【飛ぶ教室】「きょうのセンセイ ~美術家 会田誠さん~」

23/12/08まで

高橋源一郎の飛ぶ教室

放送日:2023/12/01

#文学#読書#アート#映画・ドラマ

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23/12/08まで

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12月1日の「高橋源一郎の飛ぶ教室」、2コマ目の「きょうのセンセイ」は、美術家の会田誠さんをお迎えしました。1コマ目の「ヒミツの本棚」では、早世の画家、中園孔二の評伝、『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』を取り上げました。会田さんとの共通点は、東京藝大で油絵を専攻していたということ。実は、おふたりには接点もあったようなんです。そして、源一郎さんとのお話は、「天才」をテーマに…。

【出演者】
高橋:高橋源一郎さん(作家)
礒野:礒野佑子アナウンサー
会田:会田誠さん(美術家)


礒野:
源一郎さん、2コマ目です。

高橋:
はい。今日のセンセイは、美術家のこの方です!

会田:
会田誠です。

礒野:
よろしくお願いしま~す(拍手)。

会田:
よろしくお願いします。

高橋:
お久しぶりです(拍手)。

会田:
お久しぶりです。

高橋:
あらゆるところで、ひんしゅくを買う、あの…、あはははは(笑)。

会田:
ええ、ええ(笑)。

礒野:
そんなご紹介なんですか~(笑)。

高橋:
いや、いや、いや。とってもね、すてきなんですよ。

礒野:
プロフィールをご紹介させていただきます。
1965年、新潟県生まれの美術家です。東京藝術大学大学院美術研究科を修了後、絵画、写真、映像に立体、漫画やパフォーマンス、そして都市計画も手がけるなど、さまざまな表現領域で作品を発表されていらっしゃいます。

高橋:
なんでもやってる会田さんですが、前回の出演が2020年10月。「あれ、そうだっけ?」と思ったら、あのときは、別スタジオからリモート出演でしたね。

会田:
あっ、はい、はい。コロナの…、

高橋:
コロナの影響でね。

会田:
はい。

高橋:
あのときは小説『げいさい』を発表したあとで、『げいさい』の話を、なんて言うんですかね、東京藝大の中にある世界、え~…、

会田:
受験のね。

高橋:
受験のね、話で、面白かったですね~。で、その前って『すっぴん!』という番組のときに出ていただきましたよね。

会田:
はぁ、はぁ、はぁ。はい。

高橋:
あのときって、『青春と変態』の話とかしたんでしたっけ?

会田:
たぶんそうですね。

高橋:
デビュー作のころ。

会田:
はい、はい。

高橋:
だから、美術家なのに、いつも小説の話。あっはっはっ(笑)。

会田・礒野:
あははははっ(笑)。

会田:
ありがとうございます。

礒野:
確かにそうですね。

高橋:
そうなんですよ。今回は…、やっと美術の話だけど、でも今回、批評の本の話も!
いま言っておきますけど、会田さんが…、去年でしたっけ?

会田:
はい。

高橋:
『性と芸術』という…、

礒野:
去年7月ですね。

高橋:
…に出た、会田さんが描かれたスキャンダル作『犬』について、弁明を、150ページぐらいでしてるっていう。

会田:
長々、ええ…。

高橋:
長々と。「よせやい!」っていう(笑)。

会田:
あははは(笑)。

高橋:
これが本当に面白かったんで、この話をしようと思って待ち構えていたんですけど…。

1コマ目でご紹介した本『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』について

高橋:
その前にちょっと、中園さんの話は会田さんはあんまり興味ないかなと思って、サラッと行こうと思ったんですけど、けっこう関わってることが多いなと思ったんですが…。

会田:
ええ。実はさっき、やっと全部読み終わったばかりで…、

高橋:
あっ! 読んだの?

会田:
最後まで読んだんですが、ちょっと読み終わった直後すぎて、今ちょっと頭が混乱していて、ちょっと心がザワザワしていて…、

高橋:
えっ! そうなの!?

