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24/02/02まで
月イチ恒例の比呂美庵! およそ2か月ぶりとなりましたが、子どもの高校受験についてや、シングルファーザーの恋をめぐるお悩みに比呂美さんと源一郎さんがどう答えたのでしょうか!?
【出演者】
高橋:高橋源一郎さん(作家)
礒野:礒野佑子アナウンサー
伊藤:伊藤比呂美さん(詩人)
礒野:
源一郎さん、2コマ目です。
高橋:
はい。今日のセンセイは、詩人の、この方です。
伊藤:
伊藤比呂美です。
礒野:
よろしくお願いしま~す(拍手)。
高橋:
あけまして…、
伊藤・高橋:
おめでとうございま~す!
礒野:
今年もよろしくお願いいたします。
高橋:
去年の11月…以来?
伊藤:
そうです、そうです。
礒野:
11月のご出演が最後でした。
高橋:
長い年月が過ぎましたが…(笑)。
伊藤:
元日は、ほら、東京にいて…、
礒野:
そうですね。「新春!初夢スペシャル」にご出演予定でしたが、放送が休止になりまして、およそ2か月ぶりのご出演です。
山田洋次監督との対談 ~放送後記~
礒野:
まずメールをご紹介させていただきますね。
高橋:
はい、はい、はい。
礒野:
ラジオネーム「たんきゅん」さん。東京都にお住まいの60代の女性です。元日に放送予定だった山田洋次監督とのインタビューなんですけど、「対談」を1月21日、日曜日に放送しました。その感想メッセージです。
山田監督との対談、おもしろくて感動しました。聞き終わったあとに、なぜか涙が…。良質な映画を観たような感覚でした。山田監督はいつも真摯(しんし)に語られるイメージですが、そのいつもより更に更に深く語られたように思います。『家族はつらいよ4』、私もぜひ観たいです。
ということです。ありがとうございます!
高橋:
ありがとうございます。
えっと、山田監督ってね、番組の中でも言ってたと思うけど、谷川俊太郎さんと同い年なんだよ~。
伊藤:
そうなの、そうなの。すごいですね~!
高橋:
すごいですね~!
伊藤:
私、ラジオの聴き逃し配信が大好きなんですよ(笑)。
「あっ、やってる~!」とか言って、料理しながら聞いてたんですけど、母親が出てきて、なんか「け~っ!」とか思って…、
高橋:
はい(笑)。嫌なんだ…。
伊藤:
なんか、「男はみんなこうじゃん」みたいに思って、聞くのを止めちゃったのね。
高橋:
うん。
伊藤:
でも、昨日もう1回聞き直して、むっちゃよかった!
高橋:
よかったでしょう!!
伊藤:
よかった!
高橋:
どこがよかった~?
伊藤:
特に最初のところが、あのほら、なんだっけ、小津安二郎の影響…、とかって言うところがあって…、
高橋:
「家族映画」を作っている…。
伊藤:
そうそう、「家族映画」ね。で、先輩が、なんだっけ、え~と、「どんな世界を描くにしても、家族のドラマを置いとけ」って言ったっていうところとね…。
で、あれね、ホントにそうで、例えば、ギリシャ悲劇にしてもシェイクスピアにしても…、
高橋:
あ~、みんな家族だよね~。
伊藤:
家族じゃないですか! で、いろんなこと考えた、私。
「寅さん」って、寅さんが最初に出てくるところって、よく大学の授業で観せてたんですよ。
礒野:
へぇ~!
高橋:
えっ? 学校の!?
伊藤:
私、「道行き」がテーマだったから。
高橋:
あ~!!
あれ、「道行き」なの?
伊藤:
「道行き」なの!
あれ、ず~っと寅さんが出てくるところ…、で、なんか、子どものボールを投げ返してやって、みたいな。
高橋:
うん、うん。
伊藤:
で、お祭りのところに来るまでね、あそこが本当にすばらしい「道行き」だな~、と思ってて。
高橋:
あぁ~、それが導入部になっている。
伊藤:
導入部なのね。あそこよかったですね~。
そして、博が出てくるところがあるでしょ!
