なりたかずはるくん(小学2年生・愛知県)からの質問に、「天文・宇宙」の国司真先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)
【出演者】
国司先生:国司真先生(跡見学園女子大学兼任講師/板橋区立教育科学館プラネタリウム「わくわくキッズ宇宙星空教室」担当)
かずはるくん:質問者
――お名前を教えてください。
かずはるくん:
かずはるです。
――どんなことが聞きたいですか?
かずはるくん:
太陽とブラックホール、どっちが強いか。
――かずはるくん、ブラックホールとか知ってるんだね。
かずはるくん:
うん。
――かずはるくんは、どっちが強いか予想してたりするのかな?
かずはるくん:
うん。
――おっ、どっち?
かずはるくん:
ブラックホール。
――そうなんですねぇ。では先生に聞いてみましょう。国司先生、お願いします。
国司先生:
はい。かずはるくん、こんにちは。
かずはるくん:
こんにちは。
国司先生:
そうだよね、どっちが強いかなって、気になるよね。
かずはるくん:
うん。
国司先生:
実はおじさん、このごろお相撲を見ててね、「こっちの力士とこっちの力士でどっちが強いかな。あっ、ちっちゃいほうが勝っちゃった!」とかいってワクワクするのね。お相撲というのは、人がそういうルールでやっているスポーツ、神事でもあるんだけれども、強いか弱いか、勝ち負けはわかるね。
でも自然とか星とか宇宙で強いか弱いかっていうと、強いほうがいいのか弱いほうがいいのか、決められないことが多いんだよね。そこで、かずはるくんの「太陽とブラックホール」、まず太陽だけど、かずはるくんが住んでいるのは愛知県だね。今、天気はどう? いい天気かな?
かずはるくん:
晴れてる。
国司先生:
あぁ、晴れてるね。太陽はとってもあったかくて、太陽が出ないと寒くなっちゃうよね。きっと作物も育たないよね。ということは、太陽は地球に住んでいる私たちにとっては、とても大切なものなんです。
そして、ブラックホール。ブラックホールはおじさん、見たことがないし、かずはるくんも見ることができないと思うけど、光、出すかな?
かずはるくん:
……。
国司先生:
ブラックホールは光も吸い込んじゃうから、光が出てこないんだよ。
かずはるくん:
へぇ。
国司先生:
だけど重いから、引っ張る力はとても強いのね。だからあまり近づくと吸い込まれてしまうんだけれども、遠くからブラックホールを見ても光らないから、ブラックホールであったかくなったなということがないの。
だからもしブラックホールと太陽が、人とか生物が生きていけるかということで考えると、ブラックホールより太陽のほうが、強いというよりも大切なものになってくると思います。
いろいろなことで比べてみるとすれば、1つは重さ。これは質量といったほうがいいんだけど……ブラックホールは星空の中にいくつもあるんだけれども、例えば星座の中で「いて座」という名前、聞いたことあるかな?
かずはるくん:
ある。
国司先生:
あぁ、よかった。上半分は人で後ろ半分が馬の姿をしているいて座、これは夏の星座ですが、そのいて座の方角をずっと観察していくと、ブラックホールがあるんです。
これは私たちの住んでいる天の川銀河という、たくさんの星の集まり、渦巻きの真ん中のあたりで、そこにブラックホールがあります。その重さ、質量はどのくらいかというと、太陽の400万倍あるんだって。
かずはるくん:
えーっ……。
国司先生:
すっごく重いよね。重さだけで比べると、太陽より天の川銀河中心のブラックホールは400万倍も重い。。だから引っ張る力が強いということになると思います。けれども光を出さないから、太陽のほうが私たちにとっては大切かなというふうに思います。
それからもう1つ。ブラックホールが天の川銀河の真ん中にあって、引っ張る力がとても強いから天の川銀河がグルグル大きな渦巻きのようになっているんだけれども、渦巻きのようになっているためには、真ん中で引っ張る力が必要になる。
ということは、天の川銀河の中心にブラックホールがなくなってしまうと、光は出さないんだけれども、今の回転の渦巻きが散らばっていって天の川銀河がなくなっちゃう、なんてことも考えられる。そうするとブラックホールはやっぱり大切だなということになってきます。
だから引っ張る力の強さでいうと、ブラックホールのほうが強い。だけど目で見ることができる光、それからX線とかガンマ線とかの電磁波、電波もそうなんだけど、そういうのが太陽から出てくるので、そういった意味では、ブラックホールよりも太陽のほうが強いといったらいいのかな、電磁波を強く出しているのがわかります。
それからブラックホールのすぐ近くからはX線とか電磁波が出てくるから、やっぱりブラックホールのほうが強いのかなぁ。
でも、おじさんは、お相撲の行司さんのように「こっちが強い。勝ち!」って言えないんだよね。それはね、自然って、おもしろいんだよ。どういうふうに考えたら、こっちのほうが強いのかな、弱いのかなとか、弱いけどそれがとっても助かるんだ、ということがあるんです。
弱い綱があって、その綱が3年ぐらいするとポロッと取れると、野生の動物に何かつけたときに3年たつと取れたほうがいいというときには弱いほうがいいんですよ。
だから、強い・弱いで決めないほうがいいのかな。でもそういう考え方はとても重要らしいよ。だから、かずはるくんが考えたことは、これからかずはるくんがものを考えていくときに重要なことだと思います。
――どうかな、かずはるくん。太陽には太陽のよさがあって、ブラックホールにはブラックホールの、また違うよさがあるということですよね。
国司先生:
そうそう。その違いを一生懸命調べていくと、それぞれのよさがわかってくると思います。
かずはるくん:
はい。
――太陽とブラックホールが「はっけよい、のこった!」と戦うことはできないけど、これからもっともっと太陽は光だけじゃなくてどんなことがあるのかなとか、ブラックホールはどうなのかなって調べていくといいかもしれませんね。
国司先生:
そうそう。調べると、どんどん好きになることがあると思います。あと太陽もね、50億年くらいするとプーッとふくれちゃうという研究もあるんです。
それから、太陽の近くにブラックホールはないのかなって調べてみると、ヒアデス星団のところにブラックホールらしいのがあるというんだけど、あそこまで太陽が近づくことはないのでそこに吸い込まれちゃうことはないと思います。
――かずはるくん、わかったかな?
かずはるくん:
わかった。
国司先生:
よかったー。
――よかったです。また何かわからないことがあったら質問してください。質問してくれてありがとうございました。
かずはるくん:
はい。
――さようなら。
かずはるくん:
さよなら〜。
国司先生:
はい、さよなら〜。
【放送】
2023/11/19 「子ども科学電話相談」