記憶力アップで、もう忘れない!

23/02/08まで

ごごカフェ

放送日:2023/02/01

#スポーツ

14時台を聴く
23/02/08まで

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覚えていたはずなのに思い出せないことありませんか? 今回は、記憶術を競うメモリースポーツの選手で、指導もされている平田直也さんに「記憶術」について教えていただきました。(聞き手:柘植恵水パーソナリティー)

【出演者】
平田直也さん(メモリースポーツ選手・指導者)


<プロフィール>
1997年、東京都出身。中学高校時代はクイズに打ち込み、クイズ番組にも出演。大学入学前の春休みに、記憶力を競うメモリースポーツの世界に足を踏み入れ、トレーニング開始からわずか2年で日本一に。以来、国内外で開催される競技会の上位入賞者に名を連ねる。現在は、メモリースポーツの現役世界ランカーであり、選手を育成する塾で講師も務める。


――メモリースポーツとは?

平田: 文字通り、どれだけたくさん正確に記憶ができるかを競う競技です。イギリスが発祥で、世界40か国以上で大会が行われ、その競技人口は1000万人以上といわれています。

――記憶力を競うって、どのようなことをするのですか?

平田: 標準的な大会では10の種目で争います。それぞれの種目の成績を点数化して、合計点で順位を決めます。10種目を大まかに分けると「数字を覚える」「単語を覚える」「写真やイラストの順番を覚える」「トランプ52枚の順番を覚える」「顔写真と名前を一致させる」などです。

――どのように出題されるのですか?

平田: 数字の場合、スピードナンバーという種目があります。これは5分間で、ランダムに並んだ数字をできるだけ多く覚えたあと、15分間で、どれだけ正しく答えるかを競います。0から9までの数字が、1行あたり40桁まで並んでいます。私の場合、5分で250桁くらいを覚えています。また、単語記憶という種目では、同じように5分でどのくらいの単語を覚えられるかを競います。たとえば「花」「金魚」「洗濯機」とランダムに書かれた単語を覚えていきます。これはそれぞれの国の言葉で出題されるのですが、世界記録は145語なんです。

――5分間で145ですか!

平田: こうした大会は対面で行われていましたが、新型コロナ以降、オンラインでの開催が多くなっています。この流れを受け、eスポーツのひとつとして「メモリーリーグ」が盛り上がっています。

――この競技にハマったきっかけは?

平田: クイズのために効率よくたくさんの物事を覚えたかったんです。ある日、メモリースポーツの元日本チャンピオンが行う競技の練習会に参加したんです。そこで、数字をひたすら覚えるスピードナンバーに挑戦したところ、5分で覚えられたのは20桁だけでした。しかし、トレーニングをしていくと44桁まで伸び、さらに2か月で80桁まで記憶できるようになったんです。今は250桁くらいまで覚えられるようになりました。

――伸びましたね!

平田: 記憶力とひとことで言っても、伸ばせるものと伸ばせないものがあります。たとえば、物忘れや度忘れを防ぐのは、記憶力だけでなく注意力なども関わるので伸ばすことはできません。しかし、「覚えよう!」という意志で記憶することは、年齢に関係なくトレーニングをすれば確実に伸びていきます。

記憶のトレーニング(ストーリー法)

――どのようなトレーニングをしたらいいのですか?

平田: 単語をストーリー立てて覚えていく方法があります。たとえば、ボール、教科書、くぎ、氷、ネックレスという5つの脈絡ない単語を覚える場合、次のようにしてみます。

ボールを投げたら、床に積まれている教科書にぶつかった。教科書を固定するためにくぎを打った。くぎを打っているときに、指を打ってしまい、慌ててで冷やした。包帯がないので、代わりにネックレスを巻いた。

――でも、包帯がないので、ネックレスを巻いたって、、、ありえないですよね。

平田: ちょっと荒唐無稽な、大げさで、ありえないイメージで作ることも大切です。ありふれた日常風景にしすぎると忘れてしまいます。文章ではなく情景を思い浮かべることがポイントです。短い動画を頭の中に作るようなイメージを持ってください。うまく再生できればOKです。
  • 平田さんから5つの単語の問題を出題してもらいました。「聴き逃し」で、チャレンジしてみて下さい。

記憶のトレーニング(場所法)

平田: ストーリー法の上級編になるのが「場所法」という記憶術です。これは覚えるべきものを自分のなじみある“場所”に置いておいていくという方法です。人間の脳には、覚える必要のないものを意外と覚えていたりするという特性があります。

――会議で右隣と左隣には誰が座っていたなんて覚えていたりしますよね(笑)

平田: この特性を利用するのが場所法です。まず用意するのは、自分になじみのある場所(家とか部屋)がいいでしょう。先ほどのように、ボール、教科書、くぎ、氷、ネックレスの5つの単語を覚える場合、家のなじみある場所にそれぞれを置いていきます。「玄関のドアにボール」「靴箱に教科書」「洗面所の蛇口にくぎ」「ラジオのスイッチに」「冷蔵庫のドアにネックレス。ストーリー法同様、ちょっと大げさなイメージで覚えるのが大切です。たとえば「巨大なボールがじゃまするように玄関のドアの前にあって、靴箱には落書きだらけの教科書、洗面所には蛇口をひねれないようにくぎが打ちつけられ、ラジオのスイッチはで冷え冷え、冷蔵庫のドアにはネックレスがぐるぐる巻き」という具合ですね。

記憶のトレーニング(変換術)

――暗証番号やスーツケースの番号など、単語ではなく数字を覚えたいときはどうしたらいいですか?

平田: 数字もイメージに変換しましょう。たとえば、数字の「ドーナツ」「煙突」「アヒル」「耳」といった具合です。2023年の4桁の数字を場所法で覚える場合、「玄関の前にアヒル()が鳴いていて、靴箱の中になぜかドーナツ()があって、洗面所の蛇口をアヒル()がひねろうとしていて、ラジオのスイッチが()の形をしていた」みたいに記憶します。最初のうちはイメージをするのが大変かもしれませんが、なれてくると短い時間で記憶をコントロールできるようになってきますよ。

記憶力の限界を更新するために

――ストーリー法、場所法、変換術を教えていただきましたが、これからやってみようと思う方にアドバイスをお願いします。

平田: まずはこの3つの方法をひたすら実践して、できなかった部分を磨いていくサイクルを大切にしてください。「記憶術」というと、すぐに勉強や仕事に活用したくなるものですが、使いこなせていないうちから、難しいことを覚えないようにしましょう。そして、覚えたことを忘れないためには反復練習してください。あとは、覚えるものを文字ではなく、絵などのイメージで覚えましょう。文字を読むときは、合わせて情景をイメージするトレーニングをするとよいでしょう。こうした基礎練習を繰り返すことで、年齢に関係なく記憶力の限界はどんどん更新されます。難しいと思い込まず、自信を持ってポジティブに取り組んでください。

――私もポジティブにがんばります! ありがとうございました。


【放送】
2023/02/01 「ごごカフェ」

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