高橋:
はい、はい、はい(笑)。
伊藤:
あそこなんか、うちの父が印刷屋だったから…、まるで、板橋なのね。
まるで、なんかウチの父が若いときに、こうだったんだろうな~みたいな感じで…。
高橋:
あぁ~! 博って印刷工場だもんね。
伊藤:
だからなんか、すんごいそんなので、思い入れはあったんですけどね。いや~なんか、ホントあそこの場面がね。
「家族」ってずっと私も書いてきたでしょう。
高橋:
そうだよね、詩にね。テーマがね。
伊藤:
ずっと書いてきて、ところが今、誰もいなくなって、家族から離れてる自分っていうのがあって。「いや~、どうすんだ、この先?」って、
高橋:
変な感じ?
伊藤:
すんごい変な感じよ。
あの山田さんがね、92歳であんなことをおっしゃってて、すんごいしみじみ考えちゃった。
高橋:
そうだよね。奥様が亡くなられて、それで1人でずっと作って。だからお母さんに戻ってったのね。記憶の中の…、
伊藤:
そう、そう、そう、そう。
高橋:
家族の世界を再現してる感じだよね。でもさ、聞いてると、すごい魅力的なお母さんなんだよね~。
伊藤:
そう、そうね~。
礒野:
あの時代でね~。
高橋:
あの時代でね。
礒野:
自分を持って生きていらっしゃったということでしたよね~!
高橋:
そう、そう、そう。最後まで、誰にも頼ろうとせず、っていうところがすごい…。
伊藤:
うん。で、その話し方も、すごくよかったですね~!
礒野:
山田監督の、あの語り口~!
伊藤:
すごいよかった。私、今まで92歳の高齢者の男っていったら「谷川俊太郎さん命」だったんだけど…、
高橋・礒野:
あはははははは(笑)。
伊藤:
「あっ、ここにもいたな!」とか思ったの(笑)。
高橋:
あっははははっ(笑)。
礒野:
「山田さん命」にも、なりますね?
伊藤:
なります、なります(笑)。
ホントにいいから!
高橋:
いや~、僕、自分でインタビューして何回も言ってるけどさ、ホントに…。
僕は頑張って質問したけど、山田さんの回答が、うなるような回答ですね!
伊藤:
美しかった。
高橋:
物語になってるよね。
伊藤:
うん。なってる、なってる。
礒野:
情景が浮かぶんですよね。昔の映画撮影所の雰囲気とかもね~。
高橋:
そう、そう、そう。
伊藤:
それも日本語でね、語られてて。日本語も美しいの。
高橋:
日本語、美しいよね~。だからまぁ1本の映画を観てるような感じになってくるよね。やっぱりすごいよね。やっぱり生涯映画監督なんだな、っていうふうに思いました。
伊藤:
小津安二郎は面白くないって最初は言ってたのも、面白かったの。
高橋・礒野:
あっはははははは(笑)。
高橋:
最初は拒否してたんだよね!
伊藤:
そう、そう、そう!
高橋:
「なんだよ~、あんなの。」とか言ってたら、結局…、
伊藤:
だんだん分かってきた。
高橋:
だんだん分かってくるんだよね。そうなんですよ~。
(※対談の様子は、「読むらじる。」でお読みいただけます。)
【飛ぶ教室】「特別編 対談 山田洋次×高橋源一郎 前編」(2024/01/21放送)
【飛ぶ教室】「特別編 対談 山田洋次×高橋源一郎 後編」(2024/01/21放送)
1コマ目「ヒミツの本棚」の続き ~超人ナイチンゲール~
高橋:
で、ヒミツの本棚!
伊藤:
めっちゃ面白かったです。
あたしね~、源一郎さんと違ってね、ナイチンゲール、超知ってんの!
礒野:
あはははははは(笑)。
高橋:
え~、なんで(笑)。なんで知ってんの?!
