11時台を聴く
24/01/21まで

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もりながさくらさん(6歳・福岡県)からの質問に、「植物」の塚谷裕一先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
塚谷先生:塚谷裕一先生(東京大学大学院 理学系研究科教授)
さくらさん:質問者


――お名前を教えてください。

さくらさん:
さくらです。

――どんな質問ですか?

さくらさん:
なんでたまねぎは、生のまま切ったら涙が出るのに、煮たり焼いたりしたら切っても涙が出ないんですか?

――ほんとですよね。さくらちゃんは自分で体験したことがあるのかな?

さくらさん:
はい、あります。

――包丁で切ってみたりしたことがあるんですか?

さくらさん:
はい、あります。

――それでどうしてだろうと思ったんですねぇ。

さくらさん:
うん。

――では先生に教えていただきましょう。塚谷先生、お願いします。

塚谷先生:
はい。もりながさん、こんにちは。

さくらさん:
こんにちは。

塚谷先生:
そうですよね、不思議ですよね。たまねぎ、食べるの好き?

さくらさん:
好きです。

塚谷先生:
よかったです。生のままでサラダにしようと思ったりして刻むと、涙が出てきますよね。目が痛いですよね。

さくらさん:
はい、痛いです。

塚谷先生:
たまねぎって、おいしいじゃないですか。

さくらさん:
はい。

塚谷先生:
おいしいから、人間だけじゃなくて虫とかも食べたいんですよ。でも虫とかにかじられたら、たまねぎは困るじゃないですか。

さくらさん:
うん。

塚谷先生:
なので、かじられて傷ついたりしたときに、そういう悪さをするやつに仕返しをするためにというか、それ以上かじられないために、涙が出るようなものを用意しておくんです。

さくらさん:
そうなんだ。

塚谷先生:
用意しておくんだけど、ふだんからあの状態で涙が出るようなものをためておいたら、目にしみるようなものを体にためておいたら、たまねぎの体も悪くなるじゃないですか。

さくらさん:
はい。

塚谷先生:
たまねぎも困るよね、あんなのが自分の体の中にあったら。だからたまねぎは、傷ついたときに傷ついたところで、「化学反応」というんだけど、もともと体の中に用意しておいたものを2つ混ぜ合わせることで、目にしみるようなものができるように仕組んでいます。

さくらさん:
そうなんだ!

塚谷先生:
うん。だから傷つけない限りは、たまねぎの体の中には目にしみるようなものはないんです。傷つけられたりかじられたりすると、体の中に用意していたものが混ざるので、目に痛いようなものができる仕組みになっているんですね。

さくらさん:
はい。

塚谷先生:
なので、生のまま刻むとああいったものができて目にしみるんですけれども、焼いたり煮たりすると火が通るというか、熱が通るじゃないですか。

さくらさん:
うん。

塚谷先生:
そうするとね、混ぜ合わせると目にしみるものができるもののうちの、片方が壊れちゃうの。片方が熱に弱いの。だから火が通ったあとだと、混ざったときのせっかくの攻撃ができなくなるんです。

さくらさん:
じゃあ、混ざらなくなるということ?

塚谷先生:
うん。もともと2つ混ざるとしみるものができたんだけど、片方が壊れちゃうんだよね。だから傷つけても、もう目にしみるものを作ることができない状態になっちゃうんです。

さくらさん:
あぁ、そうなんだ。

塚谷先生:
だから1回火を通してからだと、刻んでも目が痛くならない。それから刻んで目がしみるのも、火を通すとなくなるでしょう? 目にしみなくなるじゃない?

さくらさん:
うん。

塚谷先生:
目にしみる物質、目が痛くなるやつがあるんですけど、あれも火に弱い、熱に弱いので、あれも壊れちゃうんです。

さくらさん:
あぁ。

塚谷先生:
もともと自然界で虫とかにかじられたときに困らせるために用意しているものなので、火を通すなんてことを想定していないから、熱が通っちゃうと、その仕組みがうまくいかないということですね。わかったかな?

さくらさん:
うん、わかりました。

塚谷先生:
よかったです。

さくらさん:
新たまねぎはどうなるんですか?

塚谷先生:
新たまねぎもそうですよ。ただ、用意するもののたまり方が、十分熟したものに比べるとちょっと少なめだけど、やっぱり同じく目にしみますよね。ちょっと量が少ないけどね。

さくらさん:
量が少ないから、熟したものよりはちょっと目にしみにくくなるっていうこと?

塚谷先生:
うん。たまねぎの玉になっているところって、葉っぱの根元なんだよね。たまねぎの葉っぱは、目にしみるものをそんなにためていないんです。緑のところね。

さくらさん:
あぁ。

塚谷先生:
やっぱり玉のところが甘いし、おいしいじゃないですか。だからあそこを攻撃されるから、そういったものであそこを防御している、防いでいるんですね。

さくらさん:
じゃあ、切るときはどうすれば涙が出ないんですか?

――わぁ、それは私も知りたい!

塚谷先生:
それはみなさんね、おいしいからたくさん刻みたいんだけど、涙が出るんだよねぇ。でも1つは、2つが混ざったときに化学反応が起きて目にしみるものができるので、混ざるときの反応を抑えるために、例えばすごく冷たくしておくとか、そうすると少しは楽です。

さくらさん:
あぁ、はい。

塚谷先生:
あとは、刻んでフレッシュなサラダで食べたいときは難しいんだけど、もりながさんが経験したみたいに、あらかじめ火を通しておく。そうしたら刻んでも大丈夫。

さくらさん:
あぁ。

塚谷先生:
フレッシュなサラダにはならないけど(笑)。

――まるごと焼いてから刻むとか。

塚谷先生:
電子レンジでちょっと熱を通しちゃうとかね。そんな感じです。いろいろ工夫して、絶対大丈夫という方法を見つけたら、世界中の料理人が喜ぶと思いますよ。ぜひ試してみてください。

さくらさん:
うん、試してみます。

――さくらさん、新たまねぎはどうだろうとか、詳しいですよね。おうちの人と一緒に、お料理したりお買い物したりしているのかな?

さくらさん:
お買い物には一緒に行ってます。

――だからいろいろな発見もあるんですねぇ。またわからないことがあったら質問を送ってくださいね。ありがとうございました。

さくらさん:
ありがとうございました。

――さようなら。

さくらさん:
さよなら〜。

塚谷先生:
さよなら〜。


【放送】
2023/11/26 「子ども科学電話相談」

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