繊細でも大丈夫! ラクに生きる方法

22/12/29まで

ごごカフェ

放送日:2022/12/22

#ライフスタイル#ココロのハナシ

14時台を聴く
22/12/29まで

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近年、日本でも「敏感すぎる人」「とても敏感な人」についての概念が広まってきました。繊細でストレスを感じやすい人が、その感性を大切にしたままラクに生きる方法について、公認心理師の武田友紀さんにうかがいました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)

【出演者】
武田有紀さん(公認心理師)


<プロフィール>
1983年 福岡県生まれ。九州大学工学部機械航空工学科卒。大手メーカーで研究開発に従事した後、2014年より分析力とHSP気質をいかしてカウンセラーとして独立。


――プロフィールにあるHSPとは?

武田: Highly Sensitive Personの略で「とても繊細な人」という意味です。会社員時代の私は、「どうして自分だけ弱いんだ~」と悩むことが多かったのです。しかし、アメリカ人の博士が書いた本に出会い、「強い・弱い」という基準ではなく「感じる量」が人とは違うんだということがわかり、今までの自分の状態に説明がついたのです。

――そしてカウンセラーになられたわけですが、昨今のコロナ禍で相談される方の悩みは変わってきましたか?

武田: 以前はHSPの説明から入ることが多かったのですが、最近ではHSPに対する知識がある状態でいらっしゃる方が多いですね。悩んでいることに「名前」がついたことで相談しやすくなったのではと思っています。

繊細さを知ろう!

――繊細な人ってどのくらいの割合でいるのですか?

武田: 少なくとも5人に1人くらいはいるといわれています。

――「傷つきやすい」や「神経質」と「繊細さ」とは違うのですか?

武田: 「繊細さ」を表す4つの気質について説明しましょう。
  • 1)深く考える(深く処理する)

表面的なことよりも本質的なことに目を向け、自然体で過ごしていても、他の人が通常考えるよりも深く考える傾向にあります。

  • 2)過剰に刺激を受けやすい

光や音、暑さや寒さ、痛みなど、刺激に敏感なので、他の人よりも早く疲労を感じる傾向にあります。

  • 3)感情反応が強く共感力が高い

共感力が強く、他者の意思や気持ちを察しやすいので、舞台や芸術を人一倍、深く味わう一方で、事故や事件のニュース、暴力的な映画などが苦手な傾向にあります。

  • 4)小さなことにもよく気づく

書類をぱっと見て誤字脱字に気づく、相手の声のトーンの微妙な変化に気づくなど、他の人が見逃してしまうような小さなことにもよく気づきます。気づく対象は人によってさまざまです。

武田: 「傷つきやすい」と「神経質」との違いですが、見分けるポイントは「不安の強さ」だと思います。職場で書類をみたときにパッと誤字脱字に気づくのは、繊細な人にとって自然なことです。一方、「間違っていたらどうしようと、何度も書類をチェックしてしまう」というのは神経質な状態です。人間関係では「相手の感情を察知しやすい」までは気質ですが、「まわりに不機嫌な人がいると、自分のせいかもと不安で仕方がない」は気質とは別の原因が由来していると思われます。

繊細さは悪いことではない!

武田: 繊細さは決して悪いことではありません。ただ「感じる力」が強いためにさまざまな局面で生きづらさを感じてしまっているのです。例えば、一つのことを深く考えてしまうため、その反動で、一度に多くの作業を処理するマルチタスクが苦手であったり、効率やスピードを求められる作業が苦手だったりします。また、人とコミュニケーションを取る中で、言語外の情報も多くキャッチしてしまうため、相手の機嫌を考えて心がすり減ってしまうと、繊細な人が本来持ち合わせている「いいもの」を感じるセンサーも弱くなってしまいます。

――否定的に繊細さをとらえないことが大切なのね。

刺激には物理的な距離を

武田: まず五感のうち、最も鋭いものから対策するのをオススメします。自分がどんな刺激にダメージを一番受けるかを考えてみましょう。例えば「視覚」からの情報に影響を受けやすい人は、必要以上のものが見えないように視界の範囲を物理的に制限するのが大切です。例えば、メガネやコンタクトレンズの度数を下げる。だてメガネや縁の太いメガネをかけて見える範囲を制限するなどが効果的です。

――聴覚でダメージを受けやすい方はどうしたらいいですか?

武田: ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓を使用したりするのが効果的です。

繊細な人との関係

武田: 繊細な人は「配慮が足りない人」に振り回される傾向があります。ふだんから相手の表情や言葉のニュアンスを感じ取ってコミュニケーションをとっているので、思いやりのない言い方をする人や、プライベートにずかずか入ってくる人、いわゆる配慮がない人が信じられないのです。相手が「悪意」をもっているのではないか? とネガティブな思考が進み、言葉の裏を考えて心配になってしまう傾向があります。「自分の予想は外れるものだ」「自分のせいではない」と思うようにしましょう。「共感」せずとも「この人そうなんだな」と受け止めるようにしましょう。

疲れたら相手をテレビの中へ

武田: 繊細な人はキャッチする情報が人よりも多いため、エネルギーが強い人と話すと刺激過多になり、疲れてしまうことが多いです。そんなときは、イメージを使って境界線を引いてみましょう。相手の話を聞いていて疲れを感じたら、その人はテレビ画面の向こうの人だとイメージしてみてください。相手との間にペンをおいて「ここがあなたと私の境界線」と決めるのも、効果的です。とにかく自分の安全なスペースをつくることが大切です。

合言葉は「ひとつひとつやっていこう」

武田: 繊細な人は、さまざまなことを感じとり、深く考えながら仕事をします。一つ一つの仕事に集中して丁寧に仕上げるのが得意です。しかし、繊細な人ほどいろいろな仕事が同時に重なると焦ってしまいます。「優先順位をつけよう!」という話になると思いますが、繊細な人には「ひとつだけ重要なものを選ぼう!」と伝えています。優先順位選びが仕事にならないように気をつけてください。「ひとつひとつやっていこう」を心がけましょう。

繊細だからこそ感じることができる幸せ

武田: 感じることをムダと思わず、自分のために感じる時間をとることが大切です。また、繊細な人は、表現力が豊かなので、ブログやハンドメイドなどの作品を表現してほしいと思います。繊細さは、“幸せを見つけていける”とてもステキな感性なんです。なので繊細なままでも元気に生きられるんだと、繊細さのいいところを見つけてもらえたらと思っています。

――元気で明るい繊細な人になれるといいですね。ありがとうございました。


【放送】
2022/12/22 「ごごカフェ」

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