11時台を聴く
23/12/31まで

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おおたのぞみさん(小学2年生・三重県)からの質問に、「水中の生物」の林公義先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)

【出演者】
林先生:林公義先生(北里大学海洋生命科学部講師)
のぞみさん:質問者


――お名前を教えてください。

のぞみさん:
のぞみです。

――どんな質問ですか?

のぞみさん:
琵琶湖博物館でコイやフナが石を吸ったり吐いたりしていました。何をしているんですか? 私は遊んでいると思いました。

――のぞみさんは琵琶湖博物館に行ったんですね。

のぞみさん:
はい。

――それで遊んでるのかな、何をしているのかなって、疑問に思ったんですねぇ。では林先生、教えてください。

林先生:
はい。のぞみさん、こんにちは。

のぞみさん:
こんにちは。

林先生:
琵琶湖博物館、いいですねぇ。水槽の中に、琵琶湖のお魚もいろいろ飼って見せてくれているんですよね。

のぞみさん:
はい。

林先生:
質問の答えを、実はすぐ言いたいんだけれども、のぞみさんが「遊んでいるのかなと思いました」と言うので、ここでちょっと、遊んでいるのかなというのも入れて問題を出してみたいと思うんですけど、いいですか?

のぞみさん:
はい。

林先生:
では、フナが石を吸ったり吐いたりしているのはなぜでしょうか。1番、虫歯にならないように歯磨きをしている。2番、暇なので遊んでいる。3番、餌を探している。この3つのうちの、どれだと思いますか?

のぞみさん:
餌を探している?

林先生:
大正解です! 僕は1番の、虫歯にならないっていうところに行くかなぁと思ったんですけどね(笑)。そうです、餌を探しているということで正解です。のぞみさんは金魚を飼ったこと、ある?

のぞみさん:
……ないです。

林先生:
あっ、そっか。実は金魚も、敷いてある砂利を口に入れたり、ひゅっと吐き出したりして結構遊んでいるように見えるので、のぞみさんが最初に「遊んでいるのかなと思いました」と言ったのと同じような質問を、金魚を飼っている人からときどきいただくんです。でも正解は、ゴミで増えたような微生物だとか、長く動かない砂だとか移動しない隅っこのほうの砂だとか、またはガラスの水槽の壁だとかに、コケ、「けいそう」という藻類、プランクトンが生えるんです。そういうものをそぎ取って食べているのが、たぶん口の中に入れたり出したりしているということだと思うんです。

のぞみさん:
はい。

林先生:
もともとコイとフナが水槽に入っていたということですけれども、そのときコイとフナの口のつき方は観察しましたか?

のぞみさん:
それはしていないです。

林先生:
もしまた水族館とか琵琶湖博物館に行くことがあったら、今度はコイの口とフナの口の形をちょっと見てみてください。今は想像でいいんですけれども、フナの口、つまり金魚の口というのは、どうでしょう。体があって、口は上のほうに向いていますか、まっすぐですか、それとも下のほうに向いていますか?

のぞみさん:
……前?

林先生:
急に言われるとわかんないよね。フナはね、金魚もそうなんだけど、比較的、体に水平なかたちで同じようにわりとまっすぐ前のほうに出ているんです。

のぞみさん:
はい。

林先生:
ところがコイは、口を伸ばすと前のほうへにょっと飛び出して下のほうへ向くんです。だからコイの口はフナの口の形とはちょっと違う。なぜコイの口は下に出るのかというと、コイが餌を取るときには、おもに泥の中に隠れている生き物だとか、泥ごと餌を取ってエラで泥を外に出して食べ物だけ取るという、そういう食べ方なのね。フナは、下のほうにある餌よりかは、どちらかというと水中に浮いている、または底のほうに行ってもその中じゃなくてちょっと底の上のほうにいる餌をおもに取って食べていると考えてください。

のぞみさん:
はい。

林先生:
そうすると口の形が違うので、例えば砂利を敷いた水槽の中にいたコイが口の中に砂を入れたり吐き出したりしているというのは、もともとコイが持っている餌を取るときの習性なんだよね。だけどフナは、琵琶湖の博物館に行ったときに、実はフナは何種類もいますよっていうような説明がありませんでしたか?

のぞみさん:
……それはなかった……

林先生:
うん。今度また時間があったら見てください。フナはね、キンブナ型とかギンブナ型とか、釣りでよく釣られるゲンゴロウブナだとかいろいろ種類がいるんです。その種類によって、実はフナは食べ物がみんな変わってくるんです。

のぞみさん:
えーっ?

林先生:
キンブナやギンブナはおもには雑食性なんだけど、細かく分けると、キンブナという系統のフナは動物食が強い。そしてギンブナは植物食と動物食を両方やるから雑食型。そしてゲンゴロウブナは、実は植物プランクトンしか食べないんです。

のぞみさん:
えっ?

林先生:
そうなんですよ。ですからフナの仲間の口はまっすぐ伸びている形なんだけれども、実は食べ方が違う。食べ方が違うと、腸の長さも違ってくるんだよね。

のぞみさん:
えっ!

林先生:
そんな違いがあります。それともう1つ。コイでもフナでも、硬いものも食べるけれども歯がないんですよ。

のぞみさん:
はい。

林先生:
口の中に指を入れると、つるつるでしょう?

のぞみさん:
はい。

林先生:
歯がないのにどうしてあんなに硬いものを食べられるのか。どうしてでしょう?

のぞみさん:
のどの奥に、硬いのをつぶすやつがある。

林先生:
そう、知ってたか! のぞみちゃん、知ってたね、よかったよかった! 「咽頭歯」という、のどの奥に歯があるんだよね。それが上下にあるから、すりつぶすようなかたちでどんな硬いものでも食べられるんだよね。

のぞみさん:
はい。

林先生:
ね。そういうことです。

――のぞみちゃんも驚いていましたけど、フナは種類によって食べ物が違うんですね。それにしても、のぞみさん、よく観察してましたね。

のぞみさん:
はい。

林先生:
よーく観察しましたね。これはたぶん、みんな水槽の中で見ていることなんです。だけどそこに疑問を持つというのが、目のつけどころですよね。

――のぞみさん、今度は口の形にも注目してみてくださいね。質問してくださってありがとうございました。

のぞみさん:
ありがとうございました。

――さようなら。

のぞみさん:
さよなら〜。

林先生:
さよなら!


【放送】
2023/11/05 「子ども科学電話相談」

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