デビュー50年を迎えた南佳孝さん。ポップスの魅力と作品への思いなどをうかがいました。(聞き手:武内陶子パーソナリティー)
【出演者】
南佳孝さん(シンガーソングライター)
<プロフィール>
1950年、東京都出身。1973年、松本隆プロデュースのアルバム「摩天楼のヒロイン」でデビュー。その後、「モンロー・ウォーク」(1979年)、「スローなブギにしてくれ(I want you)」(1981年)を発表。ジャズ、ボサノヴァ、ラテンなどジャンルを超えさまざまなミュージシャンと共演。楽曲提供、CMソング、ナレーションでも活躍中。
――もうすぐデビュー50年なんですね。おめでとうございます。
南: | 50年って昔の人の一生分ですね(笑)。 |
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――初めて南さんの曲を聴いたとき「なんておしゃれなんだ!」と感じました。それまでの音楽シーンとは違う種類の音楽でした。南さんの音楽の原体験はどういったものだったのですか?
南: | 兄や姉の影響もあってナット・キング・コールやハリー・ベラフォンテを聴いていました。それからビートルズにのめり込んで、仲間と「高校に入ったらバンドやろう!」ということになったんです。その後、キャロル・キングを聴いて、シンガーソングライターを意識しました。やっぱり自分たちで曲をつくって演奏することがすごいと思い、自分でも曲をつくらなきゃ!と思いましたね。 |
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――それが今につながっているのですね。
南: | 大学に入ったころはジャズギタリストになりたかったんです。 |
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――ギタリストからをシンガーになったのは?
南: | 軽音楽部の友人から「コンテストに曲を出すんですけど、南さんもどうですか?」と誘われて、ちょっとした譜面とカセットを出したら3位になっちゃったんです。そうしたら、その友人が松本隆さんを連れて現れたんですよ。当時の松本さんは、はっぴいえんど解散間近でした。 |
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――デビューのきっかけが松本隆さんだったんですよね?
南: | はっぴいえんどを解散して、メンバーたちは「新人をプロデュースするように」といわれていたそうなんです。松本さんに「デモテープの曲もいいけど新しい曲をつくろう!」ということになって、それでデビューにつながったんです。 |
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――まさに運命の出会いですね。
南: | お互い、生まれも育ちも東京で、映画、音楽、本などの好みが似ていたんです。あの頃は、フォークソングでも歌謡曲でもない「人がやっていないことをやろう!」という空気にあふれていました。最初のアルバムのレコーディングメンバーは、細野晴臣さん、鈴木茂さん、林立夫さん、松任谷正隆さんなどです。 |
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――1979年発表の「モンロー・ウォーク」、来生えつこさんの詞の世界も独特でしたよね。
南: | ジャズはもちろん、ファンクやボサノヴァ、レゲエといった要素を取り入れた音と相まって、新しい世界観を作っていけたのかもしれないですね。「モンロー・ウォーク」のアレンジは坂本龍一さんで、ドラムは高橋幸宏さんです。 |
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――今度、松本隆さんの歌詞を集めたアルバムを出されるそうですね。
南: | ニューヨークでレコーディングして、ジャケットの絵は僕が描いてるんですよ。きょうはそのアルバムから「SCOTCH AND RAIN」を演奏しますね。 |
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- ※ すてきな歌声は「聴き逃し」でどうぞ!
――演奏と歌声で体の奥底がうずきました。曲を聴いて汗をかいちゃったわ。
南: | 武内さんっておもしろいね(笑)。 |
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――歌うときに心がけていることはなんですか?
南: | 僕はあまり感情移入しない方なんですよ。デビュー当時からそうなんです。感情を入れ過ぎるとToo Muchになっちゃうんですよ。ボサノヴァの影響もあるのかな? |
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――声をキープするのは大変ですか?
南: | 何にもしてないんですよ。8年くらい前にポリープになったけど、手術をしなくてすみました。 |
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