10時台を聴く
24/01/14まで

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きたじまみつきさん(6歳・神奈川県)からの質問に、「動物」の小菅正夫先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
小菅先生:小菅正夫先生(札幌市円山動物園参与)
みつきさん:質問者


――お名前を教えてください。

みつきさん:
みつきです。

――どんな質問ですか?

みつきさん:
寒い地域には野良猫はいるのですか? 冬を越せるのでしょうか?

――みつきさんは、何か飼っていたりするんですか?

みつきさん:
イヌを飼ってる。

――そうなんですね。ネコが外にいたらどうなるんだろうって、ちょっと心配なのかな?

みつきさん:
うん。

――早速先生に聞いてみましょう。まさに寒い地域、北海道にお住まいの小菅先生、お願いします。

小菅先生:
はい。みつきさん、こんにちは。

みつきさん:
こんにちは。

小菅先生:
みつきさんの家の近くに野良猫はいるの?

みつきさん:
うううん。

小菅先生:
いないの? そっか。じゃあ、野良猫を見たことないんだ?

みつきさん:
うん。

小菅先生:
それでどうして野良猫が心配になったんだろう?

みつきさん:
今の時期、寒いから。

小菅先生:
あぁ、そうだよねぇ。おじさん、子どものころからずっと北海道にいて冬も寒いけど、おじさんが子どものときは野良猫はたくさんいたなぁ。わりと札幌の街の中に住んでたんだ。でもね、野良猫は結構いた。

みつきさん:
ふうん。

小菅先生:
夜とか寒いときにどこで過ごしているかというと、風が当たると寒いでしょ?

みつきさん:
うん。

小菅先生:
おじさんの家の近くに神社とかお寺があったので、そこの縁の下みたいなところに丸くなっていたよ。それで実はそこはねぐらになっててね、赤ちゃんを産んだりもしてた。

みつきさん:
へぇ〜。

小菅先生:
そういうところに結構いたんだけど、最近はおじさんの家の周りにもあんまりいないな。じゃあ、どんなところにいるかというと、結構、郊外にはいる。

――「郊外」というのは、ちょっと街から離れたところですよね。

小菅先生:
そうですね。みつきさん、畜産農家ってわかる? 牛とか豚とか飼っているところ。周りにあるかい?

みつきさん:
ない。

小菅先生:
ないか、そうか。そこに行くとね、結構、野良猫がいるんだ。どうしてそこにいるかというと、おじさん、実際行ってみたんだけど、干し草とかそういうものを積んである倉庫があるわけよ。

干し草の中に入っちゃったら、風もこないしあったかいじゃん? そういうところで過ごしてたな。そしてそれは農家の人も、決して嫌じゃないの。どうしてだと思う?

みつきさん:
……あったかいから?

小菅先生:
ネコがそこにいてくれたら、農家の人が助かるの。
なぜかといったら、ネズミが入ると大変なんだよ、そこでネズミが増えちゃって。倉庫にネコが1匹いてくれたら、絶対ネズミは来ないからね。だからそんなところで、ネコは冬でも寒くならないで暮らせるんだよ。

みつきさん:
へぇ〜。

小菅先生:
それとあと街の真ん中、盛り場みたいなところ。飲食店街はわかるかな? 食べ物屋さんがたくさんあるところ。

みつきさん:
うん。

小菅先生:
そういうところにも、結構ネコはいます。
どうしてそこにいられるかといったら、家の中にはいないんだけど、今はエアコンとかあるじゃない? 家の外についているエアコンの機械の陰にそーっといると結構あったかいから、そういうところで冬を過ごしているんです。

またね、ネズミが結構いるんだよ、そういうところって。

みつきさん:
ふうん。

小菅先生:
食べ物がたくさんあるからネズミがいて、餌となるネズミがいてあったかいところで寝ることができるから、結構そういうところには野良猫がいるんだ。

野良猫というのはものすごく生活の知恵があって、そこに行けば冬を越せるかなって、ちゃんと自分で見つけて行って、そこで暮らしているんだよね。
だから北海道でも心配はない。

みつきさん:
ふうん。

小菅先生:
でも実は大きな問題があるの。それはね、天売島(てうりとう)って知ってるかな?

みつきさん:
知らない。

小菅先生:
そうだよね。北海道の西海岸にある小さな島なんだけど、そこには海鳥がたくさんいるの。海鳥がたくさんいるので、希少種といってそこにしかいないような鳥もたくさんいるんだけど、そこに野良猫もいてそのヒナをぜんぶ食べちゃってさ。

ウミガラスという鳥、一般的にはオロロン鳥といわれているんだけど、それが絶滅しかけたことがあるんだよ。

みつきさん:
ふうん。

小菅先生:
野良猫の生活力って、すごいなと思うんだよね。

――みつきさんが心配したように、野良猫は寒いところにずっといるというよりも、ちゃんと温かいところを自分で見つけるということですね。

小菅先生:
そうそう。いくら体を丸めたって野ざらしのところには、いられないからね。

――風がピューピュー吹いたり雪が積もったり・・・

小菅先生:
イヌは雪の中に入っちゃうから。アイヌ犬、北海道犬というやつなんかそうなんだけど、雪の中に入って過ごすんだ。

ネコはそれができない。だからネコは何とか自分の身を守ってくれるようなあったかいところを探し出して、そこで暖をとって暮らして、食べ物も近くにあったらいいなと、そういう暮らしをしています。

みつきさん:
へぇ〜。

――たくましいんですね。

小菅先生:
たくましすぎて、だから野生動物が被害を受けてしまう。

――場所によってはそうなんですねぇ。

小菅先生:
沖縄のヤンバルクイナなんかも、結局ネコによる被害でかなり数を減らしています。野良猫は(そもそも)人間が飼っていた生き物なので、外に出して野生動物に影響があるようにしちゃいけないんです。飼い主は責任を持って自分の家で飼ってほしいなと、おじさんは思ってるんだけどね。

――どうでしょう、みつきさん。

みつきさん:
わかりました。

――みつきさん、心配してくれたけど、意外とネコはたくましいんですって。質問してくれて、ありがとうございました。

みつきさん:
ありがとうございました。

――さようなら。

みつきさん:
さよなら〜。

小菅先生:
さよなら〜。


【放送】
2023/11/19 「子ども科学電話相談」

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