あま~い、あんこが食べた~い!

23/03/07まで

ごごカフェ

放送日:2023/02/28

#ローカル#たべもの

午後2時台を聴く
23/03/07まで

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23/03/07まで

大学講師で、元・和菓子職人の芝崎本実さんに、日本各地の個性豊かなあんこのおやつを紹介していただきました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)

【出演者】
芝崎本実さん(大学講師)


<プロフィール>
1977年、埼玉県出身。製菓学校を卒業後、和菓子職人として就職し、商品開発業務にも携わるかたわら、和菓子の講習会や食育イベントを開催。その後、女子栄養大学大学院を修了。現在、十文字学園女子大学食物栄養学科の専任講師として管理栄養士を育成しながら和菓子の研究を行っている。


――最近、あんこのヘルシーさが注目されていますね。

芝崎: 特に注目されているのが、小豆に含まれるレジスタントスターチという成分です。これは消化されにくい性質をもったデンプンの一種で、血糖値の急激な上昇を抑えたり、腸内環境を改善したり、便秘を解消してくれると考えられているんです。さらに、小豆にはポリフェノールも豊富に含まれていて、血圧を正常値にしてくれる効果もあると考えられているんです。

――あんこスイーツというと、ちょっと地味なイメージがありましたが、最近は華やかなスイーツも増えているそうですね。

芝崎: 例えば、近年ブームと言われたのが「おはぎ」です。インターネットで「ビジュアルおはぎ」「進化系おはぎ」で検索してもらうとかわいい写真がたくさん出てきますよ。

ご当地あんこスイーツ

  • 1)口取り・・・北海道&青森

芝崎: 「口取り菓子」とも呼ばれています。これは、上生菓子の縁起物バージョンで、鯛(たい)、えび、松竹梅、鶴亀、宝船、十二支などのカタチをしています。多くは練り切りで、その中に小豆のこしあんが詰まっています。サイズもさまざまで、詰め合わせて売られることも多いです。北海道と、青森の一部では、和菓子屋さんだけでなくスーパーやコンビニで、年末から正月あたりまで販売されています。
  • 2)いがまんじゅう・・・埼玉県
芝崎: 埼玉県北東部に古くから伝わるまんじゅうです。あんこの入ったまんじゅうに赤飯をまぶして蒸しあげた様子が「栗のいが」のようだということで名づけられたそうです。
  • 3)水ようかん・・・福井県
芝崎: 福井の水ようかんは、平らなものを小さく切り分けていただきます。一般の水ようかんよりも小豆や砂糖の濃度が低く、あっさりしています。冬は自宅に常備している家が多く、こたつでみかんを食べるような感覚でいただくそうです。
  • 4)はっさく大福・・・広島県・因島
芝崎: 因島名物のはっさくを、白あんとお餅で包んでいます。はっさくは、いちごや桃よりも水分が少なく、独特のほろ苦さと上品な酸味が、白あんと対比効果を生み出し、相性がよいと感じました。
  • 5)くじらようかん・・・宮崎県

芝崎: 米粉の生地の上に、こしあんを二層にして蒸してつくります。外側が黒く内側が白いカマボコ状のようかんを切り分けていただきます。

――どうしてくじらなのかしら?

芝崎: 江戸時代、佐土原(さどわら)藩主の子どもがくじらのように大きく、健やかに育つようにという願いを込めてつくられたといわれています。日持ちがしないので、あまりお土産に出回っていないので「和菓子の刺身」ともいわれています。
  • 6)のまんじゅう・・・沖縄県

芝崎: 白い皮に食紅で「の」の字が書かれています。「の」は熨斗(のし)を意味していて、お祝いの席で食べられることが多いそうです。あんこを小麦粉の生地で包み、月桃(げっとう)の葉を敷いて蒸してつくります。

あんこもいろいろ

芝崎: 東日本は「こしあん」、西日本は「つぶあん」が好きな人が多いという説があります。

――それはどうしてなのかしら?

芝崎: 兵庫県産の小豆は皮がかたいので、西日本では「つぶあん」。北海道産の小豆は皮がやわらかいから東日本では「こしあん」が親しまれてきたともいわれています。しかし、現在は多くの小豆が北海道産で、品種も混在しているので、私は一概にそうは言えないと思っています。

――芝崎さんはどちらが好きですか?

芝崎: あんまんだったらこしあんですね。

――「ずんだあん」や「うぐいすあん」など、色の違うあんこもありますよね?

芝崎: 「ずんだあん」は、枝豆を材料にした宮城県名物のあんこです。岩手県、山形県、福島県の一部でも作られています。「うぐいすあん」は、青インゲン豆(グリーンピース)でつくったあんこです。また「白あん」は、皮が白い色の豆を材料に作ったあんこですが、この「白あん」に他の素材を混ぜたものを「加工あん」と呼んでいます。

驚き! ご当地あんこメニュー

  • 7)塩あんびん・・・埼玉県

芝崎: 埼玉県の久喜市や羽生市などで親しまれています。砂糖を使わず、塩で味をつけたあんこをお餅で包みます。昔から米農家が多いエリアで、献上できない「くず米」を使ってつくったといわれています。いまでも地元の人に親しまれていて、そのまま食べる人もいれば、砂糖やハチミツ、しょうゆにつけて食べる人、おみそ汁に入れて食べる人もいます。
  • 8)けいらん・・・青森県・岩手県・秋田県
芝崎: 昆布とシイタケでだしをとったすまし汁に、こしあん入りのおだんごを入れて三つ葉を散らしていただきます。このおだんごをニワトリの卵に見立てたことから「けいらん」という名前になったそうです。室町時代の精進料理がもとになっているそうですが、現代ではお祝いのときに出される郷土料理です。

あんこ最新トレンド

芝崎: ようかんの新時代が来ているように感じます。ゼリーのようにやわらかく、高齢の方でも食べやすいようかん、飲めるようかん、アスリートの栄養補給用に商品開発されたようかんなど、新しいタイプのようかんが続々登場しています。薄く切って個包装になっているようかんもあるんですよ。

――今後、あんこに関してどんな活動をしていきたいですか?

芝崎: あんこは日本人のソウルフードです。これからも、愛してやまないあんこの魅了を伝えて、みなさんの生活を豊かにしていきたいです。

――ちなみに私は「あんバター」に夢中です(笑)。


【放送】
2023/02/28 「ごごカフェ」

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