伊藤:
たいしたアレじゃなんだけどさ、子どものときに伝記の本って読むでしょ。
それで、その中で、女って、ほんと少ないんですよ。
高橋:
あっ、確かに! キュリー夫人とナイチンゲール!
伊藤:
私が読んだ伝記の本には、紫式部が出てたんですよ!
高橋:
お~! そうなんだ!
伊藤:
でもね、だからそんな中で、やっぱり子どもだからそんな意識ってそんなに強くないけど、やっぱり「女だ~」と思って読むわけですよね。
興味あったな~、子どものときから…。
高橋:
(ナイチンゲールの伝記は)覚えてる?
伊藤:
覚えてる、覚えてる。
高橋:
あっ、そうなんだ。結構細かいところも?
伊藤:
あぁ~、大人だからもっといろんなことを…。特に19世紀の後半ってさ、私ちょっと調べてたんですよ、いろいろと。書くのでね。だからもう結構、いつ戦争があって、何があってって知ってるでしょ。だから、「この時代にいたのか~!」みたいな感じ!
全てのコマが全部…、
礒野:
あぁ、つながる!
高橋:
あ~!
伊藤:
パチッ、パチッ、パチッ、みたいな。
高橋:
だからね、この人はそういう意味では、女性が生きにくかったっていうか、「生きることを制限された時代の中で、どうやって生きようとしたか」って話なのね。
伊藤:
しかも、かなり、かなりエゴイスティックに…、
高橋:
すっごいね~!
伊藤:
エゴイスティックって言えないけどね~。
高橋:
乱暴だよね。
伊藤:
乱暴にね、いろんなルールを破りながら…、で、だってこの時代ってさ、「参政権」もなかったの、女の。大学も行けたか、行けないぐらい。
高橋:
ブレイディみかこさんのお話にもありましたけど、もうちょっと後にならないと出てこない。
伊藤:
(イギリスは)1918年なんですよ。でね、ただ私としてはね、すごい「えっ、えっ?」っと思いながら読んだのは、この本の中で、最初から「看護師」って書いてあるでしょ。
高橋:
え~と、看護に師匠の「師」だね。
伊藤:
そう。「看護婦」じゃなくて。
礒野:
ええ、ええ。
高橋:
僕ね~、実はこの本を読んだときに、「あれっ? 今ってそう言うんだっけ? 確か武士の「士」を使ってなかったっけ?」とか思ったの。
伊藤:
それね~、一時期なんですって。
でもそれはね、看護婦に対する男っていうんで…、
高橋:
あっそうか。女性と男性。今は「師」で統一してるんだ。
伊藤:
今はそれがね、ポリティカル・コレクトネスなんですけど、最初から「看護師」って言われちゃったら、「看護婦」だったときの…、
高橋:
あ~~!
伊藤:
女が、その商売しか選べなかった、参政権もなかった時代のこの人の苦労…、ほら、すごい下に見られてるでしょ?
高橋:
そう。これ結構ね…、
伊藤:
「はしたない」とか、「汚い」とか、「臭い」とか…、
高橋:
散々だよね。
伊藤:
それって、なんか今の差別的な構造の…、いちばん下に行くみたいな…、
高橋:
う~ん、そうだよね。あえてね。
伊藤:
あえて、あえて!
高橋:
だって彼女自身は最上流階級の、ものすごいお金持ち。ホントのブルジョワだからね。
伊藤:
だから尼さんになって、例えばこの時代だったら、ほら、『ジェーン・エア』(シャーロット・ブロンテの長編小説)だっけ…、なんかにインドに布教に行くとかってあるでしょ、ジェーン・エアのいとこか、行きますよね?
