あっちこっち 全国各地のからくり時計

24/01/30まで

ごごカフェ

放送日:2024/01/23

#インタビュー#ローカル#カルチャー

午後2時台を聴く
24/01/30まで

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24/01/30まで

決まった時間になると人形が動いたり音楽が流れたり、さまざまな演出で私たちを楽しませてくれる「からくり時計」。それぞれの演出からは、その地域の特徴や歴史が見えてくるそうです。からくり時計愛好家の竹田翔悟(たけだ・しょうご)さんに、全国各地の魅力的な「からくり時計」を紹介してもらいました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)

【出演者】
竹田翔悟さん(からくり時計愛好家)


<プロフィール>
2001年、愛媛県出身。幼少期から「からくり時計」に興味を持ち、10歳で動画投稿サイトにからくり時計の情報を発信。2017年には、インターネットでつながった同年代のメンバー4人で、からくり時計の調査・研究サークル『はまなす団』を結成。


――からくり時計は全国にどのくらいあるのですか?

竹田:
家に置く小型のものを「家庭用からくり時計」、屋外にある大きなものを「設備からくり時計」と呼んでいるのですが、「設備からくり時計」は、80年代から90年代にかけてのバブル期に多く作られました。屋上遊園地などに一時的にあったというものも含めれば、これまで1,200ほど存在していたのを確認できています。しかし、現在は400くらいしか残っていません。

――設置された地域の特色が出るものですか?

竹田:
基本的に人目につく駅などに設置されるので、その地域の名物や名所、歴史などを入れ込んだものは多いですね。

――からくり時計を好きになったきっかけは?

竹田:
2歳のときに道後温泉駅前にある「坊っちゃんカラクリ時計」を見たことがきっかけです。それから時計など機械に興味を持って、現在も機械関係の仕事をしています。

――「坊っちゃんカラクリ時計」は有名ですよね。

竹田:
1994年、道後温泉本館建設100年周年記念事業の一環として作られました。午前8時から午後10時までの間、1時間ごとに可動します。太鼓の音とともに屋根が上昇して、道後温泉本館の振鷺閣( しんろかく )の太鼓たたきをイメージした人形が登場し、文字盤の回転や土台の上昇に加えて次々に扉が展開して、夏目漱石の『坊ちゃん』の登場人物が現れる仕掛けです。演出終了後はマドンナがもう一度現れて、松山市の観光名所の説明をしてくれます。

――音楽も松山市らしいものが流れますよね。

竹田:
松山市で行われたイベントがきっかけで生まれた「この街へ」という曲や、愛媛県の伝統的な舞踊の「伊予万歳」、愛媛県の民謡「伊予節」をアレンジしたものなどが使われています。

地域の特色つめ込みました

銀河ポッポ(岩手県花巻市)

竹田:
1992年に作られた時計で、花巻駅前の定住交流センターにあります。午前10時から午後10時まで、1時間ごとに可動します。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』がモチーフで、列車が汽笛を鳴らしながら周回し、夜には屋根の内側に星空が広がって幻想的です。音楽は宮沢賢治作曲の「星めぐりの歌」が使われていています。

はりまや橋カラクリ時計(高知県高知市)

竹田:
1999年に作られた時計で、午前9時から午後9時まで、1時間おきに可動します。時間がくると文字盤が前に出てきて、時計の上から高知城、下はよさこいの踊り子人形、右にはりまや橋、左に坂本龍馬像が登場するんです。夜にはライトアップもされ、文字盤が花火のように光る演出もあるんですよ。

――このような大がかりな「からくり時計」は減っているんですよね?

竹田:
減っていく一方なんです。バブル期は平気で1億円とかかけて作っていましたが、今では高くても500万円くらいでしょう。バブル期のものを修理するとなるとお金がかかりすぎて、直したくても直せない状態なんです。なので、いまのうちに見ておかないといけないと思って必死なんです。

――竹田さんたちの『はまなす団』は、からくり時計の修理なども行なっているそうですね?

竹田:
2022年に、名古屋市の御園通商店街にある「白浪五人男」の修理に関わりました。このからくり時計は1992年に作られたもので、人間と同じくらいの人形が5体収納されている、高さ12メートルの巨大な屋形式からくり時計です。この時計は1日に5回稼働しますが、1929年に御園座で収録された、白浪五人男の「稲瀬川勢揃いの場」が再現されているんです。

――竹田さんたちはどんな修理を担当したんですか?

竹田:
配線作業や外側の塗装、人形の衣装の仕立て直しをしました。かなり大変でしたが、お披露目会は、『はなます団』にとって記念すべき日になりました。

――ところでどうして『はまなす団』なの?

竹田:
僕らがずっと話題にしてきた、茨城県の「大野潮騒はまなす公園」に古びたからくり時計があったんです。僕らといえば「はまなす公園」というイメージになっちゃったので『はまなす団』になりました。

――これからはどのような活動をしていきますか?

竹田:
今後も、修理のお手伝いなどの活動を続けていきたいです。

――なんといっても若いから、これから80年は活動できますよ(笑)。


【放送】
2024/01/23 「ごごカフェ」

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