会田:
なおさらうまく言えないと思うんですが。
まずはまぁそうですね、すごい圧倒的に面白い本で、それは書いてる村岡さんの手腕がまず大きいんですけれど。

高橋:
えっ! 面白かった!?

会田:
面白いですね。

高橋:
よかったです(笑)。

会田:
ええ。でも、なんといいますか、不思議な読書体験で、まずは登場してくる人物、インタビューを受ける側にも知り合いがザクザクいて…、

高橋・礒野:
あははははっ(笑)。

会田:
これでもかってぐらい、出続けて…、

高橋:
あぁ。もうみんな知ってるみたいな感じ?

会田:
なんか世間は狭いっていう感じがするんですけれど、それが、だけれど、もう本人はね、若くして亡くなったから、過去形として歴史的事実みたいに、評伝という形で書かれていて、でもそれが僕よりずっと若くて…。

高橋:
そうだよね。

会田:
そもそも僕が出した『性と芸術』は、『犬』っていう作品をいちばん最初に書いたとき、僕が何を考えたかというのを主に書いたんですけど、それは1989年のことなんですよね。それって、この中園さんが生まれたときなんですよね。

高橋:
ああ!

会田:
赤ちゃん…。

高橋:
そうか!

会田:
そういう時間軸でね…、

高橋:
不思議な感じだよね。

会田:
ええ。頭がこう、ごちゃごちゃして、更にですね、たぶん僕あの~、東京藝術大学の油絵の…、

高橋:
同じ学科ですよね!

会田:
非常勤講師を1年間だけやったことがあるんですけど、そのとき、たぶん彼は大学3年生で…、

高橋:
えっ! いた?

会田:
数えてみると3年生で、僕1回だけ、講評を回って、彼が作品を並べているところを見て…、

高橋:
えっ!!

礒野:
え~!

会田:
コメントを、たぶんしてるんですよね。

礒野:
接点があったんですか!

高橋:
覚えてます?

会田:
それが、たぶん間違いじゃないと思うんですけど、この本の中で、あの~、アフリカ…、アフリカに凝ってた時代…、

高橋:
はい、はい、はい。

会田:
…というのが大学3年生にあって、僕がそうですね、彼のアトリエに入っていって、見て、何かコメントするわけなんですけど、唐突に1人の学生が、物量が多くて、そして何か日本人離れしたアフリカワールドを、あの~、壁いっぱいに展開していて、どこからこのイメージが出てくるのか全然わからなくて…、

高橋:
うん。

会田:
まぁたぶん、もちろん褒めたけれど、え~と、まぁ、「君は、すごいね」(苦笑)。

一同:
あはははははっ(笑)。

会田:
「このまま、やって、やって」みたいな(笑)。

礒野:
へぇ~、そういうこと言うんだ(笑)。

会田:
誰でも言えそうなことですけど、でも、そう言うしかなくて…。

高橋:
へぇ~!

会田:
でもある意味では、なんて言うか、日本の学生の、悩み多き学生に何かアドバイスさせねばいかんという気も起きないほど…、

高橋:
すごかった?

会田:
言うこともなく。

高橋:
へぇ~!

礒野:
独特で、っていうことですか?

会田:
独特すぎたし、どこを接点にしゃべったらいいかわかんないから、「君は、あの、そのままどうぞ」。

高橋:
そのままどうぞ。へぇ~!

会田:
って言ったのが、たぶん彼だと思うんですよね。

高橋:
それさ、めっちゃ褒め言葉だよね。

会田:
ええ。まぁでも、とにかく覚えてますよ。

高橋:
へぇ~~。

礒野:
そうでしたか。

高橋:
じゃあ1回だけっていうことですね。

会田:
1回だけですね。

礒野:
わぁ!

高橋:
いやちょっとそれ驚きました。

礒野:
そうですね。接点があるとは!

天才とは何か?

