NHKドラマ10『大奥Season2』と『ごごカフェ』のコラボレーション企画の最終回! 脚本担当の森下佳子(もりした・よしこ)さんと、京ことば指導と絵島役の三谷昌登(みたに・まさと)さんをお迎えしました。(聞き手:吾妻謙パーソナリティー)
【出演者】
森下佳子さん
1971年、大阪府出身。2000年に脚本家デビュー。NHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』で第32回 向田邦子賞/第22回橋田賞を受賞。代表作は『世界の中心で、愛をさけぶ』『JIN-仁-』、NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』など。『大奥』は、Season1から脚本を担当。
三谷昌登さん
1977年、京都府出身。2010年、ラジオドラマの脚本で民放連優秀作品賞を受賞。俳優として、連続テレビ小説『ブギウギ』『舞い上がれ』『カムカムエブリバディ』など8本に出演。2015年の『スカーレット』では出演のほか、特別編の脚本も担当。2018年の大河ドラマ『西郷どん』でも出演と脚本協力。俳優、脚本、京ことば指導と多彩な分野で活躍中。
――『大奥』の脚本を依頼されたときはどんな感じでしたか?
森下:
もともと原作のファンだったので、ギフトのようなお仕事でした。プロデューサーと雑談していたときに、ドラマ10で何をやろうかな? という話になって、『大奥』なんていいんじゃない! って言ったんです。
――願ったりかなったりですね。
森下:
本当にそうなるとは思っていませんでした。ありがたいと同時にすごく緊張しました。私は私の『大奥』愛に応えなくちゃと思って書きました。
――原作は男女逆転ですが史実は忠実に流れていくわけで、マンガはセリフが多いですよね。どんなことを意識されたのですか?
森下:
歴史ものではありながらSFであり、なにより大奥であることが一番大事なんだと、もちろんちゃんとリンクすることは大事なんだけど、将軍たちの人間模様はきちんと死守しようと思いました。
三谷:
この作品に関しては、“逆転です!”と説明しなきゃいけないと思います。これを史実だと思っちゃうほどよくできているんです。なにより、15代将軍をそらで言えるようになるドラマなんですよ。役者さんのビジュアルで明確に覚えちゃうと思いますよ。
森下:
たしかに!
――役者さんも忠実に演じていましたよね。
森下:
役者のみなさんが役を愛してくださって、その結果、爪痕を残しまくったんじゃないかなと思います。それぞれの花を咲かせまくったという印象です。正直圧倒されていました。
――役者さんたちも演じやすい台本だったとおっしゃっていました。
森下:
時代劇ですが、わからなければ現代語で書いちゃうんです。それが伝わりやすいのかもしれません。書いちゃってから時代考証の先生にお任せしちゃうんです。
三谷:
昔の時代劇で「サボってんじゃねえよ!」っていうのを見たとき、これはアウトだなと思いましたね(笑)。
――森下さんは声を出しながら書いてるの?
三谷:
それ気になる!
森下:
掛け合いとかお笑いのシーンは「こいつアホや!」とか言いながら書きます。泣くシーンは、泣きながら書いています。
三谷:
森下さんはベッドで書いているんですよね。
――えっ、どういうことですか?
森下:
リュージュのようなスタイルで書いてます。全部そうやって書いているわけじゃなく、イスとリュージュを交代で書いています。
――京ことばが難しかったと役者のみなさんが言っていましたよ。
三谷:
和宮役の岸井ゆきのさんなんか痛々しいほど練習してましたよ。
――『大奥』は原作がありましたが、原作があるものとオリジナルでは心構えが違いますか?
森下:
どちらも楽しいのですが、原作があるものはゆるぎない道しるべといいますか、灯台が立っているような目標がありますが、オリジナルは自分で灯台を建てなきゃいけないので、無限の順列組み合わせがあるのでしんどいですね。
――同じ脚本家として三谷さんはどうですか?
三谷:
僕の場合、これってオレが書いたの? という状態があるんですよ。努力をしてたのかわからないことがあるんですよ。
森下:
それってすごいじゃないですか!
三谷:
でも僕はベッドで書いてないですよ。こたつです(笑)。
――三谷さんにとって『大奥』はどんなドラマでした?
三谷:
和宮役の岸井ゆきのさんと共に歩み、岸井さんの努力と魅力に引き込まれた作品でした。Season1では福士蒼汰さんに引き込まれ、全く違うタイプの2人の名優の才能を目の当たりにしたドラマでした。
――森下さんは?
森下:
キャストのみなさんに恵まれた、まさにギフトのような作品でした。
【放送】
2023/12/15 「ごごカフェ」