午後5時台を聴く
24/02/17まで

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この時期、世界各地で行われるカーニバル。謝肉祭ともいわれ、ヨーロッパ各国やブラジルでも盛大に祝われます。開幕直前のスイス・バーゼルのカーニバルについて、スイスに18年住んでいる平川郁世(ひらかわ・いくよ)さんにうかがいました。
聴き逃しではバーゼルのカーニバルの音声も配信しています。ぜひお聴きください。

【出演者】
平川:平川郁世さん(ライター)
ローズ:當間ローズさん(土曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


ローズ:
まずスイスのカーニバルはどんな様子か教えて下さい!

平川:
ヨーロッパのカーニバルでは仮装することが多いのですが、スイスでもお面をつけて衣装を着て、音楽を演奏し、仮装行列パレードをするんです。特に、バーゼルのカーニバルはスイスで一番歴史があり、規模も大きく、バーゼルの10人に1人はカーニバルに参加していると言われているほど、市民に浸透しています。そのため2017年にはユネスコ世界無形文化遺産にも登録されています。

中村:
バーゼルのパレードの特徴は?

平川:
グループごとに同じ衣装で、楽器の演奏をしながら練り歩きます。ここまではほかの町のパレードと似ていますが、バーゼルでは、演奏をしない人はお菓子や野菜、果物、商品サンプル、そして紙吹雪などを山車の上からばらまいたり、道ゆく人に手渡したりするんです。

ローズ:
おもしろそう!

平川:
結構高いところから投げてきたりするので、それをうまくキャッチするのが楽しいです。あと重要なのが、各グループが考えた社会風刺のメッセージを入れたビラを配ることです。

中村:
社会風刺のビラですか!? どんなメッセージが?

平川:
ジェンダー問題へのメッセージや、各国首脳の仮面をかぶって国際社会への風刺をしているのをみたことがありますね。なぜビラを配るのかはっきりしたことはわかりませんが、お面をかぶることによって、匿名で言いたいことが言える、社会にもの申すことができる、貴重な場だったのではないかと思います。その伝統が今も残っているんです。

ローズ:
平川さんはカーニバルをどんな風に楽しんでいますか?

平川:
もともとは私も、一般の観光客と同じように見るだけだったんです。その時は子どもが小さかったので、うるさいし、食べ物をばらまくなんてお行儀悪い! なんて思っていました…。
ところが9年前に記事を書くために、あるグループに密着取材したのをきっかけにカーニバルに目覚めてしまいました。

ローズ:
参加してみていかがでしたか?

平川:
あの、阿波踊りの”踊るあほうに見るあほう”じゃないですけど、見るのとやるのとでは大違い、やる方がずっと楽しいんですよ! 参加するには基本的にグループに所属しなきゃいけないので、取材させてもらったグループに加わって、翌年からは自分も仮装をしました。その次の年は木管楽器のピッコロを習い始めて、今では一緒にピッコロを吹きながらパレードに参加しています。

中村:
平川さんのグループのパレードの時の音楽を預かっているので聞いてみましょう!

♪♪(平川さんのグループの音楽)

中村:
楽しげな楽器の音が聞こえましたね。どんなことが起こっているんでしょうか?

平川:
私たちのグループは小太鼓やピッコロを演奏しながら20人くらいでパレードしています。音楽はバーゼルの伝統的なものですが、ポップスをアレンジするグループもいます。

中村:
平川さんのグループの画像がこちらです。

平川さんグループのパレードの様子

中村:
道化師をモチーフにしたような伝統的な衣装で、いろいろなデザインが組み合わされています。なかなか奇抜ですね!

平川:
この衣装がすてきなデザインだということで何度か新聞や雑誌、テレビに取り上げられている、お気に入りのデザインです。

ローズ:
平川さんはこのカーニバルの魅力はどんなところだと思いますか?

平川:
ふだんは、きちょうめんできれい好きなスイス人の皆さんが、この日ばかりはお面をかぶって、はめを外すのがおもしろいですね。パレードして練り歩きながら、グループで路上でワインを飲んで、悪ふざけもして、騒ぎます。私たちのグループも、演奏してパレードする時間より、休憩して路上でワインを飲んでいる時間の方がずっと長いくらいですね。

中村:
ふだん真面目なスイスの方が変わるんですね。

平川:
そうですね、それがわかるのはカーニバルの始まりと終わりです。
始まりは月曜の早朝4時と決まっているのですが、早朝4時きっかりに町中の電気が消えて一度まっ暗になります、そしてランタン、巨大な灯籠などが一斉について、仮装してピッコロと小太鼓の音楽が鳴り響くんです。

ローズ:
それはすてきなスタートですね、終わりはどんな感じですか?

平川:
カーニバルの終わりは水曜日の夜、日付が変わって木曜日の早朝4時までです。その時間まで演奏をして練り歩きますが、早朝4時にきっかり終わるんです。それがルールで。そのあと、みんなとぼとぼ歩いて帰っていきます。
4時前に清掃車が待機していて、4時になると清掃車が町中に落ちている紙吹雪やお菓子、野菜や果物などをがーっと掃除して、出勤の時間には何事もなかったように、もとのきれいな街に戻っています。このメリハリがスイス人らしくて、おもしろいんですよね。

中村:
きちょうめんさが出ているんですね! それでは本番の2月19日に向けて練習頑張ってください!

平川:
はい、頑張ります! あと1週間なんですけど、あと少し、頑張って練習します! とにかく、このバーゼルのカーニバルは、たとえ言葉がわからなくても、見る価値ありますので、みなさんにぜひ見に来ていただきたいです!
そして来年あたり、NHKが取材に来てくださるのを心よりお待ちしておりま~す!!

中村:
平川さんありがとうございました!


【放送】
2024/02/10 「ちきゅうラジオ」

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