10時台を聴く
24/01/07まで

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えんどうとうまくん(小学3年生・北海道)からの質問に、「鳥」の川上和人先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
川上先生:川上和人先生(森林総合研究所 鳥獣生態研究室長)
藤田先生:藤田貢崇先生(法政大学教授)
とうまくん:質問者


――お名前を教えてください。

とうまくん:
とうまです。

――とうまくんはどんな質問ですか?

とうまくん:
なぜ生卵の黄身は黄色で、白身は透明なんですか?

――では川上先生、お願いします。

川上先生:
はい。どうもこんにちは、川上でーす。

とうまくん:
こんにちはー。

川上先生:
秋ですね。今、東京は天気悪いんですけど、そちらは天気いいですか?

とうまくん:
はい。

川上先生:
よかったです。そういうときって、学校で遠足とかあったりします?

とうまくん:
最近はないです。

川上先生:
そっか。天気がいいとどこか出かけたくなっちゃいますね。それはさておき、ニワトリの卵についてですけれど、黄色いところと透明のところ、黄身と白身がありますね。それが何なのかを話していきたいと思います。黄色いところは、実は黄色い色が付くための、「色素」というんだけれどもカロテノイドというのが入っています。カロテノイドが入るから黄色いんだけれども、そのカロテノイドは一体何の役に立つのか、これはちょっとなかなか難しいんですけれども、隣に「科学」の藤田先生がいるので、いきなりですけれども聞いてみたいと思います。

とうまくん:
はい。

藤田先生:
はい。とうまくん、こんにちは。

とうまくん:
こんにちは。

藤田先生:
カロテノイドというのは、天然色素という、色のもとですね。それを総称してカロテノイドと言うようなことがあるんですけど、例えばトマトとかニンジンとか、色が付いていますよね。

とうまくん:
はい。

藤田先生:
あの色もカロテノイドがもとになっていて、これは植物だけではなくて動物も、例えばテントウムシがいますよね。テントウムシは何色ですか?

とうまくん:
赤と黒。

藤田先生:
赤と黒ですよね。その赤い部分はカロテノイドによって色が付くと考えられています。カロテノイドは何の役に立つのかというと、カロテノイドがまた別の物質に変わって、そして私たちの栄養になるんですけど、その栄養分というのはビタミンAです。ビタミンAは、多くの鳥の場合は体の中で作ることができません。外から取り入れるしかないので、そのために、卵の中にたっぷりカロテノイドが入っているということで、よろしいですか?

とうまくん:
はい。

川上先生:
藤田先生、ありがとうございます。というわけで、体に必要な栄養分のカロテノイドが入っているから、黄色くなるんですね。じゃあその黄色い色をどこから取り入れているかというと、実はニワトリだと、トウモロコシなんかをよくエサにあげたりするんです。トウモロコシは何色か、知ってます?

とうまくん:
黄色?

川上先生:
そうそう。黄色い粒がいっぱいあるよね。あの色から体にどんどん入っていくし、もっと赤い色の食べ物をあげると、黄身がどんどん赤っぽくなっていくんです。例えばパプリカって食べたことありますか?

とうまくん:
はい。

川上先生:
パプリカなんかは赤いやつがあるよね。ああいうのをあげると、卵の黄身がどんどん赤っぽくなっていくんだよね。あんまりあげないと卵の黄身は白っぽくなっていくんです。

とうまくん:
あぁ。

川上先生:
野生の鳥の卵なんかを見てもみんなある程度黄色いので、やっぱり体に必要な栄養のカロテノイドを食べ物から取り入れて、それで色が付いているんだと思うんです。というのが、まず黄身の部分です。さて、とうまくん、先ほど遠足には最近行っていないと言ってたけれども、遠足のときは何を持っていきますか? 大切なものがありますよね。

とうまくん:
ん? お弁当?

川上先生:
当たり! でもお弁当だけだとちょっと足りないものがあるんじゃないかな?

とうまくん:
水筒?

川上先生:
当たり!! すばらしいです。食べ物と水、やっぱり両方必要だよね。それは卵の中のヒナにとっても同じで、言ってみれば黄身というのはお弁当なんです。でもそこには栄養分がたくさん含まれているんだけれども、水分がちょっと足りないんだよね。卵の白身というのは透明だけれども、何で出来ていると思います?

とうまくん:
うーん……水?

川上先生:
そうなんです。あれはほとんど水なんです。水とあと、たんぱく質というものでできていて、だからぶよぶよしているんだけれども、すごくたくさん水分を含んでいるんです。だからヒナにとっては水筒代わり、というのもあります。

とうまくん:
はい。

川上先生:
だったら両方混ぜちゃってもいいんじゃないか、黄身のところにもっと水を入れとけばいいじゃないかって、思うかもしれないね。でも、そうはなっていないです。じゃあ、おうちでお弁当を作るときって、どこから何を出して作っていくか、わかります?

とうまくん:
冷蔵庫?

川上先生:
そうです。冷蔵庫からいろいろな材料を出してきて作って、結構手間がかかりますよね。でも水はどうですか?

とうまくん:
水は蛇口からすぐに出せる。

川上先生:
そうなんです。鳥の体の中でも、例えばニワトリの体の中を考えると、黄身を作るのはすごく時間がかかるのでゆっくり時間をかけて作っていきます。そして卵を産む最後に、水の白身の部分というのを周りにつけて産卵するんですよね。

とうまくん:
そうなんだ……。

川上先生:
そうそう。だから作るための時間が全然違うんです。栄養がたくさん必要だから、黄身の部分は時間をかけて作っているんです。ということもあって黄身と白身は分かれていて、カロテノイドで黄身には色が付いている。そして水で出来ている白身のところは透明なんだと思ってください。あと、白身はたんぱく質が入っていてぶよぶよしているから、中でヒナが体を動かしたりするときに周りがクッションになって安全だというのもあると思います。というわけで、ニワトリの卵が黄色と透明になっているのがなぜか、大体わかりました?

とうまくん:
はい。

川上先生:
よかったです!

――お弁当に例えるとわかりやすいですね。

川上先生:
そうですね。あれは完全にランチボックスです。

――ランチボックス(笑)! 卵は栄養価も高いですしね。とうまくん、卵は好きですか?

とうまくん:
卵焼きとかなら食べます。

川上先生:
うんうん。

――そうなんですね。そういうところからも疑問に思ってくれたのかな。すてきな質問を送ってくださって、ありがとうございました。また何か質問があったら送ってください。

とうまくん:
はい。

――さようなら。

とうまくん:
さよなら〜。

川上先生:
さよなら〜。


【放送】
2023/11/12 「子ども科学電話相談」

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