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日本各地にはいろいろな銅像があります。偉業を成し遂げた人をたたえる銅像、芸術的銅像、マンガやアニメのキャラクターの銅像、その土地の出身者だったり、歴史的な関わりがあったり、何かしらの関係があるはずなのに、地元の人にもあまり知られていないような銅像もあります。銅像案内人の遠藤寛之さんに全国の銅像を紹介していただきました。(聞き手:武内陶子 パーソナリティー)

【出演者】
遠藤寛之さん(銅像案内人)


<プロフィール>
1974年生まれ。20代後半に、関東各地に10体ほどあった太田道灌の銅像をすべて巡ったことをきっかけに、銅像めぐりを開始。およそ20年間、銅像を追い続けている。また、「日本の銅像探偵団」というサイトを立ち上げ、仲間と協力しながら全国各地の銅像情報を収集している。


――銅像といえば、渋谷の駅前には「ハチ公」がありますね。

遠藤:
私は、銅像の中でも圧倒的な知名度を持っているものを、日本5大銅像(DOUZOファイブ)と名付けています。

――5つの銅像とは?

遠藤:
上野の西郷隆盛、桂浜の坂本龍馬、仙台の伊達政宗、渋谷のハチ公、札幌のクラーク博士です。

――ハチ公は、DOUZOファイブなんですね。

遠藤:
実はハチ公の銅像は、渋谷駅前のもの以外にも全国に4体あるんです。まず、秋田県大館市の大館駅前と秋田犬会館前にあります。ハチはもともと大館市で生まれて、生後2か月くらいで上野英三郎博士に引き取られたんです。

――大館駅前のものは、渋谷のハチ公よりも大きいんですね。

遠藤:
晩年のハチは負傷して左耳が垂れていますが、大館駅前のハチは耳がピンと立っている若い頃のハチ公なんです。

――あと2つのハチ公はどこにいるのですか?

遠藤:
東京大学農学部と三重県津市にあります。

――こちらは上野博士とツーショットですね。

遠藤:
上野博士が東大教授だったことと、博士の出身地が津市だったことで作られました。

――銅像は今も増えているのですか?

遠藤:
正確な数は把握できていませんが、私のサイトには5000体以上、掲載しています。

――どんな銅像が多いのですか?

遠藤:
圧倒的に多いのが、親鸞、二宮金次郎、空海、日蓮の4人ですね。全国にそれぞれ1000体以上はあるだろうと推定されていて、中でも親鸞は、2000体は確認されています。

――最近の傾向などはあるのかしら?

遠藤:
特に話題になるのは、マンガやアニメのキャラクターの銅像です。地域活性化などを狙って、作者の出身地やその物語のゆかりの地などに作られています。キャラクター銅像が増えた理由として、親しみやすく、知名度もあって集客効果がある。そして、政治的にも中立なので扱いやすいことが挙げられます。

――最初のアニメ銅像は何だったんですか?

遠藤:
1983年に作られた埼玉県飯能市の鉄腕アトムです。青年会議所の10周年を記念して、当時の副理事長が虫プロに勤めていたことがあり、その縁で手塚先生にお願いしたらOKが出たそうです。除幕式には手塚先生本人も出席されました。いまでもアトムの誕生日の4月7日や手塚先生の命日にはファンが集まるそうです。

――アニメといえば、鳥取県境港市の水木しげるロードも有名ですよね?

遠藤:
1993年から継続して銅像が作られているのが「水木しげるロード」です。最初は鬼太郎やねずみ男など、20体くらいだけでしたが、年々増設されて今では177体が並んでいます。当初は店の前に妖怪の像を置くなんて気持ちが悪いという反対意見や、盗難や破壊に見舞われましたが、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』が放送された2010年には、年間で370万人以上の人が訪れ、この30年間でおよそ4290万人が訪れたそうです。

過疎化により閉店を迫られていた商店が、今は観光客向けのおみやげ屋さんやカフェに生まれ変わっています。町おこしとしての銅像成功例の第1号だと思います。

――基本的には作者の出身地などに作られるんですね?

遠藤:
2016年の熊本地震の復興プロジェクトとして、作者が熊本出身の『ONE PIECE』の銅像が県内各地に建てられました。また、2020年には、大分県日田市のダムに『進撃の巨人』のキャラクターの銅像が建てられました。

遠藤:
特に作者と関係のないものもあって、福井県敦賀市には『銀河鉄道999』と『宇宙戦艦ヤマト』のキャラクターの銅像が27体もあります。作者の松本零士先生は、福岡県久留米市出出身なので、敦賀市とは特に関係はないのですが、1999年に敦賀港開港100周年を記念して、古くから港と鉄道で栄えた敦賀市のイメージである「港」「駅」と、敦賀市の将来(未来)を重ね合わせて設置されたそうです。

――アニメのキャラクター以外にも、新しい銅像の傾向などはありますか?

遠藤:
最近はクラウドファンディングで銅像が作られるというケースも増えています。例えば、2019年は今川義元が生まれて500年ということで、静岡市のJR静岡駅北口の竹千代(徳川家康)像の隣に、今川義元像を設置したいというプロジェクトが立ち上がりました。当初300万円を目標としていましたが、500万円を超える資金が集まり、2020年に建てられました。

――銅像の世界もクラウドファンディングなんですね。

遠藤:
2021年に完成した志村けんさんの銅像は、日本だけでなく世界各地から3200万円を超える支援が集まりました。台座には「多くの笑いと感動をありがとう」と刻まれています。

――銅像になる方は、その地域で愛されているんですね。

遠藤:
新潟県胎内市の板額御前(はんがくごぜん)の銅像は、“美人すぎる銅像” としても有名です。板額御前は平家方の女武者で弓矢の名手で源氏から恐れられた武将です。生誕地とされている胎内市では、板額御前の祭りも行われています。

銅像はアート作品です。その人物へのリスペクトを感じながら鑑賞してください。


【放送】
2023/11/07 「ごごカフェ」

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