10時台を聴く
24/01/28まで

10時台を聴く
24/01/28まで

ふじいこうせいくん(小学6年生・神奈川県)からの質問に、「昆虫」の小松貴先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
小松先生:小松貴先生(昆虫学者)
こうせいくん:質問者


――お名前を教えてください。

こうせいくん:
こうせいです。

――どんな質問ですか?

こうせいくん:
飼っていたカブトムシが、死んだあと自然にバラバラになっていて……。

――死んだらバラバラになっていたんですね。

こうせいくん:
はい。でも標本だとバラバラになっていないのはなぜですか? 死んだあとに自分で虫ピンでただ刺しただけなんですけどバラバラになっていなかったので、なんでかなと思いました。

――こうせいくんは自分で標本も作ったんですね。

こうせいくん:
ピンで刺しただけです。

――ただ刺しただけなんだけどバラバラにならなかったのに、飼っていたカブトムシが死んだらバラバラになっちゃったので、どうしてだろう、と。これは「昆虫」の小松先生、お願いします。

小松先生:
えーっと、ふじいくん、こんにちは。

こうせいくん:
こんにちは。

小松先生:
飼っていてバラバラになっちゃったカブトムシというのは、何か容器の中に入った状態だったのかな?

こうせいくん:
虫かごに入れていました。

小松先生:
虫かごの中には、飼っていたときに使っていた、昆虫マットみたいな土とかが入ってたのかな?

こうせいくん:
はい。

小松先生:
あぁ……えっとね、私、直接状況を見ていないので、こうだとはなかなか言い難いんですけれども、とりあえず可能性のある話をしようと思います。そもそもカブトムシを含め昆虫というのは、人間と違って体の中に骨が通っていないんですよね。

こうせいくん:
うん。

小松先生:
代わりに外骨格と呼ばれる硬い殻で、体の表面をよろいのように覆って体を守っている生き物なわけです。ただ、外骨格というのは本当によろいですから、全身どこもかしこも硬い殻で覆っちゃうと、今度は身動きができなくなっちゃうんですね。

こうせいくん:
ほう。

小松先生:
なので昆虫の体というのは、足とか胴体とか、プラモデルみたいに細かいパーツ・部品があって、それが軟らかい関節によってつながってできているんです。この関節の部分だけ、昆虫というのは曲げたり伸び縮みしたりできるようになっているんですよね。

こうせいくん:
なるほど。

小松先生:
関節というのは水分を含む筋肉でできていて、虫本体が死んでしまうと、水を含んでいる筋肉が真っ先に腐っちゃうんです。それによって体のパーツ・部品どうしのつながりが弱くなって、最終的に昆虫の体はバラバラになっちゃうんですよ。

こうせいくん:
ほう、なるほど。

小松先生:
昆虫の標本を作る場合、基本的に虫が死んだあと、すぐ作るんです。腐る前に虫の体を虫ピンで留めるとかして、昆虫の体を乾燥させてしまうんですね。そうすると体の関節の部分にある筋肉が、腐る前に水分が蒸発して乾いて硬くなるんです。

こうせいくん:
へぇ~!

小松先生:
そうなると関節が今度は接着剤とかノリの役目を果たして、体をかっちり固定するんです。なので、ちゃんと作った昆虫の標本は体がバラバラにならないんです。

こうせいくん:
なるほど。

小松先生:
ただこの(関節という)接着剤の効果は、そんなに強いものじゃないんですよ。なので強い振動とか衝撃が加わると、簡単にばらけちゃうんです。

こうせいくん:
へぇ~。

小松先生:
バラバラになったカブトムシが入っていた容器がどういう場所に置かれていたのかがわからないんですけど、もしかして人がよく通る、行ったり来たりするような場所、玄関とかに置いてあったのであれば、人が歩くと結構振動が加わるんですよね。地面が揺れるんですよ。だから気づかないうちに、死んだあとの虫に何らかの振動が加わっちゃって、虫の体がばらけてしまった可能性はあります。

こうせいくん:
へぇ~。

小松先生:
あるいは、容器の中に昆虫マット的な土が入っていたという話なので、土の中には結構いろいろな菌類とか微生物、目に見えない大きさの生き物がたくさんいるんです。死んだ虫の体に乗り移って分解しちゃう生き物というのが、土の中にはいるんですよ。なのでそういった生き物の働きによって、死んだあとの虫の体がばらけてしまうのがより速くなった可能性はありますね。

こうせいくん:
なるほどー。

小松先生:
そんな感じです。

こうせいくん:
ありがとうございます。

――こうせいくん、標本はうまくできたんですね。

こうせいくん:
はい、できました。

――今もそれを持っているんですか。

こうせいくん:
持ってます。

――そうなんだ! いくつぐらい作ったんですか。

こうせいくん:
1つです。

――それが成功して、ちゃんとくっついているということですものね、先生。

小松先生:
だいたい人間が昆虫の標本を作るのは必要だからで、わりと作った標本を大事にしますから、それでより壊れにくいんです。

――というよさもあるんですね。どうでしょう、こうせいくん、わかりましたか?

こうせいくん:
わかりました。

――よかったです。またぜひ質問を送ってくださいね。ありがとうございました。

こうせいくん:
ありがとうございます。

小松先生:
ありがとうございました。

――さようなら。

小松先生:
さよなら~。

こうせいくん:
さよなら~。


【放送】
2023/12/03 「子ども科学電話相談」

10時台を聴く
24/01/28まで

10時台を聴く
24/01/28まで