高橋:
あの、本についての感想はどうでした?

会田:
はぁ、はぁ。え~、そうですね、僕と中園さんの仕事を両方知ってる人なら、誰もがそうだと思いますけど、まぁだいたい「真逆」の…、

高橋:
真逆ですね(笑)。

会田:
真逆の表現者で。
え~と、そうですね、だいたい僕、「天才」と言えば自分の…、大切な、美術館での大きな展覧会に『天才でごめんなさい』とかいうふざけた…、

高橋:
ふざけた(笑)。

礒野:
タイトルをね!

会田:
つけたわけですけどね、その心はいろいろありますけど、まぁわかっていただけるとは思うんですけど、こんなタイトルつける人間というのは、たぶん「天才」という言葉に、そもそも反発があって、というので…。
でもまぁ、確かに他のみなさんと同じように、ある一種の天才であることは認めざるをえないし、え~、はぁ、なんと言ったらいいやら、今日は…(笑)。

高橋:
なるほどね。僕おもったんですけど、中園さんはどういうものかって、これは1つの「天才論」なんですよね。

会田:
う~ん。

高橋:
で、普通は、あっさり「天才すごいね」で、昔は終わったんだけど、この本に出てくる人はみんなそうだけど、いやいや「天才とか言っちゃいけないよ」とかさ、「そういうこと言うからダメなんだ」とかさ、みんな、逆に言うと全部、みんなブレーキかけてるでしょ!?
だから少なくとも天才っていう言葉は、そういう意味では、どっちかっていうと「ダサい言葉」っていうか。「いやいや、今ごろそんなこと言ってんの?」みたいな。そんなふうになってるのが面白いですよね。

会田:
まぁそうですね。

高橋:
だから会田さんが目指した方向に社会が変化してる。あははははっ(笑)。そんなことない?

会田:
ね~、そうなんですよね~。

高橋:
それで、えっと、この本すごい面白いと思ったんですけど。ただ、さっき言ったように、会田さんの『天才でごめんなさい』っていうのは、天才性を否定している。まぁざっくり言うとね。完全にじゃないです。
それは会田さんがずっとおっしゃっていた、近代の表現というのは個人を大事にして、独創性を大事に、オリジナリティを大事に…。結局、それは「それができるのは誰か?」「それは天才だ」ということになって、だから「天才がいちばん偉い」というようになっていったんですが、あの~、僕それは、ちょっと天才の…、確かに定義としては当たってるんですけど、さっき言ったみたいにさ、そんなに悪いもんでもないところもあるんじゃないかっていうね。あの~、光があったほうがさ、影が…。
だから僕、会田さんは天才だと思うんですけど…、

会田:
いや、いや。

高橋:
えへへっ(笑)。

礒野:
いや、いや…、ご本人は否定されていますが(笑)。

高橋:
肯定するわけないんですけど(笑)。
ただ、あの~、会田さんって、天才的なものは否定してるじゃない? で、その手仕事のほうに…、永遠に反復するみたいな。でもそれってやっぱり、仮想敵として天才がいるからだよね?

会田:
僕の狭い美大生時代の話をすれば、元同級生たちには悪いけど、あの~、幸か不幸か、僕の世代の同級生には、中園さんにあたるような、誰もが「天才」って言うような人は…、

高橋:
いなかった?

会田:
基本いなくて、だから天才みたいなものは、ゴッホとか、大正時代に結核で死んだ誰だとか、そういう過去の話で。そういうライバルもない中で、どうやっていくかみたいなのが僕の若いときの課題でもあったし、それからあの~、きょう、本を読んでいて、特に後半、ちょっと、ちょっとと言うか、スランプ的になったときもあったじゃないですか。中園さんが…。