高橋:
行くよね。
伊藤:
「一緒に行くか」って言われて、行かない。で、そういうときに尼さんになって行って、いろんな感染症の人がいるところに行って、彼らを助けたような人たちと同じような行為だったんだろうな。
礒野:
ええ、ええ。
高橋:
でもね、確かに今、師匠の「師」で統一しちゃうと、いま現在はいいかもしれないけど、歴史性が、ちょっと…。
伊藤:
そうなの。
でも、まぁ、今の本だし、今の人が読むし、看護婦って書いたらマズいな~っていうのは…。だから栗原さんも困ったと思うわ。
高橋:
きっとね~! 言葉づかいは難しいもんな~。
礒野:
時代によってね、変わっていきますけれどもね~。
伊藤:
ね~。
高橋:
いや、でも本当にね、面白かったです。
伊藤:
すごい面白かった。
人生相談のコーナー「比呂美庵」、開庵!
礒野:
では、源一郎さん、伊藤さん、そろそろ恒例のコーナーにまいりましょう!
高橋:
え~と…、
高橋・伊藤:
「伊藤さん、ここは?」
伊藤・高橋:
あははっ(笑)。
伊藤:
ようこそ、比呂美庵へ!
高橋・伊藤:
わ~い(拍手)。
高橋:
これってまだやってるんだっけ? こういう、このかけ声って…?
礒野:
やってますよ~~!
高橋:
あっ、そうなの。すみません(笑)。
礒野:
久しぶりですからね。今年初めての「比呂美庵」です。
高橋:
はい!
礒野:
今日も時間の限り紹介してまいります。まずはラジオネーム「やっさん」。
静岡県にお住まいの50代の男性です。
高橋:
男性。
礒野:
中学3年生の息子についてです。受験が近づいてきた11月に「入試のない通信制高校にする」と、通っていた塾もやめてしまい、勉強をせず、アニメや動画サイトばかり観ています。母親が「何になりたいのか? このような生活で、なりたいものになれるのか?」と問うても生返事で、「うるさい、ウザい」の連呼。学校には行っているのですが、授業に身が入っていない様子。どのように諭していけばよいか迷っています。
高橋:
あ~、なるほど。
伊藤:
なるほどね。
高橋:
じゃあちょっと、僕から言っていいですか?
伊藤:
はい、どうぞ。
高橋:
1つ注目すると、最初ね、パッと読んだときに「母親」かと思ったんですよ。そしたら「あれ? 違うな」と思って、要するに父親からの相談なんですね。僕、それはね、ちょっといいなって思ってたんです。やっぱり子どもの問題は母親に任せちゃうみたいなのが多い。多いんですよ、人生相談やっててもね。
伊藤:
うん。
高橋:
でもまぁこの人、とりあえず矢面に立とうと…、
伊藤:
うん。
高橋:
それはね、いいなと思います。
ただ、あの~これなんだけど、僕が中3の息子だったら、やっぱりね~、「親を試してる感じ」がするよね。
礒野:
試す?
高橋:
そう!
伊藤:
自分の身を挺(てい)してね。人生をかけて。
高橋:
そう、そう。「僕はもう人生どうなってもいいと思っちゃうんだよ、今の気持ちとしては!」って言ったときに、親がどうこたえてくれるか…。
礒野:
あぁ…。
高橋:
こうやって脅すと、「学校行け~!」「そうしないと社会から脱落する!」って言われたら、多分ものすごく落胆すると思うんだよね。
伊藤:
うん。
高橋:
だからどうやって…
僕はこういうふうに言われたら、父親はこういうときこそ時間を作って、子どもに付き合う!
伊藤:
私も全く同感です。
これ、いくら今なにを言っても、全然なにも考えてない…、あ~、っていうか、全然聞かないでしょ。
高橋:
聞かないですね~。
伊藤:
で、通信制高校にするっていうふうに自分で決めてきたわけだから、「よし、決めたな~! えらかったな~!」って言って。で、そっちに一緒に行って、通信制に行ってですよ…、まぁちょっと時間がかかるかもしれない。受験校に行くよりはね。
高橋:
うん。
伊藤:
でも、それを一緒に「あと1年でも2年でも、付き合ってやるぞ~!」みたいな感じで、静岡県なんだから富士山に登ればいいじゃない、一緒に。
高橋:
あははっ(笑)。
伊藤:
親子で。
礒野:
静岡県だからっていう理由(笑)。
でも、「付き合う」って、そういうことですか?
