土井善晴さん/食べることは生きること

24/02/26まで

ごごカフェ

放送日:2024/02/19

#インタビュー#たべもの

午後2時台を聴く
24/02/26まで

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24/02/26まで

「味つけはせんでええんです」その真意とは? 哲学的とも言える土井善晴(どい・よしはる)さんのお話を聞けば、料理がもっと楽しくなるかもしれません。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)

【出演者】
土井善晴さん(料理研究家)


<プロフィール>
1957年、大阪府出身。スイス、フランスで料理修行の後、大阪の料亭で日本料理を学ぶ。1992年に『おいしいもの研究所』設立。大学では食事学や料理学を指導している。

一汁一菜のすすめ

――2016年に提案された「一汁一菜」について教えてください。

土井:
日本食の基本は、主食のご飯(お米)と一汁(みそ汁などの汁物)と一菜(漬物)が基本で、このシンプルな3品を食べていれば生きていけるんです。僕は、一汁を“具だくさん”にすればいいと考えました。誰でも簡単につくれて栄養がとれるものが「一汁一菜」なんです。水を入れた鍋に野菜や肉、豆腐や魚などを入れて、具に火が通ったらみそを入れます。みその量や火加減など決まったことはなく、具材に火が通ればいいんです。

――具が多いのがいいですよね。私もベーコンとかピーマンを入れました。

土井:
“いまそこにあるもの”を食べるのがいいんです。余裕がないと、料理って楽しくつくれないじゃないですか。「一汁一菜」でそういうことから解放したかったんです。

――私のママ友たちも「よくぞ言ってくれた!」という感じでしたよ。

土井:
「気持ちが楽になった」「永遠の悩みから解放された」という声を聞いてホッとしました。でも私自身が「一汁一菜」なんて言ったら料理研究家の仕事がなくなるんじゃないかと心配しました(笑)。

味つけはせんでええ

土井:
「一汁一菜」を追求していたら、改めて「おいしい」について考えるようになりました。昔は、味つけは食べる人に委ねられていました。食卓には、塩、しょうゆ、ソースなどがあったし、ふりかけや梅干し、つくだ煮なんかも置いてあって、それを自分の好みにあわせて食べていましたよね。

――いつから変わっていったのですか?

土井:
外食をする機会が増えたせいで、家庭料理がどんどん難しくなったのではないかと思います。外食する機会やグルメ番組も増えて、「おいしい」ものを知らず知らず求めているのではないでしょうか。

――プロと家庭では火力も道具も違いますよね。

土井:
外食と同じものを求めるようになったことが原因で、料理をつくること、食べることの意味が変わっていったのだと思います。みんな「おいしい」ということにとらわれ過ぎているんですよ。

――「だし汁は一つの要素にすぎない」ともおっしゃっていましたね?

土井:
みそ汁は、水と具材とみそでいいんです。だしは要素にしか過ぎないんです。野菜や肉などから「うま味」は出ているんですよ。

――だしを入れなくても素材の味を感じられるんですね。

土井:
なんでもかんでもだしを入れたら、逆に肉などの主役の味が負けてしまうんですよ。

――これからは何をやっていく予定ですか?

土井:
これからは「美」について考えていきます。

――料理を通しての「美」ですか! 楽しみにしています。


【放送】
2024/02/19 「ごごカフェ」

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