高橋:
中園さんがね。

会田:
卒業制作までは、もう跳ぶ鳥を落とす勢いだけれど…、

高橋:
いっぱい買われてね。

会田:
栄光をつかんでからちょっと苦しくなるような感じとかって、ああいうのを見ていても、やっぱりこう、心とか魂というか、そういうもので描く…、僕の雑な言い方で言いますと、そういうピュアな絵描きの描き方は、やっぱり怖い、怖いなっていうのを、その怖さをなんか僕も思い出して、僕も大学の1年とか、18歳とか、そういうときに…、

高橋:
ピュアだったの? あははは(笑)。

会田:
今よりはずっとピュアだったし…、ピュアな、天才への憧れとか、あったわけなんですけれど。
え~、何か、これをずっと続けていけない、まぁ自分の資質としてもそんなもん持ってないし、100%持ってないし、それで僕はなんか、そういえば大学の4年間を使って、最終的に、芸術上のロマンチシズムというか、そういう魂で描くみたいなものを最終的には、もうゼロになるまで捨てて、そしてやっと大学院になって、やっと描けたのが『犬』ってやつで、ここから僕のキャリアが始まった、みたいな。
ちょっと、ちょっと整い過ぎてるストーリーなんですけど…、

高橋:
うん(笑)。

会田:
でもロマンチシズムを殺す4年間だったというようなのは、全く中園さんと真逆の…、

高橋:
真逆だよね。

会田:
ええ。まぁ彼はロマンチシズムを…、

高橋:
そのものを!

会田:
どんどん純化していって…、

礒野:
追及して…。

会田:
ええ。だから案の定というか25歳で、もちろん自殺じゃないですけれど。

高橋:
ちょうど、ある意味、会田さんが『犬』を描いたいぐらいの年齢で、自分の生涯を閉じちゃう。

礒野:
そうですね。

高橋:
だから、完成させちゃうんですね。
僕、だから、天才っていうよりも、ピュア? 無垢な才能?
だから他のこと考えてないですよね。

会田:
ふ~ん。

高橋:
余計なことを一切。

礒野:
ええ。

高橋:
会田さんは余計なことしか考えない(笑)。

礒野:
あはははは~(笑)。

高橋:
ある意味!

『性と芸術』のはなし

礒野:
そろそろ、では会田さんの、その『犬』の…、

高橋:
『犬』の話。

礒野:
お話に参りましょうか。

高橋:
これは、え~、まぁなんと言ったらいいのでしょうかね…。少女の、手足を切断して、包帯で巻いて、そのかわいい少女に首輪をして、首輪というのは犬のですね、首輪をして、餌箱がある、と。そこに魚のめざしかなんかが置いてあるという。これは1989年に描かれた。まぁ大変な…。
当時は直接批判があったわけではないんですか?

会田:
ぜんぜん世間に見せられる、あの~なんていいますか、僕のポジションが、ただの美大生だったので、え~と何も届いてないんで、まぁ周りの理解ある美術関係の、美大の先生とか同級生しかいなかったので、あんまり批判もされなかったけど、褒められもしませんですけど(笑)。
何やってんだか、ぐらいな。

礒野:
あははははっ(笑)。

高橋:
そう、そう。面白いのはですね、この『性と芸術』っていうのは、この『犬』という会田さんの実質的なデビュー作っていうか、会田さんが会田誠としての画家人生を決定づけた作品をなぜ描いたかを、え~、150ページも書いてるっていう。

礒野:
面白かったです!

高橋:
これホント。うちのスタッフみんな読んだんですけど、すごい面白かったって!

会田:
いや、いや。

高橋:
普通さ、美術の評論というか、まぁ、美術について書かれたものでしょ、絵じゃなくて。面白いはずないのに…。

礒野:
うふふふ(笑)。

高橋:
これがね、めちゃくちゃ面白かったんですよ。

礒野:
どういうお気持ちで書きましたか?

会田:
えっ!? 本ですか?

高橋:
本です(笑)。

礒野:
なんとか説明しなきゃというお気持ちでしょうか?

