防災アップデートのススメ

24/03/14まで

ごごカフェ

放送日:2024/03/07

#防災・減災#東日本大震災#能登半島地震

午後2時台を聴く
24/03/14まで

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今年1月に発生した能登半島地震。復興はまだまだという状況です。また、3月11日は、東日本大震災から13年。いつどこで地震が発生するかわかりません。防災についての情報を再確認して、アップデートしましょう。(聞き手:吾妻謙パーソナリティー)

【出演者】
山村武彦さん(防災システム研究所・所⻑)


<プロフィール>
1943年、東京都出身。1964年、新潟地震でのボランティア活動をきっかけに、防災・危機管理のシンクタンク「防災システム研究所」を設立。以来、世界中で発生する災害の現地調査を実施。防災意識の啓発に取り組む一方、企業や自治体の防災アドバイザーを歴任。災害に強い企業、社会、街づくりに携わっている。


――能登半島地震から2か月。火災が多かったのは能登の家屋に特徴があったからだそうですね。

山村:
能登の家々は強い潮風の塩害対策として、トタンなどは使用せず、瓦ぶきで、外壁は杉やひのき板を重ねた「下見板張り」なんです。先人の知恵なのですが、これが延焼を招いてしまったのだと感じました。地元消防関係者からは、目の前の火を消せなかった無念の声を多く聞きました。地震・津波・火災という三重苦に見舞われた地域もありました。

防災意識をアップデート

山村:
家で揺れた場合には「安全ゾーン」への移動を推奨します。

――安全ゾーンとは?

山村:
安全ゾーンは「転倒落下物の少ない閉じ込められない場所」です。耐震性の高い建物の中にいた場合は「机の下などに身を隠す」行動でよいと思いますが、どんな状況であっても「机の下に身を隠す」が正しいと決めつけるのはかえって危険です。古い建物だと倒壊する可能性がありますし、倒壊しないまでも天井が落下したり、ドアの変形で閉じ込められたりして、机の下に身を隠していたら逃げられなくなる恐れがあります。その場合、転倒や落下物が少なく、ガラスから離れた「玄関」が1つの安全ゾーンです。玄関には、非常持ち出し袋やヘルメットを用意して、靴がすぐ履けるようにしておくことも大事です。

――2階にいたときはどうしたらいいですか?

山村:
階段を踏み外すこともあるので、あわてて1階に下りない方が安全です。2階にいたほうが潰れても隙間ができやすく、倒壊しても助かる率が高いと思います。地震だけのことを考えれば寝室は2階のほうが安全だと考えます。

――外出先で地震にあったときの行動は?

山村:
建物やブロック塀、自販機は倒れる恐れがあるため離れてください。電車に乗っている場合は、手すりなどにしっかり捕まって、できれば体を低くして、大きな揺れが来るのに備えましょう。しゃがんでいる方がケガをする確率は低いです。「ここで地震があったらどうするか?」「電車に乗っているときはどうするか?」など、ふだんからシミュレーションして、考えておくことが防災・減災への第一歩です。

災害に備える

――南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10メートルを超える大津波が予想されています。身を守るために我々ができることは?

山村:
津波を見てから逃げていては間に合いません。海岸エリアでは地震津波と思ってすぐに行動を起こすことが大事です。

『津波防災3か条』(山村さん提唱)

  • 津波・洪水逃げるが勝ち! 健常者は駆け足で、津波が来るぞーと叫びつつ
  • 引き波からとは限らない、俗説を信じず、最悪を想定して行動せよ
  • 遠くの避難所より近くのビル4階、一度避難したら警報解除まで戻らない

――さらに気をつけなければいけないことがあるそうですね?

山村:
東日本大震災の場合、建物の下敷きで亡くなった方は4%程度で、その最大の特徴は揺れそのものよりも津波でした。その結果、「津波さえ気をつければよい」という感覚が広まってしまった側面もあります。しかし、南海トラフ地震の場合、震源地は広範囲にわたり、陸域も含まれています。これは、阪神淡路大震災レベルの強烈な揺れが長い時間続く可能性を示唆しています。

――そうなってくると、どのくらいの備えが必要だとお考えですか?

山村:
これまでの講演活動などから、7日間分以上の備えをしている人は10%程度でした。しかし、小さな災害では3日間で支援がきますが、大規模災害ではそれでは足りないでしょう。携帯トイレはできるだけ多めに。乾電池は10年間長持ちするものを。ポータブルラジオは貴重な情報源です。私は、季節の変わり目(9月1日、12月1日、3月1日、6月1日)に、電池、水、食糧、医薬品など「防災用品点検の日」をしています。

「東京備蓄ナビ」というサイトでは、家族の人数・性別・年齢・住宅形式(戸建てor集合住宅)・ペットの有無を入れると1週間分の備蓄品が出てきます。
※以下は、成人男女の夫婦二人暮らし、集合住宅、ペットなしの場合。

――山村さんは、いつも「モバイル防災ポーチ」を持ち歩いているそうですね。

山村:
出先で災害に遭遇したときに活用できるものを持ち歩いています。どれも欠かせない大事なものですが、災害時にはATMやクレジットカードが使えないので、小銭を含めた現金をまとめています。お気に入りのポーチを見つけて作れば、防災に対する気分もあがりますよ。

【山村さんのモバイル防災ポーチの中身】
防煙袋、非常用携帯トイレ、消毒用ウエットティッシュ、ポンチョ(雨具)、マスク、使い捨てカイロ、体温計、お薬手帳、携帯ラジオと予備電池、イヤホン、笛、首掛けライト、マイ箸、チョコレート、ビスケット、あめ、歯ブラシセット、アイマスク、耳栓、少しの現金、ビニール袋、緊急連絡先・保険証・診察券・免許証・カードのコピーなど。

山村:
私が必要なものは何か? その意識をいつも持ち続けてください。


【放送】
2024/03/07 「ごごカフェ」

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