午後2時台を聴く
23/11/15まで

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世界各地の不思議な建築、多様な文化、風習、自然の景色などを20年近く撮影している佐藤健寿(さとう・けんじ)さんに、世界の不思議な場所を案内していただきました。(聞き手:武内陶子 パーソナリティー)

【出演者】
佐藤健寿さん(フォトグラファー)


<プロフィール>
1978年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、アメリカに留学し写真を学ぶ。留学中にUFO伝説で知られる「エリア51」を訪れたことをきっかけに、世界各地の“奇妙なもの”を撮り始め、これまで120か国以上を訪れている。


――先日、群馬県の美術館で行われた写真展は、その美術館で過去最高の入場者数だったそうですね。

佐藤:
私は、開催地域の不思議なものも加えて展示するようにしています。意外と地域にはおもしろい祭りや風習があるんです。

――佐藤さんの奇妙な旅は、アメリカから始まったんですね。

佐藤:
サンフランシスコで写真の勉強をしていたとき、アメリカのどこか1つの州を選んで撮影するという課題が出たんです。そこで、子どもころから興味を持っていたネバダ州のアメリカ空軍の施設「エリア51」に行くことにしたんです。

――UFOで有名な場所ですよね?

佐藤:
UFOやエイリアンの研究を行っているとうわさがあった場所です。エリア51の周辺には、西部開拓時代にゴールドラッシュで栄えた後に捨てられた廃墟もたくさんあるので、おもしろいものが撮れると思ったんです。

――不思議な場所やUFOには昔から興味があったのですね。

佐藤:
私が子どものころは“オカルトブーム”があって、テレビでも心霊特集やUFO特集が放送されていました。ノストラダムスの大予言など、不可思議なものがあふれていました。大人になるとそういう興味は冷めてしまうけど、奇妙な旅を続けてきたことで当時の気持ちを維持しているのでしょうね。

――1年でどのくらい旅をしているのですか?

佐藤:
コロナ前は、1年のうちトータルで3~4か月は海外でしたね。

――印象的だった場所はどこですか?

佐藤:
南太平洋・バヌアツのタンナ島には「カーゴカルト」という信仰があります。天国から、船や飛行機で文明の利器(物資:カーゴ)が自分達のもとにもたらされるという物質主義的な信仰なんです。この島では、アメリカ軍の服を着て行進するアメリカをリスペクトした祭りもあるんですよ。

――そういうお祭りはどうやって探しているのですか?

佐藤:
とにかく広くアンテナを張っています。ある国のことを調べていると、ふと気になるものが見えてくるんです。バヌアツについては行くまでに8年もかかりましたけど。

――特にどんな場所に魅力を感じますか?

佐藤:
見た目のインパクトも大事ですが、奇妙なものが生まれた歴史や背景に注目します。奇妙な場所って、“ねじれた歴史”のようなものが存在するので、そこがおもしろいですね。

――国内にも奇妙な場所はありますか?

佐藤:
長崎県の軍艦島(端島)ですね。島で、町で、廃墟で、しかも世界遺産でもあるところって他にないと思いますね。軍艦島って、悲しい思い出が詰まった島だと思われがちですが、炭鉱が閉山するまで、ものすごく景気が良くて、裕福な暮らしをしていたんです。閉山後、島を去るときに住民が物を捨てていったため、それが悲しい光景を作り出しているんです。世界の廃墟をいっぱい見てきましたが、私は軍艦島が一番の廃墟だと思います。

――海外で比較的行きやすい場所は?

佐藤:
台湾の彩虹眷村(さいこうけんそん)ですね。ここは、再開発で村が取り壊されることが決まったときに、最後まで住んでいたおじいさんが「壊されるなら、好き勝手に色を塗ってやろう!」と村中をサイケデリックな色で塗り始めたんです。それが話題になってたくさんの人が集まるようになって、最終的には取り壊しが中止になったんです。ここはレインボービレッジとも呼ばれ、台湾屈指の観光名所になっています。1週間で2万人くらいが訪れているそうです。

――撮影するときに心掛けていることはありますか?

佐藤:
ニュートラルな立場で見ること、撮ることを意識しています。

――奇妙な世界を追い求めて見えてきたことは?

佐藤:
私たちから見ると不思議なことでも、その土地の人たちには奇妙なことではなく、自然なことなんです。そう考えると、実は奇妙なものは存在しないんじゃないか? という気持ちもあって、それを確認するために旅を続けているのかもしれませんね。

――これからのご予定は?

佐藤:
4、5日後に、コーカサスの方に行ってきます。


【放送】
2023/11/08 「ごごカフェ」

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