会田:
そう、そう。またあれですよね、SNSっていうのをやっちゃって、美術の近くには住んでないような方も、SNSっていうネットは、あの~、届いちゃって。

高橋:
うん。

会田:
まぁ、僕の悪口はいっぱい書かれたわけですよね。そこでやっぱり反論というかご説明を毎回したくはなるんだけど、まぁあれは、SNSってキリがないから、割と我慢していることが多くて、言葉がたまってきちゃって、1回全部出すかっていったら、まぁちょっと言葉がそれぐらいたまってたってことなんですけれど。

礒野:
すごい。

高橋:
あの~、会田さん、酔っ払ってSNSやるのはよくないよ(笑)。

会田:
はい(笑)。

一同:
あははははははっ(笑)。

礒野:
たしなめてます(笑)。

高橋:
たしなめてます。
よくやってたの、酔っ払って(笑)。

高橋:
で、ものすごく面白かったのは、理論的な説明!

会田:
まぁ、そうですね。

高橋:
つまり、「絵画とは何か?」とか、「日本で絵を描くとはどういうことなのか」っていうことを説明していくっていうのは、やっぱり1回は説明したいと思ってたんですか?

会田:
はい。まぁまぁ、そうですね。でもまぁ1回で、『犬』の最初のやつだけを言えば、あと今後の人生、言わなくていいかなと…、

高橋:
甘いよ(笑)。

会田:
あははははっ(笑)。
ちょっと思ったこともあります。
やっぱりその中園さんの話に戻すと、中園さんは、あの~えっと~、スケッチブックみたいなクロッキー帳ってやつに、じゃないか、大学ノートみたいな罫が入ってたか、あそこにあの~、150冊だかなんか、走り書きみたいなものを残して、言葉は多いけど、でも、なんて言うか、正式な展覧会に付随したインタビューとかでも語るときは、あまり語りたくなさそうだし…、

高橋:
そうですね。

会田:
語っても何かよくわからない、モヤモヤ、

高橋:
モヤモヤ~っとした

会田:
ね、普通の意味での論理的な言葉は使わない。いやそれこそ、天才画家の言葉の使い方ですけど、まぁそこも真逆だけど、いっそ開き直って、俗物絵描きっていうか、邪道絵描きとして、言葉を理屈っぽくやってみようと思った…、ということです。

高橋:
ちょっと全然時間が足りないんで、また来てくださいね(笑)。

礒野:
あはははは(笑)。

高橋:
僕、会田さんって、以前にも話したことがあるかもしれませんが、すごく似てると思うんですよ。

礒野:
源一郎さんと?

高橋:
うん。
会田さんが、その『犬』で要するに、グロくて、ポルノみたいな作品を出して、要するにこう「突きつけたかった」と。「そんなお上品に芸術やってんじゃないよ」っていうふうに。それが89年ですけど、僕のデビュー作って、「すばらしい日本の戦争」っていうタイトルで、エロとグロとポルノと日本なんだよね。

会田:
あぁ…。

高橋:
同じ。
だから、そういう気分は、どこまでも、ちょっと、残ってるし、今も一緒だと思うんですよ。
すごいさ、この本て、文句を言いまくってですね…、最新でいちばん反対してるのがさ、「SEA」か。「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」っていう。

会田:
あぁ、あはっ(笑)。

高橋:
社会に参画するような、あんなのは要らないっていうか、自分はもういらないと思ってるって。ここに来ていただいた日比野さんがやってるよね。学長が。あははっ(笑)。

礒野:
東京藝術大学の。

高橋:
嫌なんですよね(笑)。

会田:
いや、そんなことはないですよ(笑)。

高橋:
あはははは(笑)。
まぁ、別に、自分はやらないっていう。

会田:
まぁ、そうですね。

高橋:
そう、そう、そう。他人のことはね。

春画をめぐるドキュメンタリー映画にも

高橋:
で、実はもう1つ!

礒野:
はい! 映画のお話です。

高橋:
そもそも実は、ご出演をお願いした直接の理由は…、

礒野:
この秋公開された、『春の画 SHUNGA』というドキュメンタリー映画、会田さんもご出演されてますよね!

