教えて! ミャンマー人の日本での暮らし

24/03/23まで

ちきゅうラジオ

放送日:2024/03/16

#ワールド#カルチャー#ライフスタイル#たべもの

午後6時台を聴く
24/03/23まで

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日本で暮らしている外国の方は、去年6月末時点で320万人を超え過去最多に。日本で暮らす外国人のことを、共に暮らす仲間として知りたい! という思いから生まれたコーナーです。今回は、ここ数年特に増加が著しいミャンマー人の日本での暮らしについて。現在、日本には7万人ほどのミャンマー人が暮らしています。中でも東京・新宿区の高田馬場は、ミャンマーの最大都市・ヤンゴンにちなんで「リトル・ヤンゴン」と呼ばれるほど、多くのミャンマー人が暮らし料理店などが集中しています。その高田馬場でミャンマー人をサポートしているマヘーマーさんにお話を伺いました。

【出演者】
マヘーマー:マヘーマーさん
(NPO法人日本ミャンマー・カルチャーセンター 創設者・所長。28年前から日本で暮らす。現在、高田馬場でミャンマー語教室講師や、日本で暮らすミャンマー人のサポートなどを行う。)

ローズ:當間ローズさん(土曜担当МC)
中村:中村慶子アナウンサー

ミャンマー人、日本で奮闘中!

ローズ:
マヘーマーさん、高田馬場は、ミャンマー人が暮らしやすいんですか?

マヘーマー:
はい。高田馬場は職場の多い新宿周辺に通いやすい場所にあって、学生の街でもあるので、駅から離れると家賃が抑えられたり、物件が借りやすかったりしますね。さらには繁華街で外国人が多いので、ミャンマー人も溶け込みやすくて暮らしやすいんです。今、高田馬場には、飲食店が19軒、ミャンマー食材店が10軒くらい、雑貨店などもあって、日本にいてミャンマーの料理が食べられたり文化を感じられたりするので、日本にひとりで働きに来ている皆さんはとてもほっとします。

ローズ:
ミャンマーの人たちは、日本にどんな印象を持っていますか?

マヘーマー:
日本は、ミャンマーの人たちにとって安全な国ですね。また、憧れていて一番行きたい国でもあります。日本のアニメはミャンマーでも人気ですし、日本語はミャンマー語と文法や語順が似ているので、とても学びやすいです。最近、ミャンマーでは若い人たちが日本を目指して日本語を勉強していて、ブームですね。

ローズ:
うれしいですね。「日本に来たい」と思って働きに来てくれたミャンマーの方は、実際に日本でどんなお仕事をしていて、すでに働いている方はどんなことを難しいと感じるんですか?

マヘーマー:
日本に働きに来るミャンマー人の多くは、レストランやホテルの従業員、農業、水産業、建設業、ITの技術者や土木のエンジニアなどさまざまな仕事で来ていて、いろいろな悩みがあります。
例えば、介護のお仕事をしている方。技能実習生として働くために高い日本語レベルを習得してから日本に来ていますが、日本の踊りや歌も覚える必要があったり、勤務報告書を日本語で書かなければならなかったり、独特の書き方で苦労しています。またお年寄りの介護なので、お風呂の介助とかおむつ交換とか体力的にも厳しくてつらいみたいですね。

中村:
日本語での日常会話だけじゃありませんもんね。

ローズ:
読み書きも、ひらがなカタカナだけじゃなくて、漢字もありますしね。
日本で担い手が少なくなってしまっている仕事を、ミャンマーから来た皆さんがやってくださるのはすごく助かりますよね。

中村:
本当に助かっていますよね。
飲食店で働き始めた女性、食文化の違いから、ある失敗をしてしまったんですよね?

マヘーマー:
そう、飲食店で働き始めた女性の話です。ミャンマーではお仕事をしたことがなくて、日本で初めて調理を任されたんですね。ローストビーフの調理を頼まれて、中までしっかり火を通してしまって肉をパサパサにしちゃったんです。ミャンマーではお刺身はもちろん食べないし、生のお魚とかお肉を食べる習慣がありません。お肉もお魚も完全に火を通してから食べるんです。だから当然のようにローストビーフも中が茶色くなるまで焼いてしまって、かたーいお肉にしちゃったんですね。

ローズ:
分かる! (ブラジル生まれの)僕も多分、その間違いしちゃうかも。ミャンマーって暑いじゃないですか。なかなか生ものを食べる機会が少ないし、難しいですよね。ローストビーフ作ったことがないじゃないですか。余談ですが、ブラジル料理で有名なシュラスコ。実は日本では日本の焼き方というか、レアよりの焼き加減で焼いてるんです。実際にブラジルで食べる焼き方と違うんですよ。

中村:
えー、そうなんですね。しかもミャンマーはよく停電してしまうので、冷蔵庫に長く保管しておけないっていうのも関係あるんですよね?