高橋:
うん、あのね~…、
伊藤:
遊ぶの!
高橋:
そう、そう。
伊藤:
一緒に。
高橋:
多分ね、親は心配はするけど、時間は費やさないんだよね。
伊藤:
うん。そう、そう、そう、そう。
礒野:
あ~、口だけ…?
高橋:
口だけ! でも、やっぱりね、いちばん貴重なのは時間じゃない?
伊藤:
時間だと思う。
高橋:
それを惜しみなく使うところを見せてあげなきゃいけない。
伊藤:
そうなの。ホントにそう! だから「俺の時間ね、お前と一緒に使う!」って。
礒野:
あぁ~!
伊藤:
「一緒に行こう!」みたいな…、
礒野:
共有して、何かをする!
伊藤:
で、何もね、「こうしろ、あぁしろ」って言わずに、一緒に何かをやれば、この彼が何をしたいのかだんだん分かってくるし。
高橋:
今、分かんないでしょ!?
伊藤:
うん。分かってないって言ってたもんね~。
高橋:
だって、きちんと話したこともないし、おそらく。当然、遊んだこともないんですよ。昔のちっちゃいころ以外は!
伊藤:
うん。
高橋:
じゃあ「お前は何を考えてる?」って聞いても、言わないから。それはね、一緒の時間を過ごすしかないよね。だからもう、いいよ。1年とか2年とか。「子どものために時間を使う!」と。
伊藤:
そう!
高橋:
遊ぶ!
礒野:
一緒に遊んだり…。
伊藤:
一緒に遊ぶ。
礒野:
時間を使う、と。
高橋:
とすると、子どもはうれしいと思うんだよね。
伊藤:
やっぱりね、本人がいちばん今苦しいでしょう?
高橋:
うん。そうだよ~。
礒野:
本当に分からないかもしれないですもんね、何になりたいかとかね~。
高橋:
そう、そう、そう。
伊藤:
焦ってると思うのね、本人もね。
高橋:
だって周りはもう進学していくでしょ。
礒野:
中3ですからね~。
高橋:
で、通信制の高校に行って、「それで大丈夫か~?」とかって言うのが不安だから、もう現実を見たくないから…、
伊藤:
逃げてるんだよね。
高橋:
逃げてる。逃げたいときあるからね。
伊藤:
うん。
高橋:
それやっぱり、全部丸ごと受け止めて…、今日のテーマだよ。「丸ごと受け止めて」。あはっ(笑)。
伊藤:
あら~!
礒野:
今まさに受験シーズン真っただ中。これから本格的に突入という方もいらっしゃると思いますが…。
伊藤:
それにね、受験してね、大学行ってね、そのあとね、挫折する子だっているわけでね。
高橋:
あぁ、そうだよ。大学の先生やってると分かるもんね。
伊藤:
ね!
で、うま~く就活して、がんばって就職して、そのあと挫折する子もいるの。だからどこがゴールか分かんないから…。
高橋:
そう。どこまで行ってもね、もうこれでうまくいったっていう時点はないもんね。
伊藤:
ない、ない。
高橋:
うん(笑)。ていうか僕らもそうだしね。
伊藤:
そう。これからですよね…、
高橋:
そう。
伊藤:
私たち。
高橋:
これからだよ~。
伊藤:
70…。
高橋:
まだ本気出してないもん。
礒野:
まだ(笑)。
伊藤:
あはははははっ(笑)。
礒野:
73歳…。
伊藤:
早く出してください(笑)。死んじゃうわよ(笑)。
高橋:
早く本気出さないと死んじゃうね(笑)。
礒野:
じゃあそろそろ今年は、お願いいたします、本気を。(笑)。
高橋:
えぇ~! いやいや、本気出します(笑)。
礒野:
ラジオネーム「やっさん」さん、ありがとうございました~!