会田:
はい、はい。まぁ僕の、この『犬』って絵も、まぁ一種の、広く言えば「春画」ですし、僕あの~、キングギドラとなんとかっていう、あの~(笑)。

高橋:
あははっ(笑)。タイトル…(笑)。

会田:
なんとかっていう、ちょっとね、「オタク文化」と「浮世絵の春画」を掛け合わせたようなのをやった…、

高橋:
やってましたね。

会田:
…っていうのがご縁で呼ばれて、なんか、はい。

礒野:
どんな映画なのか、少し教えていただけますか。

会田:
春画の、そうですね、ホントに入門…、いろんなことがわかる…。例えば、春画のバックにいろいろ言葉が書いてあるんですけど、なんて書いてあるかわからなかったんだけど…、

高橋:
けっこう臨場感あるんですよね!

会田:
ちゃんと俳優がしゃべってくれて、そういうところが面白かったですよ。ちょっとアニメで動いてね。

高橋:
あとはやっぱり、あれは1つのすごい文化だよね。

会田:
う~ん!

高橋:
技術もすごいし。

礒野:
葛飾北斎の『蛸と海女』。

高橋:
あぁ、蛸と…。

礒野:
あれがベースになってますよね~?

高橋:
あれは、あの~会田さんが…、借りて…。

会田:
人生で1度きり、ちょっと拝借したというだけで、そんなに春画は詳しくないです。

高橋:
うっふふふ(笑)。

会田:
なので、ちょこっとしゃべってるだけですけど、いろんな人がしゃべってますね。いい映画ですよ。

高橋:
あはははっ(笑)。

最近の会田さんは?

高橋:
で、最近の活動、いま取り組んでいるのは…?

会田:
あぁ、そうですね。最初は来年の初め、1月中に出る雑誌で、僕がまるまる特集を担当する…、

高橋:
ほぉ!

会田:
「新しい美術の教科書を考える」っていう特集をやるんですけど…、

高橋:
すごい面白そうじゃないですか!

礒野:
新しい美術の教科書!

会田:
それこそさっき言った「ソーシャリー・エンゲイジド・アート」とかを、むしろ、すごく紹介した…、

高橋:
えっ(笑)。
おかしいじゃん、言ってることが!

会田:
僕、ホント、矛盾だらけで(笑)。

礒野:
あははは(笑)。

高橋:
そうね(笑)。

礒野:
そして、今月下旬には、大阪で?

会田:
あぁ! 大阪の国際芸術祭みたいなの(「Study:大阪関西国際芸術祭Vol.3」)に、遊びに行きます。
まぁちょこっと、釜ヶ崎のおじちゃんたちと、なんかお酒を飲んだりする(笑)。

高橋:
あぁ、それならいいですね(笑)。

礒野:
お仕事なんですよね(笑)。

高橋:
それは、ただのイベントですね(笑)。
で、今なにか大作をやって…、取りかかってます?

会田:
そうですね。コロナ禍で2年ほど、けっこうサボり気味だったんですけど、来年からは、ちょっと大きな絵と大きな立体を出す準備がありまして、まぁ、まぁ、はい。

礒野:
楽しみにしております。

高橋:
中身はだいたい決まってる?

礒野:
お話の途中ではございますが、今日はこのへんでお別れです~。

高橋:
あっ、もうですか~。

礒野:
会田誠さん、ありがとうございました。

高橋:
ありがとうございました~!

会田:
ありがとうございました。

高橋:
じゃあまた来てくださいね。そう、そう。うちのさ、父親の春画の話をしたじゃないですか。

会田:
はい、はい。

高橋:
あれがね、僕が初めての・・・(時間切れで終了)

高橋源一郎の飛ぶ教室

ラジオ第1
毎週金曜 午後9時05分

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【放送】
2023/12/01 「高橋源一郎の飛ぶ教室」

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