。

――口でも呼吸できそうに見えるけど、魚にとってはエラがすごく大事なんですね。

林先生:
そうなんです。口は水を吸い込む役目をしていて、エラが、呼吸の一番大事な仕事をしているところなんです。

――なのはちゃん、すごく驚いていたけど、知らないこと、たくさんあったかな?

なのはさん:
はい。

――エラとエラぶたは、魚にとってすごく大事なんですって。

林先生:
魚屋さんに行くと大きいお魚もいて、例えばマグロなんていうお魚のエラぶたは、めちゃくちゃ硬いんです。触っても上下に動いたり全くしない。そのかわりマグロはどうしているかというと、口を開けたまま、すごいスピードで泳いでいくから、口から水が自動的に入ってきて、エラに当たってエラぶたからどんどん出ていくんです。だからマグロは、エラぶたが閉まったら死んでしまう。それでエラぶたが閉まらないように、硬くてもう閉まらないかたちになっているんです。口は開けっぱなし。水族館で見るとおもしろいよ。

なのはさん:
なんかちょっと……聞いてたら、「魚、、口、いらないんじゃね?」って思った。

林先生:
あははは。口はさぁ、だって、ごはん食べるのにどうしたって必要じゃん?

なのはさん:
あぁ。

――エラから餌を取ったりはできないんですものね。

林先生:
そうですね。

――餌を取るのはお口からですものね。呼吸をするのにはエラが大事だと。

林先生:
そうです、そうです。エラにいろいろなゴミが詰まっちゃうと呼吸しにくくなるから、「エラ洗い」といって、バババーッと水を動かしてエラについているゴミを取ったりもしますよ。

なのはさん:
エラにゴミ、つくんだ。

林先生:
うん、ゴミ、つくよ。水中にプランクトンなんかいるでしょう?

なのはさん:
あぁ。

林先生:
ああいうのが引っ掛かっちゃう。

なのはさん:
ちっちゃい虫とか?

林先生:
はい、そうです。

――それにしても、なのはちゃん、いろいろ詳しいですね。

なのはさん:
はい。海の生物のメンダコっていうのが、めっちゃ大好きです。

林先生:
あぁ、メンダコ、おもしろいよね。

なのはさん:
あと、イカが好き。

林先生:
そうですか!

――水の中の生き物にこれだけ興味を持ってくれるなんて、頼もしいですね。

林先生:
そうですね。なのはちゃん、今度スタジオに来ませんか?

なのはさん:
えーっつ!

林先生:
海の生き物のお話をしましょう。

――なのはちゃん、メダカを飼っているということですけれど、藤田先生もメダカを飼ってますものね。

藤田先生:
はい。

なのはさん:
あっ、もう死んじゃったんですけど。

――あー、そうなんだ! でも楽しい質問で、大人も勉強になりました。また何か疑問に思うことがあったら質問してください。

なのはさん:
はーい。

――質問してくれてありがとうございました。さようなら。

なのはさん:
さよなら~。

林先生:
はい、さよなら。またね~。


【放送】
2023/12/10 「子ども科学電話相談」

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