午後2時台を聴く
23/12/27まで

午後2時台を聴く
23/12/27まで

「年だから・・・。」「年相応。」そんな言葉にしばられて、自分を規制していませんか? 人生を楽しくするヒントとパワーを湯山玲子さんからいただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)

【出演者】
湯山玲子さん(著述家)


<プロフィール>
1960年、東京都出身。出版社からフリーの編集者として独立。雑誌や単行本の編集、執筆に加え、広告のディレクション、プロデュースを行う。テレビのコメンテーターとしても活躍中。


――湯山さんは、クラシック音楽の新しい聴き方を提案する「爆クラ」を主宰されていますが、湯山さんの音楽の原点は?

湯山:
父が作曲家(湯山昭氏)だったので、生まれたときからクラシックが身近にあったんです。クラシックは嫌いではないけど、しばられたくないという原点があったかもしれません。会社を辞めてフリーランスでやっていたときにクラブミュージックに出会いました。

――それがどうして「爆クラ」につながるのですか?

湯山:
クラシックに親しんでいたことからクラシックに必要な「知識」は持っていましたが、ニューヨークでクラブミュージックのDJプレイを見て、クラシックに通じるものを発見したんです。そこから、クラシックを私の方法で広めようと思ったんです。

――クラシックって”敷居が高い”と思われている人多いですよね。

湯山:
”敷居が高い”のは確かです。でも、そんなネガティブな要素を払拭できることはいくらでもあるんです。勉強しなくちゃわからない、小さな頃から親しまなければ楽しめない。そんな思い込みをなくすこと、しばりから解き放たれることから始めればいいんです。まずは小澤征爾サイトウ・キネン・オーケストラの「ブラームス交響曲第1番 第1楽章」を聴いてみましょう。イントロに驚きますよ。

~~~「ブラームス交響曲第1番 第1楽章」~~~

――半音階ずつ上がっていくところが緊張感が高まる感じでドキドキしますね。

湯山:
ブラームスはロマン派の作家です。それまでは神に捧げる、貴族のための音楽でしたが、ロマン派になって初めて人間の感情を出すエモーショナルなものを表現する音楽になりました。

――「爆クラ」は、やはり爆音で聴くのですか?

湯山:
「爆クラ」はクラシック音楽の新しい楽しみ方を提案するので、爆音ではなく、最適な音量で聴いてもらいます。高いお金を払ってホールで聴くのではなく、クラブ仕様の豊かな音量のサウンドシステムでクラシックを聴いてもらうんです。さらにクラシックを聴いてもらうだけでなく、テーマにあわせた選曲で曲自体や周辺の文化、社会状況などを語り、親しんでもらっています。ちなみに蓄音機で静かに聴く「弱音」もやっています。

――トークありきなんですね。

湯山:
クラシックってお勉強としてとらえられている側面が大きかったですよね。しかも、それを払拭するために「クラシックって実はこんなにおもしろいんだよ」と上から目線で諭す教え方が増えていました。私は、さまざまなジャンルの音楽ツウの人が、クラシックへ横すべりするようなことがやりたかったんです。例えば、レゲエが好きな人はきっとショスタコーヴィチだろうし、AORのスティーリー・ダンが好きならラヴェルにハマるだろうと思ったんです。

――ジャンルが違っても通じるものがあるということですね。

湯山:
クラシック音楽は、楽器や声といったアコースティックな音の響きをいかにすばらしく伝えるか、そして、音響が計算されたホールで聴くのが当たり前とされてきましたが、自然や特殊な環境の中で音楽を体感してもらうことも始めています。

――おすしを握ることも始められたそうですね。

湯山:
握り手の心理を知りたいという好奇心からすしを握ることになったんです。モスクワ、ベルリン、バルセロナなどでも握りました。修行することもなく、いきなり握ってお客様に出しました。まずは修行をして、すしは男性が握るものという固定観念を外してしまったんです。

――そんな考え方やチャレンジが続いていますよね?

湯山:
50、60歳になると、自分で自分にブレーキをかけてしまい、「リスクのある未来」よりも「不幸に甘んじる現在」を選んでしまうんです。だから愚痴ばかりになってしまいます。周りに迷惑をかけないように、年相応に、という考え方が良くないと思いますね。私は音楽もすしもちゃんと学んだわけではないけれど、人生の糧として生きているし、楽しい日々を送っていますよ。周りに迷惑をかけちゃうかもしれないけど、いろいろなことに手を伸ばしてやってみることも悪くないです。少し目をつぶってもらって、ちょっとの迷惑は許される世の中でありたいと思っています。

――自分を突き進め! 楽しいを突き進め! ですね。これからはどのような活動を?

湯山:
2023年は、東京ビエンナーレで、歌謡曲のコンサートを32か所でやったんです。30代のような働きをしちゃったんです。そこで精力を使い果たしちゃったんです。これからはタップダンスですね(笑)。


【放送】
2023/12/20 「ごごカフェ」

午後2時台を聴く
23/12/27まで

午後2時台を聴く
23/12/27まで