冬だからこそ聴きたくなる歌謡曲と、連続テレビ小説『ブギウギ』のモデル・笠置シヅ子の魅力について、音楽評論家の佐藤利明さんにうかがいました。（聞き手：吾妻謙パーソナリティー）
【出演者】
佐藤利明さん（音楽評論家）
<プロフィール>
1963年、東京都出身。「オトナの歌謡曲プロデューサー」と称し、コンピレーションアルバムのプロデュースやコラムの執筆、講演など、マルチに活躍。昨年、音楽評伝「笠置シヅ子・ブギウギ伝説」を出版。
冬に聴きたい歌謡曲
- １）虹と雪のバラード（天地真理）
佐藤：
天地真理さんのデビューアルバム『水色の恋/涙から明日へ』に収録されている「1972年札幌オリンピック」のテーマソングです。私が初めておこづかいで買ったレコードで、私にとっては、トワ・エ・モワより真理ちゃんの歌声なんです。
- ２）冬の窓（キャンディーズ）
佐藤：
８枚目のシングル『ハートのエースが出てこない』のカップリング曲です。19歳を前に、少しだけ大人になった女の子の心情をメランコリックに表現しています。
- ３）冬の妖精（松田聖子）
佐藤：
作詞は松本隆さん、作曲は大滝詠一さんです。『風立ちぬ』が秋の歌なら「冬の歌も！」と作った曲だそうです。アレンジやコーラスには、大滝さんの『君は天然色』に通じるものがあります。
- ４）真冬の帰り道（ザ・ランチャーズ）
佐藤：
北欧をイメージさせるサウンド、端正なボーカルが魅力的な楽曲です。のちにジャッキー吉川とブルーコメッツやキャンディーズなどにカバーされ、定番のウインターソングとなりました。
- ５）冬物語（フォー・クローバース）
佐藤：
カレッジ・フォークの草分けとして活躍したフォーセインツは、レコード会社の移籍に伴い「フォー・クローバース」と改名しました。作詞は阿久悠さん、作曲は坂田晃一さんです。
- ６）外は吹雪（沢田研二）
佐藤：
誕生日なのに吹雪で外にも行けず、恋人の料理の腕もさえない。そんな申し訳なさそうな彼女に「君のせいじゃない。この冬が悪いんだ」と語りかける曲です。作詞は六文銭の及川恒平さん、作曲はザ・スパイダース出身の大野克夫さんです。
ブギウギだけじゃない！
――昨年、佐藤さんは笠置シヅ子さんの音楽評伝を出版されましたね。
佐藤：
笠置さんの少女歌劇時代から、服部良一さんとの出会い、スイングの女王時代のエピソードなど、彼女のステージや楽曲の魅力を書きました。
――まずはどんな曲をご紹介いただけますか？
佐藤：
1939年（昭和14年）にリリースされた『ラッパと娘』をお送りします。
――ドラマの『ブギウギ』でもおなじみの曲ですね。
佐藤：
笠置さんといえば、ブギの女王として知られていますが、戦前は、ジャズシンガーとして大人気でした。今回お送りする「ラッパと娘」は、戦前に録音されたオリジナル音源です。戦前の日本のジャズソングのレベルの高さ、ステージを歌って踊る、若き日の笠置さんをイメージしながらお聴きください。
～ラッパと娘～
――続いての楽曲は？
佐藤：
1947年（昭和22年）にリリースされた「コペカチータ」です。これは服部良一さんが書き下ろした曲で、リズムもメロディーも次々と変転していきます。スペイン風のサウンドで、構成がパッションに満ちた情熱的なオペレッタ。エキゾチックで前衛的、彼女の声質を最大限にいかした実験的野心作です。
～コペカチータ～
――作詞の「村雨まさお」は、服部良一さんなんですね。次の楽曲は？
佐藤：
1950年（昭和25年）に笠置シヅ子＆服部良一コンビが、４か月にわたるアメリカ公演を行い、そこで出会った新しいサウンド「ビ・バップ」をいち早く取り入れた「オールマン・リバップ」です。その後のロックンロール時代を予感させる楽曲です。
～オールマン・リバップ～
――彼女の曲を聴いて、ドラマ『ブギウギ』をもっと楽しもうと思います。
佐藤：
今回も選曲するのが楽しかったです。
- ※ 佐藤さんの選曲の数々は、是非、聴き逃しで！
【放送】
2024/01/12 「ごごカフェ」
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