マヘーマー:
そうですね。停電はしょっちゅう起こっているので、冷蔵庫はあってないようものなので、お肉はその日のうちに食べないといけません。またお肉は気温が高いので腐りやすいっていうのもあって、よく焼くっていうのがミャンマーの習慣なんですね。

ローズ:
ぼくは、5歳の時に家族でブラジルから日本に来て、団地に家族で住んでいたのですが、ミャンマーの方たちは、家はどうされているんですか?

マヘーマー:
人によって違いますが、アパートを借りて、1部屋に何人かで住んでいる人が多いですね。例えば家賃7万円でも、3~4人で住めば安くすみますよね。2段ベッドを使えば、狭くてもなんとかなるのでそういう人が多いです。もちろん、1人暮らしをしている人も、2人でシェアして住む人もいますし、最近はシェアハウスなども人気がありますね。

中村:
皆さん、家賃をなるべく節約されているんです。それは、ミャンマーにいるご家族のためなんですよね?

マヘーマー:
そう。みんな、仕送りをしているからです。例えば月収15万円だったら、家賃を含めた生活費を8万くらいに抑えて、7万くらい仕送りできるかなって感じですね。そうやって、みんな家族を支えています。

中村:
慣れない場所でいろいろなことに苦労しながらも、家族を支えていらっしゃるんですよね。
そうした皆さんが、日本でスムーズに生活できるように、マヘーマーさんはサポートされています。

ミャンマー人が言わないこととは?

中村:
突然ですが、ここで習慣に関するクイズです!

ミャンマーでは多くの人が「あること」を言いません。でも日本では言った方がいいよとマヘーマーさんが必ず教えていることがあります。さて多くのミャンマー人は、いったい何を言わないのでしょうか?

3択です。

  • 名前を言わない
  • 意見を言わない
  • お礼を言わない

ローズ:
えー! 全部言ってそう。おおらかな感じがするから全部言いそう。
でも、名前を言わないかな? ブラジルも、あんまり名前を言わない。“ヘイ!”とか、“ねぇ”とか、“オーイ!”って言い方もするし、相手にあだ名をつける文化があるので、名前よりは僕のバブリーちゃんとかお花ちゃんとか、親しいとそういう呼び方をするので、そういうこと?

中村:
それがミャンマーでも同じなのかどうか…マヘーマーさん、答えは?

マヘーマー:

  • お礼を言わない、が正解です!

ローズ:
えー! 本当ですか? そうなの? とても言ってそうなイメージがあるけれど、お礼言わないんですか?

マヘーマー:
はい。ありがとう、とお礼を言ってしまうと、そこで恩が終わってしまうからなんですね。ミャンマー人は9割が仏教徒で、厚く信仰しています。人に親切にすることは、功徳を積むことなんです。だからむしろ人を助けたいし、もし助けてもらっても、次は自分が助けると思っています。助けることはお互いさまだから、お礼は言いません。それどころか、助けることができた人が逆にありがたいと感じるくらいです。でも、日本ではお礼を言わないと失礼にあたるので、私は「日本ではお礼を言った方がいい、言わないとまずい」って皆さんに指導して、日本の礼儀として絶対に言うように教えています。

ローズ:
そっか、人を助けるのは自分のためでもあるから、お礼を言わない。すごいですね。この考え方!

マヘーマー:
そう、“やらせていただいています”みたいな感じです。私も親に仕送りしているんですけれども、“受け取ってください”っていう気持ち。親からはお礼を言ってこないし、お金が届いたってことが分かったら、こちらから「ありがとう」って言うんですよ。

中村:
そして、ミャンマーと言えば、軍事政権となって3年あまりですが、日本にいらしている方々は今どんなふうに祖国のことを思っていらっしゃるんですか?

マヘーマー:
現在のミャンマーの状況について、多くのミャンマー人の心は疲れています。私たちのところに来て、自分のつらい気持ちを吐き出して、泣く若い子もときどきいます。そうした中で祖国にいる家族を支えるために、慣れない外国の日本で一生懸命頑張っています。本当に心が痛いですね。毎日ニュースを見るのも辛いし、国に帰りたいって気持ちはあるんですけれど、今の軍事政権の下で帰るのは皆さんなかなか難しいので、自分の家族とSNSを通じて連絡は取れていますが、帰りたくても帰れないのが現状ですね。遠い日本から、家族や親せきや仲間を助けています。


この他、放送では、ミャンマーでどの家庭でも毎日のように食べる、お茶の食べ方についても伺いました。

お茶を漬物のようにした、「ラペッソー」 ミャンマーの市場にて

ミャンマーの家庭では、漬け茶葉「ラペッソー」を揚げた豆やニンニクなどと食べて、お茶請けに

漬け茶葉の和え物「ラペットウッ」 日本のミャンマー料理店でも食べられる定番料理

この他、マヘーマーさんが好きなミャンマー語も教えていただきました。
詳しくは「聴き逃し」で♪


【放送】
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