中村莟玉(歌舞伎俳優)× 志人sibitt(詩人・ボイスパフォ―マー)

23/12/29まで

KABUKI TUNE(カブキ・チューン)

放送日:2023/12/15・2023/12/22

#インタビュー

放送を聴く
23/12/29まで

放送を聴く
23/12/29まで

歌舞伎俳優・中村莟玉(なかむら・かんぎょく)さんが、歌舞伎や古典芸能の魅力をポップにお届けする「KABUKI TUNE」。2023年最後のゲストは、詩人で作家・語り部・音楽家・舞台芸術家など、言葉を携えてジャンルを越境した活動を続ける表現者・志人sibittさんをお迎えしました。前半のダイジェストをテキストで紹介します。

【出演者】
志人sibitt(しびっと)さん


<プロフィール>
1982年、東京都新宿区生まれ、京都府在住。2000年代初頭から、伝説的ユニット・降神(おりがみ)のメンバーとして活動を開始。従来のヒップホップとは一線を画した作品やライブで注目を集める。その後は音楽表現のみならず、詩人・作家・舞台芸術家・古典芸能の語り部など、多岐にわたる分野で横断的な活動を展開。変幻自在にスタイルを変えるその表現活動が、比類なき言葉の求道者として高く評価されている。

土に向かって声を発するおもしろさ

中村:
創作活動をするうえで、どんな場所や環境を求めていらっしゃるんですか。

志人:
求めている……そうですね……。実際、どういった場所で創作活動をしているかと申しますと、それはどこででもできることなんですね、始めるというのは。ただ、録音をしてみたり詩を書いてみたりというところとしては、土蔵です。土の蔵の中で制作をしています。

土に向かって声を発しているときの温度感がおもしろい。予期しない環境音や、夜中でも鳴いているヌエの、トラツグミの声なんかが入っていたりする。それも含めて音楽なんだなとわかる環境がおもしろいなと、最近感じているところですね。

中村:
それ、全然、どこでもよくないですね(笑)。

志人:
あぁ、そうですか(笑)。でも詩が生まれてくる瞬間というのは、ただ道を歩いていたり、ふと、さぁ寝ようかと思った瞬間であったり、いろんな場面はあるので、どこででも始めることはできるのかもしれないですね。

鳥や草花の言葉を翻訳する楽しみも

中村:
小さいころはどんなお子さんでしたか。

志人:
大人たちからすれば、危なっかしい子どもだったのではないかなと思いますね。授業中なんかでも自分で作った意味不明な言葉を突発的に大声で言ってしまうとか。こちらはおもしろいと思ってやっていたんですけれども。

中村:
そのころから表現者になりたいという欲求がおありだったんですか。

志人:
まったくないですね。

中村:
ご自身がおもしろいと思うことを誰かと共有したいとか、見せたいとか、そういう欲求だったんですか。

志人:
沸き起こるようなものだったんだと思います。そこに人がいなくても、たった一人でも同じようなことをしておりましたし。なので人に対して、こう思ってほしいからこうしたいというような考えはしていなかったと思います。

中村:
今はどうですか。舞台にお立ちになるときはお客さまがいらっしゃいますけれども。

志人:
例えば雨乞いの歌のように、祈りを込めて歌うものはいったい誰に聞かせているのかなと思うと、それは人間ではないもの、虫や花々にも聞かせているのかもしれないと思っています。もしも彼らが言葉を発していたら、どんなことを人間に話しかけているのだろう……代弁まではできないと思うのですが自分なりに翻訳してみるということを、一つの楽しみとしてやっているのかもしれません。

“見えない羽衣”は脱ぎ捨てるもの

中村:
肩書きやアイデンティティというものを、あまり気になさらないですか。

志人:
そうですね。肩書きというものは誰かがつけたものかもしれないので、見えない羽衣のようなもの、肩書きは、脱ぎ捨てるものだと私自身は思っています。人間が花や虫の姿を見て、彼らはこういう存在である、役割であるという部分を名前に変えて与えているわけで、花や虫たち自身は、自分の役目や肩書きというものをわからないと思うんです。人間もそれと同じだと思っているので、肩書きのために生きていくということはしないですね、私は。

中村:
いやぁ、すごいなぁ……その考え方、僕にはなかったなぁ。僕の中で肩書きは、自分を守るもののような気もしていますし。この話は、後半でじっくりと!

後半(12/22放送)は聴き逃しからどうぞ!


【放送】
2023/12/15・2023/12/22 「KABUKI TUNE(カブキ・チューン)」

放送を聴く
23/12/29まで

放送を聴く
23/12/29まで

この記事をシェアする

※別ウィンドウで開きます