新型コロナの影響で遠ざかっていた海外旅行。旅行が制限された分、旅への思いをより強く感じている人も多いのではないでしょうか。条件の緩和で渡航できる国が増えてくる中、海外を自由に旅行できる未来に向け、たかのてるこさんに人生を変えた旅の話をうかがいました。いっしょに旅気分を楽しみましょう!(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
たかのてるこさん(旅人・エッセイスト)
<プロフィール>
1971年 大阪府出身。大学卒業後、映画会社に入社。自らが出演するドキュメンタリー旅番組を制作。2011年、映画会社を退職し、エッセイストとして活動を開始。“地球の広報”としてメディアや講演会などでも活躍中。
――お久しぶりです。ご無沙汰してます。この2年間お元気でしたか?
たかの: | ほんまに仕事もなく、こもっていましたね。 |
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――たかのさんのエッセイ『ガンジス河でバタフライ』は、脚本が宮藤官九郎さんでドラマ化され、たかのさんの役を長澤まさみさんが演じたんですよね。
たかの: | 宮藤くんとは大学が一緒で、彼がはじめて監督した映画の主演女優は私だったんですよ。「きみにしかできない役があるんだ!」とオファーしてきたんですよ。今じゃスゴイ人になってしまいましたね。 |
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――このガンジス河でバタフライをするというアイデアは、吉川晃司さんの映画から影響をうけているんですって?
たかの: | 吉川晃司さんのデビュー映画で、吉川さんが広島から泳いで上京するシーンを見て「これだ!」と思ったんです。私も大阪からバタフライしたかったんですが、反対されて新幹線できました。 |
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――旅のきっかけは、お母さんの腹話術だったそうですね?
たかの: | 東京から帰宅したら、きてれつな人形を抱えたおかんに「お母さん腹話術をはじめたの。これからは好きなコトをやって生きていくから」って言われたの。おかんは50歳過ぎていたけど、人はいくつになっても好きなコトやっていいんだと思いました。で、私はあこがれていた旅をしようと思ったんです。物語の主人公ってみんな旅をするじゃないですか? 桃太郎しかり一寸法師、ワンピースのルフィや銀河鉄道999の鉄郎、ルパンも旅人でしょ。みんな出会いと別れを経験して成長するじゃないですか。私もひとり旅で自分を変えたかったんですよ。 |
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――最初はどこに行ったの?
たかの: | 香港とシンガポールです。ジャッキー・チェンとかユン・ピョウが好きだったんです。 |
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――旅のスタイルは、行き当たりばったりなんですって?
たかの: | みんな人生は行き当たりばったりじゃないですか。 |
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――考えてみれば、行き当たりばったりに順位をつけて生きてきたわね(笑)。
たかの: | 人生に台本を渡されたら楽しくないですよね。先がわからないのは不安だし悩みもあるけど、それは自分が自由だという証しなんだと思っています。それから旅に出ると鳥の目になれるんですよ。虫の目じゃなく。 |
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――広い視野になること?
たかの: | 日本だけが世界じゃないんだ! 私が生きている世界がすべてじゃないんだ! しかも私の欠点である「方向音痴」も長所に思えてきたんです。道に迷ったときに言葉が通じてコミュニケーションがとれたときに方向音痴でよかった! って思ったんです。旅は短所を長所に変えてくれるんです。 |
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――言葉が通じた時の充実感ありますよね。英語は話せるの?
たかの: | ぜんぜんダメです。完璧な英語を話そうとするからダメなんです。片言同士でも通じ合えるんです。「地図を見せて、ここにいける?」って聞きたいのに言葉が出なくて、「できるは“Can”やな?」って、地図を見せて「キャン?」って聞いたら、運転手さんも「キャン、キャン」って答えて、お互い「キャン」しか言ってないの、英語がペラペラになった気持ちでした。あとは「パードン?」攻撃ですね(笑)。 |
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