午後2時台を聴く
24/03/13まで
世界70か国を旅して郷土料理を研究してきた青木ゆり子さんに、郷土料理について教えていただきました。郷土料理の話題は、国際交流に役立つそうですよ。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
青木ゆり子さん(郷土料理研究家)
<プロフィール>
埼玉県出身。演劇雑誌のライターを経て、2000年に料理の背景にある歴史や文化を紹介する世界の料理総合情報サイトを開設。著書多数。
――青木さんの郷土料理の定義とは?
青木:
国内海外問わず、地域の産物を活用した、その風土にあった作り方が受け継がれ、地域の祭り、歴史や文化、民族など、いろいろなものが混ざり合って、その土地に根づいてきた料理だと思っています。
――青木さんと郷土料理との出会いは?
青木:
きっかけは大学生のときにニューヨークのプエルトリコ人街で食べたローストポークです。クミンを使った今まで食べたことのない味でした。それをきっかけに、リトルイタリー、チャイナタウン、コリアンタウンなどを食べ歩きました。
郷土料理で国際交流
青木:
和食のルーツを求めて、奈良を起点に中国、ウズベキスタン、トルコなどを巡って、ローマまで、シルクロードの食の旅を14年ほど前から始めたんです。シルクロードは「絹の道」であると同時に「麺の道」でもあるんです。日本最古の麺で「そうめん」の元になった「さくべい」という料理も、奈良時代に唐から伝わってきたそうです。
――食べ物の話をすれば、その国の人と仲よくなれるそうですね。
青木:
自分の故郷の料理を聞かれて嫌がる人はいないようで、みんな喜んで教えてくれますよ。ニューヨークの地下鉄で、ジョージアの郷土料理「ハチャプリ」というチーズたっぷりのピザのようなパンの話を友人としていたら、近くにいた人が「それは私の国の郷土料理よ。どうして知ってるの?」と話しかけてきてくれました。そして、ニューヨークで「ハチャプリ」が食べられるお店を教えてくれました。
――郷土料理の国際交流ですね。
青木:
各地の郷土料理を知れば、距離が遠くても類似点を発見することがあります。違いを認め合うことも大事ですが、類似点を探すことで仲よくなると思います。
――類似点ですか?
青木:
例えば、イラクの北部、チグリス川付近には、鯉(こい)を背開きにして焼いた「マスグーフ」という料理があるのですが、長野県の佐久市にも鯉を背開きにして焼いた料理があるんです。
――SDGsの観点からも郷土料理は見直されているそうですね。
青木:
地産地消で地元にあった調理方法には、先人の知恵が詰まっていて、フードロス削減にもつながっています。
――これから、どのように郷土料理を楽しんだらいいですか?
青木:
郷土料理には、いろいろなものが詰まっています。どうしてその食材が使われているのか? 背景や文化や気候などに思いを巡らせながら味わってください。それを知ることで、郷土料理がよりおいしく感じられると思いますよ。
【放送】
2024/03/06 「ごごカフェ」
午後2時台を聴く
24/03/13まで