11時台を聴く
24/01/07まで

11時台を聴く
24/01/07まで

にしざかしょうまくん(中学1年生・鳥取県)からの質問に、「心と体」の篠原菊紀先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
篠原先生:篠原菊紀先生(公立諏訪東京理科大学教授)
しょうまくん:質問者


――お名前を教えてください。

しょうまくん:
しょうまです。

――どんな質問ですか?

しょうまくん:
なぜ人によって声が違うんですか?

――人によって声って違いますよねぇ。しょうまさんは、どういうところからこの疑問が湧いたんですか?

しょうまくん:
自分の声と人の声が違うなぁと思って。

――うんうん。状況によっても急に高くなったり低くなったり、不思議ですよね。お答えいただきましょう。篠原先生、お願いします。

篠原先生:
はい。にしざかしょうまくん、こんにちは。

しょうまくん:
こんにちは。

篠原先生:
声変わり、してるよね。

しょうまくん:
たぶん、少しはしていると思います。

篠原先生:
うん、そうだよね。結構大人っぽい声になってるように聞こえます。声変わりしたということは、以前のしょうまくんと今のしょうまくんで、声が違ってるということだよね。

しょうまくん:
そうですね。

篠原先生:
それもまた不思議だよね、なんで声が変わるのか。そもそも、人によって声が違うのはどうしてなのか不思議だと思うんだけど、それにはいくつか理由があって、一番大きいのは声帯の違いだと思います。「声帯」って聞いたことありますか?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
「声の帯」と書きますけど、場所はわかりますか?

しょうまくん:
はい。のどです。

篠原先生:
のどのどの辺にあるかはわかる?

しょうまくん:
わかりません。

篠原先生:
のどは首の上の辺りで、口から入って中にいくと2つに分かれているのは知ってる?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
後ろ側が胃のほうにいく食道になっていて、前のほうが肺にいく空気とかの通り道みたいになっているよね。肺につながっていく空気の通り道の入り口みたいなところに、声帯といわれているものがあります。

しょうまくん:
へぇ〜。

篠原先生:
これはちょっと余計な話だけど、空気は食道のほうにも入っていって、胃とかにもいくんだよね。それが最終的には結構おならのもとになったりするんだけど、まあ、その話はどうでもいいとして、肺のほうにいくルートの入り口辺りに声帯があるんだけど、声帯の絵とか見たことある?

しょうまくん:
ないです。

篠原先生:
ネットとかで調べるとわかるけど、横からの断面というか声帯のある場所を示している絵だけ見ると何か円盤状のものがあるんだけど、正面からの断面を切った絵を見ると、ひだみたいなやつが2層になっていてビラビラみたいな感じになってるんだよね。

しょうまくん:
へぇ〜。

篠原先生:
それは筋肉なんだけど、ひだになった筋肉があって、それを声帯といいます。「前庭(ぜんてい)ひだ」というのと「声帯ひだ」とに分かれていて、これが空気の通過で振動するの。そういうものが振動すると音が出るから、それが声のもとになってくるんです。わかります?

しょうまくん:
……わかりません。

篠原先生:
例えば何か楽器を鳴らすとき、バイオリンならバイオリンを弾くときに、弦があるじゃないですか。あれが震えることで音が出るんだけど、同じように声帯というところが震えると音が出るんです。

しょうまくん:
……へぇ。

篠原先生:
これは「科学」の先生に聞いたほうがいいかもしれないけど、そういう仕組みがあるのね。ちょっとまず声変わりのほうの話をすると、しょうまくんくらいの年齢になってくると、体を男っぽくというか大人っぽくというか、そういうふうにしていく男性ホルモンが増えていきます。そうすると声帯の筋肉のひだひだが厚く大きくなってくるのね。

しょうまくん:
あぁ。

篠原先生:
ひだが厚く大きくなってくると、それに空気を通して振動させると1秒間に震える回数が少なくなってくるんだよ。

しょうまくん:
へぇ!

