11時台を聴く
24/01/21まで

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せおふうこさん(小学1年生・神奈川県)からの質問に、「動物」の成島悦雄先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
成島先生:成島悦雄先生(元・井の頭自然文化園園長/獣医師)
ふうこさん:質問者


――お名前を教えてください。

ふうこさん:
ふうこです。

――どんな質問ですか?

ふうこさん:
これからも人間は1万年とか4,000年たったら進化するんですか?

――それは人間が別の生き物に変わっていくんじゃないか、ということかな?

ふうこさん:
うん。

――もっとすごい才能を持ったりすごい変化があるとか、そういうことかな?

ふうこさん:
うん。

――では「動物」の成島先生に教えていただきましょう。お願いします。

成島先生:
はい。せおふうこさん、こんにちは。

ふうこさん:
こんにちは。

成島先生:
人間はサルから進化したといわれていますよね。

ふうこさん:
うん。

成島先生:
だいたい今から700万年前ぐらいという、ものすごい昔……700万年って、よくわからないよね。

ふうこさん:
わかるよ。

成島先生:
あっ、わかる? よかった! すごい昔にね、チンバンジーと共通のご先祖さまがいたんだって。それが700万年ぐらい前に、チンパンジーのほうに進化していった動物と、人間のほうに進化していった動物に分かれたんですって。

ふうこさん:
そうなんだ。

成島先生:
うん。今、僕たち、「人間」っていうでしょう?

ふうこさん:
うん。

成島先生:
人間という動物は、学名でいうと「ホモ・サピエンス」という種なんだよね。このホモ・サピエンス、ヒトという生き物は、今から20万年ぐらい前にアフリカで生まれたんですって。だから僕たちヒトは種としてだいたい何歳かというと、だいたい20万歳、っていうのかな。それくらいなんですって。

ふうこさん:
えーっ。

成島先生:
だから、ふうこさんが言った4,000年とか1万年という時間は、人間が生まれて今まで生きてきた時間に比べるとものすごく短いでしょう? だから4,000年とか1万年では、人間は別の動物にはたぶん変わらないと思うな。

ふうこさん:
変わらない……。

成島先生:
うん。もっとたくさん時間があれば、変わる可能性はあると思いますけれどもね。それで、ふうこさんは、お母さんから生まれたでしょう?

ふうこさん:
うん。

成島先生:
お母さんとふうこさんは、とてもよく似ていると思うんだ。お父さんともよく似ていると思うんだけど、でもちょっと違うよね。顔かたちは似ているでしょうけれども、まるっきり同じじゃないでしょう?

ふうこさん:
まるっきり同じではない。

成島先生:
まるっきり同じだったら双子になっちゃうもんね。

ふうこさん:
うん(笑)。

成島先生:
お母さんととても似ているところがあると思うけど、ちょっと違う。そういうふうに、人間が命をつないでいくときには親から子につながっていくわけだけれども、少しずつ姿かたちが変わっていくんだよね。それはわかるかな? 親から生まれる子どもは、親とまるっきり同じじゃないんだ。少しだけ違うんだよね。

ふうこさん:
うん。

成島先生:
そういう少しずつの違いが集まっていって、たぶん新しい種になると思うんですよ。それにはものすごく時間がかかるんだ。

ふうこさん:
うん。

成島先生:
人間が生まれてからまだ20万年しかたっていないので、これから4,000年とか1万年の時間がたっても、たぶん今とあまり変わらないような人間という種としているんじゃないかなと思うんです。ただもっともっと時間がたてば、新しい環境にうまく合った姿かたちに人間が変わっていって、新しい、人間とは別の種になっていく可能性は十分にあると思います。

ふうこさん:
うん。

成島先生:
例えば今から4,000年とか1万年前のことを考えてみようか。ヒトはどんな生活をしていたかというと、やっと農業が始まったくらいなんですって。

ふうこさん:
へぇ〜。

成島先生:
それまでは「狩猟採集」といって、海に行ってお魚をとったり、陸の動物を捕まえたりしてごはんを食べていたんだって。

ふうこさん:
知ってる。

成島先生:
あっ、知ってる? いいぞ〜。そういう生活は、農業、お米とか野菜を作ることに比べると、獲物が得られる場合もあるし得られない場合もあるので、不安定じゃない?

ふうこさん:
確かに。

成島先生:
ねぇ。ところが農業が発達してくると、できた穀物をためておくことによって安定した生活ができるようになるじゃないですか。

ふうこさん:
うん。

成島先生:
今から4,000年とか1万年前は、そういう時代だったの。それと今の僕たちの生活がどれくらい変わったかというと、そんなに変わってないでしょう?

ふうこさん:
うん。

成島先生:
だからこれから4,000年とか1万年後のことを考えてみても、たぶんそんなには変わらないと思うんだ。

ふうこさん:
4,000万年とかだったら、変わるかもしれない?

成島先生:
4,000万年だったら変わると思うよ、きっと。それはうんと先だもんねぇ。

ふうこさん:
うん。

――ふうこさんは、どういうところからこの質問を発想したの?

ふうこさん:
なんか、考えてたら思った。

成島先生:
ふうん、そうか!

――でも、ふうこさん、いろいろ詳しいですよね。

成島先生:
ほんとですね。さっき別の質問で歯の話があったんですけども、「親知らず」という歯、人間の8番目の奥歯なんですけど、それが大人になって生える人と生えない人がいるんですって。

ふうこさん:
お父さんもお母さんも、生えたことがあるらしい。

成島先生:
あっ、よく知ってるねぇ。お父さんもお母さんも生えてるんだ?

ふうこさん:
うん。

成島先生:
今ね、4人に1人は生えないんだって。

ふうこさん:
へぇ。

成島先生:
そういう統計があるらしいよ。それはなぜかというと、やわらかい食べ物を食べていると、歯がいらなくなっちゃうんだって。そういうことで、人間のかたちも少しずつ変わってはきているらしいです。だからふうこさんが言うように、4,000万年もたてばたぶん全然変わっちゃうと思うな。

ふうこさん:
うん。

――ひょっとしたら、違う感じになっていくかもしれないですよね。ふうこさんの質問のおかげで、いろいろ考えさせられました。ふうこさん、わかりましたか?

ふうこさん:
うん。

――よかったです。またぜひ質問を送ってくださいね。ありがとうございました。

ふうこさん:
ありがとうございました。

成島先生:
さよなら〜。

ふうこさん:
さよなら〜。

――さようなら。


【放送】
2023/11/26 「子ども科学電話相談」

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