高橋:
ありがとうございました。
礒野:
では、続いてのお便りにまいりましょう。ラジオネーム「400字で相談するの難しいですね。」さんからです。
高橋:
そのとおりですよ。あっはっはっはっ(笑)。
伊藤:
あはははっ(笑)。
礒野:
神奈川県にお住まいの40代の男性です。
初めてこういうところへ投稿します。この度こんな年齢ながら…、
45歳です、この方。
失恋で落ち込んでいるので、相談がてら投稿です。私は現在シングルファーザーで、離婚して5年間、子育てしながら、という生活でした。そんな中、昨年20数年ぶりに再開した人と付き合うようになり、再婚を前提に話を進めておりました。彼女も子持ちで、遠距離でもあるので、少しずつ話を進めていた次第です。
そんな中、電話のささい(?)なやり取りで、私は、ふられてしまいました。多分、彼女は子どもを優先したいのだと思いますが、私もそうであれば、再婚を焦らない選択肢も選べたと思う中、彼女は別れを選択し、以降お話ができなくなりました。このような場合、ヨリを戻して、お付き合いしながら、長い目で将来を考えるというのは難しいものでしょうか? アドバイスをいただけますと幸いです。
伊藤:
はい!(挙手)。
高橋:
伊藤さんから、どうぞ。
伊藤:
ヨリを戻して、お付き合いしながら、長い目で将来を考えるのは、難しいです!
高橋:
あっはっはっ(笑)。
伊藤:
一旦壊れちゃった関係って、ほとんどの場合、ヨリを戻してっていうのは難しい。
高橋:
難しいね~。
伊藤:
ほとんどの場合、難しい。で、うまくいくときもないわけじゃないから、みんな夢見るけど…、
高橋:
無理だよね、だいたいはね~。
伊藤:
でね、やっぱりね、読んでると、「こんな年齢ながら」って、今45歳でしょ。もう恋愛のしどきじゃな~い!
高橋:
ね~! 若いのに~。
伊藤:
ド真ん中ですよね~。
礒野:
ド真ん中ですか?
高橋:
ド真ん中ですよ~!
伊藤:
男はぁ~。
礒野:
40代が…、うふふふふっ(笑)。
伊藤:
女も男も、この時代がいちばん落ち着いてるし、
高橋:
輝く時期だよね~。
伊藤:
輝いてるし~。これからっすよ~!
高橋:
これからですよね~。
伊藤:
あとね「再婚を前提に」とかね「子どもを優先したいのだ」とかね、なんか割とこう、なんか決まったところに持っていきたい感じがある。
礒野:
あっ、もうゴールは再婚だと?
高橋:
じゃあ、ちょっといいですか!
伊藤:
はい!
礒野:
うふふっ(笑)。
高橋:
え~っとね、この人ね、同じ男性ながらね(笑)、一方的だよね? 思い込みというか。
伊藤:
そうね~。
高橋:
「多分、彼女は子どもを優先したいのだと思いますが…」って、いいように取ってる。自分にとって。
伊藤:
そうね~。
高橋:
単に嫌いになっただけかもしれないでしょう?
礒野:
もしかしたらね。
高橋:
うん。でも、自分にいいように取ってるんだよ。で「ささい(?)なやり取り」って言ってるけどさ、「ささい」じゃなくて、あまりにひどいんで、呆れられたのかもしれないでしょ?
伊藤:
う~ん。
礒野:
あぁ…。
高橋:
つまり自分への過大評価なんだよ、全部。
伊藤:
なるほどね。なるほどね、う~ん。
高橋:
相手への思いはね…、相手が出てこないんだよ、この話の中に…。
「自分はこう思ってる」と、「自分はこうしたい」と…、っていう話が中心なんで、僕が相手でも嫌だね、こういう人は(笑)。
礒野:
あ~、そうですか。
伊藤:
いや、でも私はちょっとそこで救いたいわ~。
高橋:
あっ、救ってあげて(笑)。
伊藤:
ちょっと一言だけ言わせてください。
でもね、今45歳でしょ。で、これまで着実に恋人を作ってきたわけでしょ。シングルファーザーで、5年間子育て…。いろんな経験をしてこられたから…、
高橋:
そうかな~(笑)。
伊藤:
すごい面白い人だと思うのよ~。思うの!
