午後5時台を聴く
23/12/23まで

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23/12/23まで

豊かな食文化で知られるイタリア。さまざまな特産品が楽しめるサーグラ(収穫祭)では、都市部から多くの人が地方に集まるそうです。そんなサーグラに”SLで行く”ツアーを体験してきたという、イタリアに10年以上お住まいの佐藤モカさんに、サーグラの魅力やツアーの感想をうかがいました!

SL出発の楽しい雰囲気もお聴きになれます。
ぜひ聴き逃し配信をお楽しみください!

【出演者】
佐藤:佐藤モカさん(イタリア フィレンツェ在住)
ローズ:當間ローズさん(土曜担当MC)
中村:中村慶子アナウンサー


ローズ:
佐藤さん、今日は、イタリアの収穫祭の話題ですね!

佐藤:
はい! イタリアにはサーグラという食をテーマにした収穫祭のようなお祭りがあって、特に秋には各地で盛んに開かれています。古代ローマ時代には神々に動物や作物を捧げる儀式だったというこのイベントは、現在では地域ごとにそれぞれの美味しい特産品をアピールする美食のお祭りになっていて、たくさんの人でにぎわいます。

中村:
楽しそう! そして今回参加したのは?

佐藤:
トスカーナ州の小さな村、サン・ジョヴァンニ・ダッソ村で開かれていた、秋の味覚「白トリュフ」のお祭りです。しかも、その村までSLで行く面白いツアーがあったので参加してみました。“SLのローカル線に乗って白トリュフのサーグラに行くツアー”です。

ローズ:
おおおお‼ SLのローカル線に乗って白トリュフの収穫祭・サーグラに行くツアー! なんとも魅力的です。ではどんな旅だったのかぜひ教えてください!

佐藤:
その前に出発前の駅の様子を録音してきましたので、聞いてください!

♪♪

中村:
シューシュー、という音、そして楽しげな楽隊の音楽が!

佐藤:
はい、出発は南トスカーナのシエナ。発車時刻の朝9時前にシエナ駅に向かうと、そこには陽気な地元のおじいちゃん4人組がにぎやかな音楽を奏でて参加者を盛り上げてくれていました。その時の音ですね。
シューシューというのはSL 蒸気機関車の音です。

楽団の皆さんが盛り上げてくれるシエナ駅

ローズ:
雰囲気ありますね! この地方ではSLが普通に走っているのでしょうか?

佐藤:
普段は近代化した普通の電車ですね。SLはこのツアーのために走らせたものです。古い車両やSLを使ったツアーはイタリアではときどき見られるスタイルです。
おもむきのある車両に乗り込むと、駅で演奏してくれたおじいちゃん楽隊も一緒にSLに乗り込んで、車内でも演奏してくれました。その演奏を聴きながら、世界遺産である美しい丘陵地オルチャ渓谷を進んで行って、本当に楽しかったです!

美しい風景の世界遺産オルチャ渓谷

中村:
盛り上げる楽隊と世界遺産のオルチャ渓谷ですか。すてきですね!

佐藤:
ここは本当にすてきな場所です。当日は、美しい丘陵地が見ることが出来たのですが、小雨がパラついていたため写真は全部もやがかかっているようになってしまいました。ですので、そちらにお送りした写真だけはこの日のものではありませんが、丘の風景の雰囲気をお楽しみください。

ローズ:
そして、渓谷をぬけた後はどうなりましたか?

