10時台を聴く
24/01/28まで

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かわかみゆうりさん(小学4年生・東京都)からの質問に、「植物」のアキリ亘先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
アキリ先生:アキリ亘先生(農研機構 上級研究員)
ゆうりさん:質問者


――お名前を教えてください。

ゆうりさん:
ゆうりです。

――どんな質問ですか?

ゆうりさん:
植物は月の光でも光合成をするんですか?

――ゆうりさんはどう思っていますか?

ゆうりさん:
光合成するかなと思ってます。

――そうなんですね。では「植物」のアキリ先生にお話ししていただきましょう。お願いします。

アキリ先生:
はい。かわかみゆうりさん、こんにちは。

ゆうりさん:
こんにちは。

アキリ先生:
おもしろい質問ですよね。月の光で光合成はできますかということで、ゆうりさんはできると思っているんですね。

ゆうりさん:
うん。

アキリ先生:
答えを言うと、光合成は、すると思います。植物というのは、弱い光でも光合成をして反応を進めることはできるんですね。あっ、その前に……ゆうりさんは、光合成というのはどういうものかわかっているかな?

ゆうりさん:
太陽の光とか水とか二酸化炭素を使って、植物が自分で栄養を作ること。

アキリ先生:
そうですよね。光合成というのは光を使って自分で栄養を作ることですよね。ということは、月の光で、ゆうりさんは植物が育つと思いますか?

ゆうりさん:
思います。

アキリ先生:
あっ、思うんだね、はい。私は、たぶん月の光だと、植物は普通はうまく育たないんじゃないかなと思っているんです。どうしてそうなのか、疑問がわきますよね。月の光で光合成ができて栄養が作れるんだから、普通に育つはずでしょって、思いますよね。

ゆうりさん:
はい。

アキリ先生:
ただもう1つ、重要なことがあるんです。ゆうりさん、私たち人間とか動物は、ふだん呼吸をしていますよね。

ゆうりさん:
はい。

アキリ先生:
植物は呼吸をしていると思いますか?

ゆうりさん:
してる……かな、と思います。

アキリ先生:
はい、正解です。植物も動物と同じように呼吸をしているんです。

ゆうりさん:
うんうん。

アキリ先生:
呼吸というのは、栄養を使ってエネルギーを取り出して、そのエネルギーを使って自分の体を動かしたり成長したりしますよね。それが呼吸なんです。だから植物も、光合成をしつつ自分が呼吸をしているから、光合成で作った栄養を呼吸のために使っちゃっているんです。

ゆうりさん:
なるほど!

アキリ先生:
光合成というのは光が強いとたくさんできるんだけど、月の光みたいに弱いと、どうだろう?

ゆうりさん:
あんまり栄養が作れない。

アキリ先生:
そうなんです、あんまり栄養が作れない。作ってはいるんだけれども、自分の呼吸でどんどんその栄養を使っちゃいますよね。

ゆうりさん:
うん。

アキリ先生:
栄養を作る量よりも栄養を使う量のほうが多いと、足りなくなりますよね。

ゆうりさん:
うん。

アキリ先生:
人間でそういうことが起きるとどうなるかというと、痩せていっちゃいますよね。だから植物も、そういう状態になるとやっぱり育たないんです。

ゆうりさん:
あぁ。

アキリ先生:
栄養が足りないので、自分の体をどんどん増やして新しく作ることができないからね。だから(ゆうりさんが言った)「月の光で」というのは非常におもしろくて、光合成はできるんだけれども、体の中の養分でしばらく生きることはできると思うんだけれども、大きく育つことはできないんじゃないか、というのが答えになると思います。

ゆうりさん:
はい。

アキリ先生:
太陽の光の明るさというのは、普通われわれが使っている言葉で「ルクス」というのがあるんだけど、聞いたことありますか?

ゆうりさん:
ないです。

アキリ先生:
あのね、太陽の明るさは10万ルクスというふうにいわれているんです。

ゆうりさん:
ふうん。

アキリ先生:
でも月の明るさは1ルクスとかだから、10万分の1くらいなんです。だから植物にとって、月の明るさというのは全然足りないんですね。

ゆうりさん:
なるほど。

アキリ先生:
とはいえ、その10万ルクスを植物は全部必要なのかというとそうでもなくて、太陽の光の半分もあれば、普通は植物は育つんです。

ゆうりさん:
あっ、そうなんだ……。

アキリ先生:
うん。それにしても月の光、1ルクスというのはあまりにも暗くて、植物が育つのは難しい。そういう明るさなんですね。だいたいわかりましたか?

ゆうりさん:
はい、わかりました。

――それにしても、ゆうりさんの発想、おもしろいですね。

アキリ先生:
そうですね。なかなか思いつかないですよね。

――光合成というと太陽と思いますけれど、月だって光っているし……と。ゆうりさんはこの質問、どういうところから思いついたの?

ゆうりさん:
ベランダで植物を育てているんですけど、ベランダからたまたま月が見えたときに、光合成ができるのかなって思いました。

――その想像力もすごいですね。月の光で光合成はできるけれども、弱すぎるから成長には限界があるということですね。

アキリ先生:
そうですね。

――ゆうりさん、どうでしょう。わかりましたか?

ゆうりさん:
わかりました。

アキリ先生:
もう1つ付け加えると、植物には光の強さも重要だけど光の質も重要なんです。赤い色の光とか青色の光とか緑色の光とかで、育ち方も変わるんですよ。自由研究とかする機会があったら、今、LEDとかでそういう色の光を出せるものも売っているから、いろいろ実験してみたらおもしろいと思います。

ゆうりさん:
はい。

――光の色で成長が変わるかもしれない、と。

アキリ先生:
そうですね。光の質も重要だということです。

――ゆうりさん、わかりましたか?

ゆうりさん:
わかりました。

――質問してくれてありがとうございました。

ゆうりさん:
ありがとうございました。

――さようなら。

ゆうりさん:
さよなら~。

アキリ先生:
さよなら~。


【放送】
2023/12/03 「子ども科学電話相談」

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