高橋:
思わないよ。あははっ~(笑)。
伊藤:
だから、この女は忘れて…、
高橋:
「この女」だって(笑)。
伊藤:
また新しい関係を…、
高橋:
この女の人…(笑)。
伊藤:
この女の人を忘れて、新しい関係を作っていきましょう。
礒野:
あっ、別の方とのチャンスもあるんじゃないかっていうことですね。
伊藤:
そうなの!
高橋:
でもね、こういう態度だと「ノー・チャンス」ですね~(笑)。
伊藤:
えっ、ちょっと…、(笑)。
礒野:
そこはハッキリおっしゃいますね!
伊藤:
私は相談者をさ、斬り捨てるの嫌なのよ~。
高橋:
斬り捨てない…、いや、だから、ちょっと「自分を振り返ってほしい」という…、
伊藤:
あ~、なるほど~。
高橋:
気がするんですよ。
伊藤:
おじさんから厳しい言葉。
高橋:
さっき言ったね、「多分、彼女は子どもを優先したいのだと思いますが」っていうのは、自分にとって都合のいい話だよね?
この、想像してることが全部、相手ではなく自分に都合のいいことしか想像してない、っていうのが、多分ずっと付き合っているうちに、相手に「この人って、つまり私を見てるのか?」っていう。
伊藤:
う~ん、そうね~。
高橋:
相手を見ていれば、出てこないような…、
「ささい」なやり取りってさ、相手が真剣だったらムカつくよ。
礒野:
「ささいじゃないわよ」って思ってる可能性もありますからね、お相手は…。
高橋:
そう、そう、そう、そう。
伊藤:
それ、さすがに、センセイ!
高橋:
はいっ(笑)。
伊藤:
確かにそうかもしれない。
高橋:
一事が万事(笑)。
伊藤:
1通目の問題でね、やっぱり子どものことを見てるか見てないか、ということでしょう?
高橋:
あぁ。
伊藤:
一緒の時を過ごしてるか。
高橋:
そう、そう、そう、そう。
伊藤:
同じようなことが、この「400字で相談するの難しいですね。」さんがね、やっぱりそれを試みて…。だから次の機会にこれを役立てましょう! 源一郎センセイの、この意見を!
高橋:
いや、こんなんだったら次はないよ(笑)。
伊藤:
いや、いや、いや! 次は必ずあるから!
高橋:
だからやっぱり、なぜ駄目か…、駄目だと思うんですけど、なぜ駄目なのかを、ちょっと考えた方が…、
礒野:
一旦、立ち止まって…。
高橋:
「一体自分はあのときなんて言ったんだろう」「あのとき彼女はどう答えたっけ?」とか、もう1度「ひとり反省会」をやられたらいかがでしょうか? 伊藤さん!
伊藤:
すばらしいことだと思いますよ(笑)。
「次はある」からね、絶対!
礒野:
ということで…、
高橋:
伊藤さんが「ある!」って言うんだったら、あるかもしれませんね~(笑)。
礒野:
『飛ぶ教室』、そろそろ下校時間です。比呂美庵、閉庵時間です。
高橋:
伊藤さんが実は、新刊の『森林通信 ―鷗外とベルリンに行く』というのを…、これがね、大変面白いので、言いたいことがいっぱいあるんですけど…、
伊藤:
今度言ってくださいよ(笑)、じっくりと! 番組の中で!
高橋:
そうね~。ちょっと考えておきますけど(笑)。
伊藤:
えっ、お願いします。
高橋:
ホント、伊藤さんさぁ、あっ、これ、ドイツに行ったときの話なんだけどさぁ。
伊藤:
そう。
高橋:
僕ちょっと1か所、分かんないところがあって…(*時間切れで、番組終了)
高橋源一郎の飛ぶ教室
ラジオ第1
毎週金曜 午後9時05分
詳しくはこちら
【放送】
2024/01/26 「高橋源一郎の飛ぶ教室」
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24/02/02まで