コーヒーハンターの夢

24/02/14まで

ごごカフェ

放送日:2024/02/07

#インタビュー#ワールド

午後2時台を聴く
24/02/14まで

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日本は世界第4位のコーヒー消費国だそうです。世界のコーヒー事情やおいしいコーヒーを飲む秘訣(けつ)など、コーヒーハンターの川島良彰(かわしま・よしあき)さんにうかがいました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)

【出演者】
川島良彰さん(コーヒーハンター)


<プロフィール>
1956年、静岡県出身。高校卒業後、中米エルサルバドルの国立コーヒー研究所でコーヒー栽培・精選を学ぶ。その後、大手コーヒー会社に就職し、ジャマイカ、ハワイ、インドネシアで農園開発を手がける。2008年にコーヒーの会社を設立。希少な品種の発掘や、世界各地の農園での技術指導など、さまざまな活動を行っている。


――実家がコーヒー豆の焙煎(ばいせん)卸業だったそうですね。

川島:
コーヒー豆を保管する倉庫が僕の遊び場でした。コーヒー豆の入った麻袋に寝っ転がって本を読むのが好きでした。コーヒー豆のニオイをかぐとあの頃を思い出しますね。

――エルサルバドルに留学したきっかけは?

川島:
高校卒業後の進路を決める時期に、父が知り合った駐日エルサルバトル大使が、私の身元引受人になってくれて、エルサルバドルへの留学が決まったんです。

――エルサルバドルの大学はどうでしたか?

川島:
大学生活には興味が持てませんでした。しばらくして言葉や生活に慣れた頃に「コーヒー国立研究所」を発見したんです。1か月通って「コーヒーを勉強させてほしい!」とお願いしてようやく受け入れてもらったんです。あとで知ったのですが、このコーヒー研究所は、ブラジル、コロンビアと並ぶ世界三大研究所の一つで、博士号を持つ人材が集う研究機関だったんです。そこで私は研究生にしていただきました。信じられないくらいにラッキーでした。

――コーヒー研究所での生活はいかがでしたか?

川島:
研究者はもちろん、技術者も多く働いていて、コーヒーにまつわるあらゆることを学びました。机の上での勉強もしましたが、農園を見て回るうちにコーヒーの奥深さ、おもしろさにのめり込み、コーヒー農園の収穫も手伝いました。コーヒーを知るために大事なことは農園を見て回ることだと痛感しました。いまでも農園めぐりは続けています。

――その後、エルサルバドルを離れてしまうんですよね。

川島:
内戦が勃発し、ロサンゼルスに疎開しました。そのときに大手コーヒー会社からジャマイカでコーヒー農園を始めるから手伝ってほしいと頼まれたんです。そこからジャマイカで農園開発を手がけることになりました。25歳から51歳まで、会社員時代のほとんどが海外勤務でした。

コーヒーハンターの夢

川島:
アフリカのマラウイ政府からコーヒー栽培の技術指導を頼まれたとき、マダガスカル島で幻のコーヒーの原木を発見したんです。

――そこからコーヒーハンターと呼ばれるようになったのですね。コーヒーハンターの川島さんから見て、日本のコーヒーはどうですか?

川島:
日本は、平均的にみても良質なコーヒーが輸入されています。抽出方法も多様化が進んでいて、コンビニでも手軽においしいコーヒーが飲めますね。ただ、品質が玉石混交なので、同じ豆で淹(い)れたコーヒーなのに、場所によって違う値段で売られています。なので、高いお金を払っても、おいしいコーヒーを飲めるとは限りません。これは生産者にとって、いい豆を作っても評価されないということなんです。私はこの現状を変えたいと考えています。コーヒーの味を決めるのは「豆」です。焙煎方法や淹れ方の知識は多いのに、豆に関してのちゃんとした情報が少ないんです。もっと豆を知ってほしいです。

――川島さんにとってのおいしいコーヒーとは?

川島:
私は「コーヒーはフルーツ」と提唱してきました。フルーツだからこそ酸味と甘味を楽しんでほしいです。おいしいコーヒーは、ボディが強くコクがある。濃いというのではなく、酸味の中に甘味を感じられるんです。品質の良い完熟した実を収穫すれば、雑味やエグ味のない果実のフレッシュな酸味を感じることができます。

――自宅でおいしいコーヒーを飲むために心がけることは?

川島:
鮮度がよく密度の高い豆を購入しましょう。豆を挽(ひ)く前に、エグ味や雑味の原因になる、欠け豆、虫食い、未成熟豆は取り除いてください。豆の輸送方法や保管方法まで説明できるお店なら安心して購入できます。

――コーヒーを通して社会貢献活動もされていますよね?

川島:
2021年から障がいのあるバリスタが技術を競う「チャレンジコーヒーバリスタ」をはじめました。大会への関心も高まり、今年も全国から24チームの応募がありました。これからも私の経験をコーヒー好きの皆さんと分かち合っていきたいと考えています。


【放送】
2024/02/07 「ごごカフェ」

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