佐藤:
SLで3時間ほどかけて目的地であるサン・ジョヴァンニ・ダッソ村に到着しました。
ここでお待ちかねのランチタイムです。地元の有志たちが腕を振るう期間限定の特別食堂で、白トリュフがたっぷりかかったパスタをいただきました。地元で収穫されたばかりの新鮮な白トリュフは、思わずうなってしまうほど香りが良く大満足でした。

たくさんの白トリュフがかかったパスタ

ローズ:
おーーー! おいしそう。

中村:
佐藤さんからの画像には平打ちのパスタにクリームソース、そしてスライスされた白トリュフがおしげもなくかかっています! おいしそう! さすが白トリュフのサーグラですね。

佐藤:
そしてもちろんランチで味わうだけではなく、トリュフ博物館でトリュフの歴史や道具を学ぶことなどができました。
私の場合は車内で仲良くなった家族の紹介で、地元のトリュフ採集者たちの組合所にお邪魔することができて、その日の朝に山でとってきたばかりだという、木箱に入った希少なトリュフを見せていただきました。香りだけで酔ってしまいそうなほど芳醇な香りでした! 木箱に入った貴重なトリュフをひとつひとつ香りを確かめながら、一番気に入ったものを直接購入することができるのも、サーグラならではの体験でした。

ごろごろとした白トリュフ

中村:
画像を見ると石かな? と思っちゃいました! これが白トリュフなんですね! 貴重なトリュフ、いくらくらいで購入できるんでしょうか?

佐藤:
大きいもののほうが希少価値が高いなど、ものによって変わりますが、最も安い価格帯のものでも、10gで25ユーロです。たとえば、小さいもので直径2.5cmほどですと、日本円で約8,000円ほどになります。
高価なものですが、マツタケのようにそのまま食べるのではなく、スライスするなどして香りづけするものなので、まぁこのくらいかなぁと思います。

ローズ:
“サーグラ”はただおいしいものを食べるだけではなく、その地域の食文化を学ぶことにもなりますね?

佐藤:
そうですね、時期になると多くの村や町で行われて、地域の食文化の継承、観光客の誘致などの意味もあります。食材について知見を広めるような講演会や、実演会などを企画している場合もあります。

中村:
日本の各地方で行われている特産品のイベントみたいな感じですか?

佐藤:
日本で言うと朝市と道の駅と地元のお祭りとハンドメイドマーケットと移動式遊園地を合わせたものに、ひとつの食材をテーマとした限定食堂が開かれる、という感じです。
ただ大きく違うのは、非常に多くの、しかも小規模な村がこういった取り組みをしていて、都市部の人々に食べに来てもらうことに成功しているという点ですね。イタリアは地域によって食文化に大きな違いがあり、しかも都市部の一般家庭ではあまり調理されることのないジビエ料理などが田舎に息づいているということ、そしてイタリア人の食に対する意識の高さなどが、サーグラが活発な理由の一つかと思います。

ローズ:
ほかには、どんな特産品のサーグラがあるんですか?

佐藤:
聞いたことがあるものでは、炭火の鉄板で次々とステーキを焼いていくステーキのサーグラ、ちょっと驚くものだとカエルのサーグラなどがありました。日本人の感覚ではギョッとしますが、カエルが特産品の地域もあります。フリットなどにして食べるそうです。
私が実際に行ったものだと、巨大鍋でみんなに振る舞うパエリアのサーグラや、フィレンツェ近郊の村だとイノシシのサーグラにも毎年参加しています。イノシシは山の幸としてけっこうポピュラーなんですが、ミートソースにすると味が濃厚で、赤ワインとの相性も最高なんですよ。

中村:
それでは改めて“SLのローカル線に乗って白トリュフのサーグラに行くツアー”佐藤さんの考える魅力は?

佐藤:
今回は白トリュフでしたが、その土地ならではの特産品や郷土料理を現地で味わえること、そしてツアーで行くことでちょっと特別な雰囲気の遠足みたいなワクワク感が魅力でしたね!
小さな駅にも停車するローカル線なので移動にも時間がかかるんですが、乗り合わせた乗客同士が仲良くなっておしゃべりに花が咲いたりして、たまにはこんなゆったりとした旅も良いなと感じました。

中村:
佐藤さん、どうもありがとうございました!

佐藤:
ありがとうございました。


【放送】
2023/12/16 「ちきゅうラジオ」

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