午後6時台を聴く
24/03/17まで

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24/03/17まで

今回はおとなり韓国から、世界でも類を見ないほど多国籍なオーケストラの話題です。こうしたオーケストラが受け入れられたのは韓国のお国事情も関係しているようです。韓国・ソウルに14年お住まいの佐々木和義(ささき・かずよし)さんにうかがいました。

【出演者】
佐々木:佐々木和義さん(コピーライター)
TOBI:レ・ロマネスクTOBIさん(日曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


中村:
佐々木さんは初めましてですね! まずは佐々木さんのことや最近の韓国について聞かせてください。

佐々木:
現在は韓国で広告会社をやっています。新型コロナウィルスの影響から回復して以降、日本と韓国の観光やビジネスの往来が増えていますし、日本企業の韓国進出についての相談も増えています。日本語も飛び交っている繁華街もありますね!

中村:
佐々木さんはコピーライターということで、突然ですみません! 今回の話題のキャッチコピーをお願いできますか?

佐々木:
突然ですね(笑)! はい、大丈夫です!
ズバリ“音楽は世界共通言語!”

TOBI:
おぉ! そんな“音楽は世界共通言語”という話題を詳しく聞かせてください!

佐々木:
まずはこのオーケストラの演奏を聴いてみてください。

♪♪(オーケストラの演奏)

TOBI:
これはヘンデルの「ハレルヤ・コーラス」ですね。迫力があります! “多国籍のオーケストラ”とのことですが、どういうことなんでしょうか?

佐々木:
はい、今回紹介するのは、「音楽に国境はない」を実践している団体「Camarata(カマラータ) Music Company」です。
これまでなんと108の国や地域の方が参加しているんです! そしてアメリカ、ドイツ、フランスなど常時30か国ほどの方が参加しています。

TOBI:
日本やフランスのオーケストラもいろいろな国の方が参加していますが、そこまでではないでしょうね! どのようなきっかけで作られた団体でしょうか?

佐々木:
2009年に、アメリカ人の声楽家で当時韓国の大学で音楽講師をされていたライアン・ゴスルを中心に結成されました。クリスマスキャロルを歌うためにメンバーを募集したところ、思いのほか多くの参加者が集まったことから結成されたんです。
アマチュア合唱団とセミプロ合唱団、少年少女合唱団、プロアマ混合オーケストラで構成されています。

TOBI:
なぜ韓国でそんなに多国籍な音楽団体があるんでしょうか?

佐々木:
多国籍にしようと思って勧誘活動したわけではないのでいろいろな理由から自然とそうなったわけですが、大きな理由のひとつは、韓国人は外国語学習に熱心ということがあるかと思います。
韓国は外国語学習者が非常に多く、高校ですでに第2外国語を学びます。韓国人にとっては、外国人との交流やネイティブ相手に会話を練習するなど、外国語学習を兼ねて参加している人もいるようです。

TOBI:
韓国で外国語学習が盛んな理由は?

佐々木:
韓国ではGDPに占める貿易依存割合が高く、外国語ができると就職にも有利だからではないかと思います。第2外国語は日本語がダントツの1位、2位が中国語です。

中村:
オーケストラに参加している外国人にとっては、どんな魅力があるんでしょうか?

佐々木:
外国人の場合、韓国語ができなくても音楽を通して海外生活のストレスを発散できますし、運営ボランティアも外国人ですから、韓国に住んでいる外国人のニーズをわかっているので参加しやすいんです。実は私も、最初は合唱団に、今はオーケストラでティンパニを演奏しています。

TOBI:
実際に参加してみてどうでしたか?

佐々木:
初めて練習に参加したとき、本当に多国籍な構成で驚きました。最初の日に言葉を交わした中に南アフリカ人がいましたし、はじめて会話を交わしたオーケストラメンバーもバングラデシュ人だったんです。「カマラータ」に加入しなければ出会うことがないだろう国の人や世代が異なる人たちがひとつになって音楽を奏でるだいご味が感じられますし、メンバーの知人が聴きに来るコンサートもいろんな国の人がいて、ホント、どこの国にいるんだろうと思ってしまいます。

TOBI:
この楽団でしか体験できないことがたくさんありそうですが、いかがですか?

佐々木:
クラシック音楽の合唱はさまざまな言語の曲があります。たとえばドイツ語の曲であれば、ネイティブのドイツ人が言語指導できるところなどは多国籍ならではですね。あと英語の曲で日本人のカタカナ英語が活躍したこともあります。

中村:
カタカナ英語、私も得意な方ですが(笑)、どんなシーンでしょうか?

佐々木:
日本の合唱団ではカタカナ英語は厳禁だと徹底的に指導されるんですが。英語の曲を練習したとき、複数形の“s”など子音は客席には聞こえないから、“s”をはっきり発音するようにという指揮者の指示で、日本人メンバーが英語の“s”ではなく、カタカナ英語の“ス”を披露したことがあるんです。
例えば日本でもなじみ深い、先ほども紹介したヘンデルのハレルヤに「King of kings」という歌詞があって、完璧な英語だと「Kin o Kin」に聴こえるんですね。それがカタカナ英語だと「キング・オブ・キングス」とはっきり聴き取れるんです。

中村:
カタカナ英語が活躍したわけですね! そもそも、日本人は多国籍のメンバーの中に溶け込みやすいものでしょうか?

佐々木:
音楽が好きなもの同士なんとかなりますよ! そして日本には音楽面で大きな特徴があります。日本は自国メーカーでオーケストラの楽器がそろう国で、世界唯一と言っていいんです。その恵まれた環境にいる日本の皆さんにもぜひ親しんでもらいたいですね。

TOBI:
そうなんですか!?

佐々木:
自国ブランドでオーケストラ楽器がそろう国は、私の知る限り日本と米国しかなく、有名ブランドに限ると日本が唯一なんです。ですが、私の担当楽器のティンパニなどのオーケストラ打楽器は欧米製という風潮があって、「カマラータ」でもヨーロッパ製をレンタルしています。日本製も非常にクオリティが高いので、もっと世界の人に知ってもらいたいですね。

中村:
「カマラータ」のような取り組みはもっと広がってほしいですね!

TOBI:
音楽を通しての交流が進みますよね、佐々木さん!

佐々木:
日本も在住外国人が増えていますし、同様の活動が広がってほしいですね。「カマラータ」が“音楽は共通言語”といっているように、同じ趣味を持つ日本人と在住外国人の交流を通して、さまざまな国の文化、国民性を知る機会にもなります! 私も、このオーケストラで、もっと国際交流していきたいと思います!

中村:
佐々木さん、どうもありがとうございました!

佐々木:
カムサハムニダ! ありがとうございました。


【放送】
2024/03/10 「ちきゅうラジオ」

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