大河ドラマ『どうする家康』の音楽を担当されている稲本響(いなもと・ひびき)さんに、音楽制作のエピソード&トイピアノの生演奏をご披露していただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
稲本響さん(ピアニスト・作曲家)
<プロフィール>
1977年、大阪府出身。3歳でピアノを始め、5歳でステージデビュー。18歳でドイツへ留学。帰国後は、ピアニストとしてだけでなく、映画・ドラマ・舞台・CM等の作曲・音楽監督も務める。
――『どうする家康』も残り2回ですね。今年1年は忙しかったのでは?
稲本:
おととしくらいから構想があって、今年はずっとレコーディングしていました。
――映画やドラマの音楽を多く担当されていますが、作曲するときに大切にされていることは?
稲本:
劇伴を作るときは、カメラさんや照明さん、美術さんたちと一緒に作品の一翼を担うことができるので、朝早く、仕込みから現場を見学させていただき、撤収して帰るころには何曲かできています。
――現場で曲が思い浮かんでも、家に帰ったら忘れたりしませんか?
稲本:
忘れてしまう曲はたいしたことないんですよ。自分がおぼえている曲じゃないと、見ている人たちがおぼえてくれるはずがないんです。
――『どうする家康』はどんなイメージで作ったのですか?
稲本:
大河ドラマは1年間放送があるので、脚本、役者、音楽家たちがみんな並走しているんです。だから、そこから刺激をもらうことができるので、みなさんの意見を聞きながら曲を作りました。
――メインテーマ「暁の空」のクラップ(拍手)が印象的ですね。
稲本:
民衆も平和な時代を待っていたと思うので、それを実現した家康を迎える気持ちを拍手で表現しました。
稲本:
家康が年を重ねるともに、1989年製、1932年製、1912年製、1887年製と、年代の古いピアノの音になっていくんです。平和な江戸という都市をつくった家康が、未来の日本に託した思いを、それぞれ年を重ねたピアノの音色で表現しました。
- ※ 音色の違いは「聴き逃し」でご確認ください。
――お父様と弟さんはクラリネット奏者ですが、稲本さんはピアノを選んだのですね。
稲本:
3歳からピアノを初めて、5歳のときにはステージに上がりました。
――弟さんのお名前が渡(わたる)さんで、兄弟で「響き渡る」なのよね。
稲本:
兄弟で音楽家になれてよかったです。
――『どうする家康』もあと2回ですね。
稲本:
先日、NHKホールで『どうする家康』の感謝祭をやったのですが、演奏しながら皆さんとの絆を強く感じました。本当に幸せでした。
――また、新しい稲本響を楽しみにしています。ありがとうございました。
- ※ 稲本さんのトイピアノの演奏は「聴き逃し」で1週間お楽しみいただけます。(ギター:眞鍋香我さん)
【放送】
2023/12/04 「ごごカフェ」