しながわはるたくん(5歳・千葉県)からの質問に、「植物」の多田多恵子先生が答えます。(司会・柘植恵水アナウンサー)
【出演者】
多田先生:多田多恵子先生(植物生態学者/立教大学・国際基督教大学 兼任講師)
はるたくん:質問者
――お名前を教えてください。
はるたくん:
はるたです。
――はるたくん、どんな質問ですか?
はるたくん:
スイカのタネに黒いタネと白いタネがあるのはどうしてですか?
――ほんとですねぇ。はるたくん、夏にはスイカ、いっぱい食べましたか?
はるたくん:
はーい、食べました。
――そのときに、「あれ?」って気がついたのかな?
はるたくん:
そうです。
――じゃあ、先生に教えていただきましょう。多田先生、お願いします。
多田先生:
はい。はるたくん、こんにちは。
はるたくん:
こんにちは〜。
多田先生:
うん、スイカ、おいしいよね。いっぱい食べた?
はるたくん:
食べましたー。
多田先生:
スイカって真っ赤な中に黒いタネが入っているから、よく目立ってよけいおいしそうに見えるんだよね。
はるたくん:
そうです。
多田先生:
だけど白いのが混じっているから、なんでかなと思ったわけね。
はるたくん:
そうです。
多田先生:
黒いタネをギュッと押さえてみると硬いって、知ってる? すごく硬いの。
はるたくん:
知らなーい。
多田先生:
白いタネのほうは、指でギュッと押すとペチャッとつぶれちゃったりするんだよ。やわらかいの。
はるたくん:
ふうん。
多田先生:
白いタネというのは、実はうまく育たなかったタネなんだ。
はるたくん:
へぇ〜。
多田先生:
だから中身が入っていなかったり、ちょっと入っていてもまだやわらかくて中がちゃんと熟していなかったりするの。
はるたくん:
はい。
多田先生:
そういうことはスイカじゃなくてもときどき起こるんだけど、植物って、実ができてその中にタネができるじゃない?
はるたくん:
はい。
多田先生:
そのタネは、最初は白いちっちゃな赤ちゃんなんだけど、お母さんの植物から栄養をもらってだんだん大きくなって、硬く最後は熟すんだよね。だけど例えば天気がずっと悪かったとか、温度がすごく低かったとか、何かそういうあまり植物が育つのによくない条件、「条件」ってわかるかな……とにかく何かよくないことが続くと、うまくタネが育たないことがあるんだって。そうすると黒くて硬いタネに熟さないで白くてやわらかいままで、実のほうが熟してもタネが熟さないままになることがあるの。
はるたくん:
はい。
多田先生:
そういうのを、普通「しいな」って呼んでいるの。ちゃんとうまく熟さなかったタネのことなんだけど、「しいな」になっちゃったタネが、白いタネなんじゃないかなと思うよ。
はるたくん:
はい。
多田先生:
ヒマワリとかのタネも、見たことある?
はるたくん:
あります。
多田先生:
おっ! 真ん中のつぶつぶのお花が咲いているところがだんだん重くなって垂れ下がってくると、そこにいっぱいヒマワリのタネができるんだよね。
はるたくん:
知りません。
多田先生:
見たことない? ヒマワリのおっきいお花がだんだん重くなって垂れ下がってくると、そこにいっぱいタネができるんだけど、それも1個ずつ取ってつぶしてみると、「あれっ? 中が空っぽだよ」というのが入っていることがあるの。
はるたくん:
はい。
多田先生:
そういうのも、スイカみたいに黒と白がはっきり分かれているわけじゃないけど、ヒマワリのときもやっぱりそうやってタネがちゃんと熟さない、栄養が足りなかったり天気が悪かったり、いろいろあまり条件がよくなかったりすると、うまくタネができないことが他の植物でもあるのね。そういうときに、スイカの場合は白くなっちゃうってことかな。
はるたくん:
はい。
多田先生:
植物は、お花を咲かせて実を作ってタネを作るんだけど、1個の実の中にタネがいっぱいできる、スイカみたいなものってあるよね。
はるたくん:
そうですね。
多田先生:
天気が悪かったっていうだけじゃなくて栄養が足りないときなんかも、タネが全部熟しちゃうと栄養が足りなくなって全部のタネがうまくいかなくなると困るから、ちょっとだけタネが育つようにして、あとのタネはそこでもう、ちょっと育つのをやめましたということもあるんだよ。
――はるたくん、どうですか、わかりましたか?
はるたくん:
わかりました。
――スイカのタネからすてきな質問をしてくれました。はるたくん、ありがとう。
はるたくん:
どういたしまして。
――またぜひ質問を送ってください。さようなら。
はるたくん:
さよなら〜。
多田先生:
さよなら〜。
【放送】
2023/11/05 「子ども科学電話相談」