タイとカンボジアの水かけ祭り

24/04/21まで

ちきゅうラジオ

放送日:2024/04/14

#ワールド#カルチャー

午後5時台を聴く
24/04/21まで

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4月中旬のこの時期、東南アジアのいくつかの国では新年を祝う「水かけ祭り」が開催されます。もともとは新年を祝い仏塔や仏様に水をかけるという習慣でしたが、いつしか人々が水をかけあう祭りに変化していったそうです。
今回は世界的にも知られているタイとカンボジアの「水かけ祭り」について、タイ・バンコクに暮らすフリーライターの梅本昌男(うめもと・まさお)さんと、カンボジア・シェムリアップにお住まいで日系旅行代理店に勤務しながらライターの仕事もする青山直子(あおやま・なおこ)さんにお話を伺いました。

聴き逃し配信では、実際にカンボジアの水かけ祭りの現場に入っていく様子も配信しています。ぜひお聴きください。

【出演者】
梅本:梅本昌男さん(タイ・バンコク在住)
青山:青山直子さん(カンボジア・シェムリアップ在住)
TOBI:レ・ロマネスクTOBIさん(日曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー

水をかけられても怒らない!? ほほえみの国タイの水かけ祭り

TOBI:
タイの水かけ祭りとはどういったものなんですか?

梅本:
水かけ祭りは「ソンクラーン」と言います。「ソンクラーン」は古代インドの言語で「移動する」という意味で、太陽が1年の周期を終え、新たな年がスタートすることから由来しています。2023年、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。

中村:
水かけ祭りは、もともとどんな意味を持つお祭りなのでしょうか?

梅本:
本来は、タイの新年を祝う伝統的な祭りとして、仏像や仏塔に清水をかけることで1年の邪気を払い、新年を祝う儀式として行われていました。しかし、近年は水をかけあい、みなで騒いで楽しむイベントに変化してきました。そうなった理由はタイはこの時期、1年で最も暑いので「水をかけて暑さを吹き飛ばそう、縁起もいいし最高じゃないか」みたいなノリで変わっていったのではないかなあと思います。

TOBI:
いつごろから、みんなで水をかけあう方向にシフトしてきたのでしょうか?

梅本:
実ははっきりとわからないんです。タイ人の友人に聞いても「もう何十年も前からだよ」という返事ばかりですし、タイ観光庁のホームページでも「近年はそれが転じて水かけ祭りとなった」とあるだけなんです。

中村:
タイの水かけ祭りは、どのようにして世界に知られるようになったのですか?

梅本:
水をかける騒ぎ方がどんどんエスカレートしたことですね。バンコク最大級のショッピングモールの前やビジネス街、海外旅行者が集まるカオサン地区などが特に盛り上がり、そこに大勢の人が集まるという形で発展していきました。それが旅行者の間の口コミや報道で、世界的に認知度が上がったんだと思います。

TOBI:
水をかけられて、トラブルになったりしないのでしょうか?

梅本:
水をかけあっただけでは、怒ってケンカになったりとかはないようです。そこには“ほほえみの国”であるタイ人の明るさ、もともと仏教行事ですから怒ってはいけないと感じているのだと思います。ただ、水をかける以外に「ディンソーポーン」と呼ばれる泥のような白い粉をぬるのですが、その際、女性の体に触ったりするやからが近年増えています。

中村:
タイに20年暮らす梅本さんが考える「水かけ祭り」の魅力とは?

梅本:
“ほほえみの国”タイの人ならではの国民性が反映された楽しい祭りだと思います。この時期タイにいることがあれば、ぜひ参加してみてください

TOBI:
梅本さん、ありがとうございました。

リアルタイムのリポートも! カンボジアの水かけ祭り

TOBI:
青山さん、カンボジアの水かけまつりについて説明をお願いします。

青山:
カンボジアでは「アンコール・ソンクラン」と呼ばれることが多く、水かけ祭りはクメール正月の行事の1つです。カンボジアでは1年に3回の正月を祝います。1月1日の国際正月、2月の旧正月、そしてカンボジア人にとって本当の正月は4月のクメール正月です。お正月には仏像や仏塔を水で清めたり、年長者の身を清めたりする習慣がありました。それが家族内、知人友人、はたまた見知らぬ人とも水をかけ合うことで、互いにけがれを洗い流し、新年を迎えましょうという流れになり、水かけ祭りの形に変わりました。

中村:
カンボジアも、タイと同じですね。

青山:
はい。仏教のこよみで4月の半ば頃の3日間がお正月です。新年を迎える時間は毎年宮廷の占い師により決められ、新しい年のえとに乗って女神様が降臨し、前年の女神様と交代します。時間は年ごとに変わり、去年は4月14日午後4時でした。今年はきのう13日の夜10時17分でした。

TOBI:
タイの水かけ祭りはとてもにぎわうということですが、カンボジアではいかがでしょう?

青山:
カンボジアも盛り上がりますよ! 私の住むシェムリアップでは水かけ区域が設けられます。交通規制もかけられ、夕方以降は無法地帯と化します。コンサートや屋台、ボートなどがあるので、首都プノンペンからのカンボジア人観光客、そして海外からの観光客も集まるので、毎年シェムリアップのクメール正月は大にぎわいです。

TOBI:
青山さんのお考えになる、水かけ祭りの魅力は?

青山:
本来の「今年のけがれを水で流して新しい年を迎える」にふさわしいお祭りだなと思っています。お寺やお坊さんの荘厳な仏教行事を行いながら、大きな声で笑いあい、水をかけあい、食事しあい、飲み踊る、家族親族が集って楽しむ期間でもあり、同時にはっちゃけることで迎える明るい正月です。

  • この後、青山さんが、まさに今開催中の水かけ祭りの会場に入り、リポートをしてくれました。詳しくは聴き逃し配信でお楽しみください。

中村:
青山さん、ありがとうございました。

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2024/04/14 「ちきゅうラジオ」

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