篠原先生:
動きにくくなる、と言ったほうがいいかな。そうすると周波数というのが変わってきて、声が低くなるのね。

しょうまくん:
おぉ。

篠原先生:
これが、声変わりなんです。

しょうまくん:
そうなんですね。

篠原先生:
うん。今、声変わりの話をしたけど、人によって声帯の厚さや大きさはもともとみんな違うのね。違うから、一人一人声が違ってくるということがまず1つあります。大丈夫?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
それから、声帯が震えることが音を出すもとになっているけど、今度はその音を響かせる場所、声帯の周りに喉頭という部分があって、ただ震えるだけで音を作っているというより、震えた音をそこで反響させているんです。さっき楽器の話をしたけれど、例えばバイオリンとかだと、箱みたいなものが付いているじゃない?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
あそこで反響させて音を出しているんだよね。例えばバイオリンだとああいう高音になるけど、大きいチェロなんかになると、もっと響きが安定して低い音になるということが起こる。だから響かせる場所というか空間をどういう形に作るかによって、音は変わってくるのね。だから声帯のある喉頭という場所の大きさとか形でも、声は違ってくるんです。わかるかな?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
なので声帯の構造、声帯周りの響き方の構造、そこだけじゃなくてさらにもっと上のほう、しゃべるときは口の中でも響くから口の中の構造、それから鼻の中も通ってきたりするから鼻の中の構造、鼻腔とか副鼻腔というところでも音が響いたりするんだけど、そういうところがいくつもあるので、その構造の違いでも声が違ってくるのね。

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
逆にこの構造がよく似ていると、例えば声帯のつくりや大きさ、形とか、喉頭とか口腔とか鼻腔とか副鼻腔の形が似ていると、声は似てきます。一卵性双生児ってわかる?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
双子ちゃんね。特に、二卵性じゃなくて一卵性といって同じ精子と卵子から出来てくる人はすごく似ているのね。そうすると当たり前だけど声帯もよく似てくるし、喉頭とか口腔とか鼻腔とか副鼻腔も似たような構造になるから、声も極めて似ているという話になってきます。

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
まとめると、声帯とか声帯周りとか口の中の空間とか音を響かせる空間とか、その形とか大きさによって、声は一人一人違ってくるということが1つですね。それから発声のしかた、例えばしょうまくんは、ボイストレーニングなんてやったことないよね?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
歌手とかになると、ボイストレーニングといっておなかから声を出すようなトレーニングをしたりするんだよね。声というのは、発声のしかたとか筋肉の使い方、息のコントロールのしかたとか発音そのもののしかたとかで全部変わってくるので、それによっても違ってくることがあるし、特別なトレーニングをしなくても知らない間にそういう声の出し方になることもあるから、それによって違うこともあります。こんなことで、大体いいですか?

しょうまくん:
はい。

篠原先生:
余談だけど、声はこうやって人によって違いがあるから、人工知能とかを使うとちょっとした声のサンプルだけで誰の声か判別できるし、最近話題になったように、総理大臣の声ぐらいは簡単に作り出せて勝手にしゃべらせることもできたりします。

――しょうまくん、大丈夫?

しょうまくん:
よくわかりました。

篠原先生:
あぁ、そうですか! ぜひお願いしたいのは、こういうのはこうやって聞いてるよりも絵面を見たほうが早いので、「声帯」ということで調べると、横から見てどの位置にあるかというのや、正面から見たらどんな断面になっているかというのが出てくるので、そういうのを見るとピンと来たりするから、できるだけ見て確認するということをやっといてもらいたいと思います。

しょうまくん:
わかりました。

篠原先生:
お願いしまーす。

――しょうまさん、ありがとうございました。

しょうまくん:
ありがとうございました。

――さようなら。

しょうまくん:
さよなら〜。

篠原先生:
はーい、さよなら〜。


【放送】
2023/11/12 「子ども科学電話相談」

11時台を聴く
24/01/07まで

11時台を聴く
24/01/07まで