骨粗しょう症の専門家が、骨の健康をアドバイス

23/07/20まで

ごごカフェ

放送日:2023/07/13

#医療・健康#カラダのハナシ

午後2時台を聴く
23/07/20まで

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人生100年時代。自分の足で歩き、健康寿命を延ばすことは、多くの人の願いです。そのために必要なのは骨と筋肉の健康です。一生元気で動くための骨活(ほねかつ)について、東京大学医学部附属病院・骨粗鬆症センター長の齋藤琢(さいとう・たく)さんに教えていただきました。(聞き手:武内陶子 パーソナリティー)

【出演者】
齋藤琢さん(医師)


<プロフィール>
1974年、京都府生まれ。東京大学医学部卒業。現在、東京大学大学院医学系研究科整形外科准教授。2018年、東大病院に骨粗鬆症センターを設立し、高度で専門的な診療をおこなっている。


――どのような思いで骨粗鬆症センターを設立されたのですか?

齋藤:
骨粗しょう症は、整形外科、産婦人科、内科など、いろいろな診療科がバラバラに見てきましたが、診療科の壁を取り払ってやってみようと考えたんです。そこで、整形外科、腎臓・内分泌内科、女性診療科・産科、老年病科、アレルギー・リウマチ内科、リハビリテーション科の7つの科に協力してもらってセンターを設立しました。

骨粗しょう症とは?

齋藤:
骨の量が減ってもろくなる病気で、骨折の原因になります。昔は年のせいだといわれていましたが、閉経、運動不足、食事の偏りなどでも起こります。遺伝が原因で、若いときから骨粗しょう症の人もいますし、体つきがしっかりしていても骨がもろい人もいます。女性の割合が多いのですが、80代以上の人は男性でも増えてきます。

――骨が弱くなる原因は?

齋藤:
現代人は、骨を作るのに大事なビタミンDが不足していて、カルシウムの吸収ができなくなるんです。カルシウムをとることは大事ですが、ビタミンDが欠乏したままでは意味がないといわれています。

――運動不足も骨粗しょう症の原因になるんですね。

齋藤:
骨は振動を与えることによって増えるので、運動不足は骨を減らす原因になります。寝たきりの方や宇宙飛行士の方が骨粗しょう症になるのは、骨に刺激がないためなんです。

――骨折が寿命に関わってくることもありますか?

齋藤:
ある年齢以上では、背骨や足のつけねの骨折は、10年生きられるはずが、5年になるなど、そのあとの寿命が短くなるという研究データが出ています。死に直結しなくても、体のいろいろな機能が、骨折をきっかけに落ちていく可能性があります。

――筋力が落ちることも骨折の原因につながりますか?

齋藤:
例えば、程度にもよりますが、大腿骨を骨折すると完治するまでの間に、筋力・体力が落ちて、次の骨折につながることもあります。

――何歳くらいで検査を受けたらいいですか?

齋藤:
先生によっても考え方が違うので一概には言えませんが、70歳以上の女性、男性も80歳を超えたら一度検査に行ってください。女性の場合、体質によって閉経後に急激に骨密度が減る人がいます。今後の人生のために、40代半ばから後半で、病院で早めに正確な骨密度を測っておくとよいでしょう。

骨のためにできること

――骨のために、ふだんから気をつけることは?

齋藤:
まず、ビタミンDの生成を助けるために、程よく日光を浴びましょう。痩せていくと骨が減っていくので、無理なダイエットはやめましょう。皮下脂肪の細胞から出るホルモンは、骨を作るのに大事なんです。ちょっとぽっちゃりの方が骨にはいいのです。また、食事制限がない方は、ほどよい油も含め、バランスよく食べてください。たんぱく質不足が筋力低下を招くので、肉や魚もちゃんと食べてください。

――骨を振動させるオススメの運動は?

齋藤:
とにかくウォーキングをオススメしています。理想は1日1万歩ですが、ひざに負担のない程度で、1日5分、2~3000歩でも大丈夫です。雨の日や、ちょっとひざが痛いというときは「立ったままのかかと落とし」をやってください。ふつうに立って、かかとを上げ、痛みがない範囲で、そのままストンと落として刺激を与えてください。生活に密着している足の骨に刺激を与えることはとても大事なことですよ。

――食事の面ではいかがでしょうか?

齋藤:
ビタミンDはキノコ類や鮭(さけ)などに含まれていますが、毎日鮭をというのも大変ですよね。食事の中で摂取するのが難しいときはサプリメントで補いましょう。

――最後にリスナーのみなさんにメッセージをお願いします。

齋藤:
骨の健康を維持するのは、前向きな気持ちで、やりたいことを長く続けるためです。生きがいや目標を大切にして、楽しく暮らしてください。


【放送】
2023/07/13 「ごごカフェ」

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