世界中の人々と電話をつないで海外のホットな話題をピックアップする「ちきゅうメイト」のコーナーでは、イギリスで11月５日に行われるお祭り「ボンファイアーナイト」について、ロンドン在住の日本人ライター、パーリーメイさんに伺いました。
【出演者】
パーリーメイ：パーリーメイさん（ライター、ロンドン在住）
ローズ：當間ローズさん（土曜担当MC）
中村：中村慶子アナウンサー
中村：
「ボンファイアーナイト」というのはどんなお祭りなんですか？
パーリーメイ：
「ボンファイアーナイト」は毎年11月５日に行われるイギリスのたき火祭りです。
公園や自宅の庭などでたき火を囲んで手持ち花火をしたり、打ち上げ花火を見に出かけたりして楽しみます。11月５日が本番なんですが、その前から地域や学校など大小様々なコミュニティでイベントが行われます。11月５日前後の週末になると一層盛り上がり、家族や親しい友だちとパーティをしたりするんです。
ローズ：
今まさにパーティシーズンなんですね！ どんな料理を食べるんでしょう？
パーリーメイ：
期間中に必ず見かけるのは、スーパーやお祭りの屋台で売られているイギリス版りんごあめの「トフィー・アップル」です。家庭では、蜂蜜とジンジャーのケーキや各種スープ、芋や豆料理など、体を温める料理が好まれますね。中でも、この時期におなじみなのがボンファイアー・バンガーズです。この時期に作るソーセージ料理全般、ホットドッグなども、ボンファイアー・バンガーズと呼んでいます。
ローズ：
たき火バンガーズ！ 焼き芋はやらないんですか？
パーリーメイ：
焼き芋はやらないですが、焼きマシュマロはやります。それと、庭にあるファイアーピットと呼ばれるたき火台で、ジャガイモとベーコンをアルミはくに包んで焼くのが「伝統的」と教えてくれた知人もいました。この時期を「バーベキュー納め」とする家庭もあるそうですよ。
中村：
ボンファイアーナイトは大規模なイベントも行われるんですか？
パーリーメイ：
ロンドンとその周辺では大規模な花火大会が多く、今年ですと宮殿や公園、スポーツクラブにクリケット場、川沿い、レース場などさまざまな会場で開催されます。花火に加え、子ども向けのフェアやコンサート、バーベキュー、ドイツのビアフェスティバルなど、より多目的に楽しめるお祭りとなっていますね。
私の家の近くでは、１か月前に花火師による打ち上げ花火が上がりました。私の今年の一番花火の音になりますね。
今週からはいよいよ各家庭の庭先でも、平日から花火を楽しむ人たちが増えてきました。仲間内で花火大会の告知が回ってきたり、近所の友人家族とパーティを開き、手持ち花火をすると教えてくれたりと、皆ワクワクしている様子が伝わってきます。
ローズ：
本番１か月前から花火が上がっているって、めちゃくちゃ盛り上がっているじゃないですか。そんなに盛り上がる「ボンファイアーナイト」、日本ではあまりなじみがないですが、どんな歴史があるんですか？
パーリーメイ：
始まりは1605年です。当時、半世紀以上にわたり迫害されてきたカトリック教徒たちが、国王と国会議事堂の爆破を計画したんですが、それが未遂に終わったことを祝し、かがり火（ボンファイアー）をたいたことがきっかけと言われています。この事件の首謀者ガイ・フォークスにちなみ、「ガイ・フォークス・ナイト」、ほかにも「ファイアーワークス（花火）・フェスティバル」とも呼ばれていて、現代では宗教的な図式は消え、皆でワイワイ集まるよい口実となっています。
中村：
パーリーメイさんはこれまでどんな風に楽しみました？
パーリーメイ：
私はロンドン南部の、とある公立小学校の花火大会を見に行ったことがあるのですが、すっかり冷え込むようになったこの季節にありがたい、「マルド・ワイン」というイギリスのスパイス入りワインを飲みながら眺める花火は、とても風情がありました。
一方、地方の都市では、先ほど出てきた首謀者ガイ・フォークスの人形を焼いたり、仮装してたいまつを持ってパレードするなど、より古典的なイベントが見られます。特にイースト・サセックス州の町、ルイスでは中世の衣装を着た人たちがたいまつを持って大規模なパレードを行っているため“たき火の首都”として特に有名です。
中村：
「ボンファイアーナイト」、イギリスの皆さん、楽しんでいるんですね。
パーリーメイ：
10月下旬から11月にかけては、ハロウィーンにボンファイアー、そしてインド正月の祭り「ディワーリー」と、３つも秋の行事があるため毎年にぎやかで、「またこの時期がやってきたか」と季節の変わり目に気づかされます。イギリスの冬は寒くて暗い日が多いんですが、こうしたイベントでこの冬も楽しく迎えられそうです。
ローズ：
パーリーメイさんは明日の「ボンファイアーナイト」当日は、どう過ごすんですか？
パーリーメイ：
今年は地域のカトリックの教会で花火大会が催されるので行きますが、現代では本当にかつてのような宗教的な対立はなく、誰もが楽しめるイベントなんだなぁ、と興味深く思っています。軽い食事がチケット代に含まれていて、「ラッフル」というくじ引きもあるので、なにか景品が当たらないかと、いまから狙っています！
中村：
明日の「ボンファイアーナイト」楽しんでくださいね！ありがとうございました。
【放送】
2023/11/04 「ちきゅうラジオ」