ふだんはあまり気にかけていない「足」にとって、良いこと、気をつけたいこと、不具合のサインなどを、医師の久道勝也さんにうかがいました。足をケアして、健康に過ごしましょう!(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
久道勝也さん(医師)
<プロフィール>
1964年 静岡県生まれ。1993 年、獨協医科大学卒業後、順天堂大学皮膚科入局。2007 年、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の客員助教授を経て、2016 年、足の総合病院「下北沢病院」を設立。足に関する著書多数。
――アジアで唯一の足の総合病院を設立されたのは?
久道: | 欧米には足と歩行を専門領域とする足病科(あしびょうか)という分野があって、歯科医と同じように身近な存在です。超高齢化社会を迎える日本に足病科がないのは問題だと思い、足と歩行の専門病院を作り、患者さんを診るだけではなく、医療者を育て、社会に足の医療の知恵を届けたかったんです。 |
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――ご専門は皮膚科ですが、足とはどのような関係があるのですか?
久道: | 足と皮膚といえば「水虫」が分かりやすいかもしれません。水虫は夏のピーク時には2千万人、つまり日本人の5人に1人がかかります。たかが水虫と思うかもしれませんが、糖尿病患者の場合、水虫から細菌が入り二次感染します。急速に重症化して下肢切断までいくこともまれではありません。また、タコができる場所から、歩行の不調、へん平足、ハイアーチ、外反ぼしなどの骨変形のパターンが分かります。どんな歩き方をしているのかもタコをみればわかります。 |
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――足の健康は大切なんですね。
久道: | 人生100年時代といわれる超高齢化社会で、①歩けなくなる⇒②適切な排せつができなくなる⇒③食べられなくなる、という3つの階段を人は降りていきます。つまり歩行を維持できなくなるのが最初の階段なんです。重い体重を支え、毎日何千回も地面にたたきつけられ、蒸れたり、乾燥したりするなど、足は過酷な環境にあります。我々、医師の感覚では、足が元気でいられる年数は50年と考えています。なので足をケアして、自分で歩くことはものすごく大切なんです。 |
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――コロナ禍の影響で歩く機会が減った人も多いと思いますが。
久道: | 確かに減っていますね。日本の場合、後期高齢者より、50~75歳くらいの歩行量の減少が問題になっています。意識的に歩くことを習慣にして歩行量を増やしてください。1日歩く中で、20分間くらい早歩き(キビキビ歩き)の習慣をつけると効果的です。 |
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