焼きいもが恋しい季節になってきました。今回は、焼きいもアンバサダーの天谷窓大(あまや・そうた)さんに、全国のサツマイモ、おいしい焼きいもの作り方などを紹介していただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
天谷窓大さん(焼きいもアンバサダー)
<プロフィール>
1983年、東京都出身。進化した焼きいもに感動し、サツマイモの研究を開始。全国の焼きいも専門店をまわり、焼きいものイベントに携わる。ライター、放送作家、サウナ熱波師などの肩書きも持つ。
――今は“焼きいもブーム”なんですか?
天谷:
業界では“第4次焼きいもブーム”といわれています。このブームは、2000年初頭からとされていますが、この20年の間に少しずつ変化があって今に至っているという感じですね。
――ブームのきっかけは?
天谷:
「紅はるか」や「安納いも」など、“ねっとり系”の焼きいもが注目されたからだと思います。そして、この2品種に続けと“ねっとり系”を作り出す品種改良が盛んになりました。
――ちなみに第1次ブームはいつだったのですか?
天谷:
およそ200年前の江戸時代後期です。砂糖が貴重品で、甘くて安い焼きいもは、老若男女を問わず大人気でした。現在の価値でいうと売上げは1シーズンで650万円くらい、江戸全体では6億円くらいの市場規模だったそうです。
――第2次ブームは?
天谷:
明治維新以降、東京の人口が急増し、値段が安い焼きいもの需要も増えました。専門店が登場したのもこの頃なんです。
――第3次ブームは?
天谷:
戦後、サツマイモが国の統制品から解除されて、リヤカーでサツマイモを焼きながら売るスタイルが始まります。1970年頃には、東京だけで1,000人以上の石焼きいも売りがいたといわれています。
――全国にはいろいろなサツマイモがありますが、天谷さんの印象に残っているサツマイモは?
天谷:
静岡県浜松市では、特産品のうなぎの頭や骨などを肥料にしてサツマイモが育てられています。さらっとした甘さが印象的でした。また、宮城県仙台市の海岸地域で作るサツマイモは、震災で流されてしまった砂浜を畑にして育てられています。ほのかに塩味を感じる味で、仙台金時として流通しています。
――寒い地域でも育てられるのですか?
天谷:
福島や仙台くらいがサツマイモの北限だといわれてきましたが、北海道でも作れるようになりました。由仁町と栗山町で作られているサツマイモは、本州より早めに苗を植えて、土の中で長い時間をかけて育てます。甘さと同時にうま味を感じるサツマイモです。