午後5時台を聴く
24/03/09まで

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カナダでは春を迎えるこの時期、メープルシロップ作りが行われるそうです。日本人にもなじみ深いメープルシロップについて詳しく伺います。

【出演者】
斎藤:斎藤真奈さん(ナイアガラフォールズ在住:バスガイド)
ローズ:當間ローズさん(土曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


中村:
斎藤さん、改めてメープルシロップはどういうもの?

斎藤:
メープルシロップは、サトウカエデ、英語でシュガーメープルの木の樹液を煮詰めて作る東部カナダの特産品です。
サトウカエデはヨーロッパから開拓に入ってきた人々にとってカナダを象徴する木なので、国旗にも、その葉っぱが描かれています。

ローズ:
あー! 国旗の真ん中の、赤い葉っぱですね! カナダでは有名な木なんですね?

斎藤:
有名というか誰でも知っている、日本でいうと桜の木みたいな感じですね。サトウカエデは世界的にみても北米東海岸にのみ自生する木なんだそうです。この樹液を採取する時期が2月後半から4月前半ということで、ちょうど今がメープルシロップ作りの季節になります。

ローズ:
どうして今の時期に樹液をとるんですか?

斎藤:
メープルシロップは、木々が冬の間に根本に蓄えていた養分を樹液にのせ一気に枝の先々まで送る春先に、その樹液をおすそ分けしてもらうんです。昔は木に穴を開けて流れ出る樹液をバケツに受け止めて集めていましたが、現在は木に直接チューブをつないで効率よく集めています。

チューブで樹液を集めています

ローズ:
樹液は甘いんですか?

斎藤:
樹液はほんのり甘い程度で、色も透明なので“メープルウォーター”とも呼ばれています。そのメープルウォーターを新鮮なうちに糖度66%になるまで煮詰めるとメープルシロップになります。40リットルのメープルウォーターから1リットルのメープルシロップしかできないので、とっても手間がかかって貴重なんですよ。
メープルウォーターを高温で煮詰めて水分を飛ばすとメープルシュガーになります。逆に低温でじっくり煮詰めたものがメープルバターです。バターといっても乳製品ではなく、クリーム状になるまで煮詰めたもので、 主にパンに塗って食べます。

ローズ:
たくさんの樹液が必要になる。樹液を取られた木は大丈夫なんですか?

斎藤:
樹齢30年、直径30センチ以下の木からは採取しません。十分な樹液を持つ大きな木から少しだけおすそ分けしてもらいます。ワンシーズンに1本の木から採れる樹液が約40リットル、つまり1本の木から採れた樹液で1リットルのメープルシロップを作れるということです。

中村:
カナダでは樹液を集め始めると、春が来た! となるんですね。

斎藤:
カナダでは3月にマーチブレイクと呼ばれる1週間の春休みがあります。今年は3月9日から17日までです。このマーチブレイクには、メープルシロップ農場を訪ねるシュガーブッシュツアーが一番の人気なんですよ。

ローズ:
楽しそうですが、どういうことをする?

斎藤:
メープルシロップがどんなふうに作られていたのか、今はどうやって作っているのかを、実際にサトウカエデの林の中に作られたディスプレイを見ながら学びます。農場によっては、開拓時代の衣装を身につけた係の人がメープルシロップの歴史を解説してくれたりもします。農場でメープルシロップを煮詰めている間中、周囲に甘い香りが広がるんですよ。

ローズ:
出来たてのシロップを食べることもできるんですか?

斎藤:
シュガーブッシュツアーの途中には煮詰めたメープルシロップを雪の上で固めたキャンディー”タフィー”を作るコーナーがあって、出来たてを味わえます。パンケーキハウスがある農場もあって、メープルシロップをたっぷりかけて食べるパンケーキを楽しみに、子どもたちをシュガーブッシュツアーに連れて行く大人も多いです。

雪の上でタフィー作り!

農場のパンケーキハウス

中村:
今回のメープルシロップの話題、斎藤さんはどんな風に感じました?

斎藤:
メープルシロップはカナダを代表する味なので、カナダの生活には欠かせないものです。そして東部カナダでは、このメープルシロップが作られる時期になると春を感じます。サトウカエデの林でも日陰には雪が残っていたりしますが、お天気のよい日は木漏れ日が暖かく、気持ちよくお散歩できます。ちょうどスノードロップスの白いお花が咲き始める頃です。樹液の採取が終わる頃には桜の種類のお花も咲くんですよ。

中村:
斎藤さん、ありがとうございました!


【放送】
2024/03/02 「ちきゅうラジオ」

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