朝ドラ「あまちゃん」執筆秘話を、宮藤官九郎さんが語る!

23/08/01まで

ふんわり

放送日:2023/07/25

#インタビュー#映画・ドラマ#朝ドラ

<ふんわり>は、毎週月曜日から金曜日<NHKラジオ第1>8時30分~11時50分で放送中♪パーソナリティの温かいトークがリスナーの生活をふんわりと包み込むような番組です。
火曜パーソナリティは「キム兄」こと、芸人の木村祐一さん。

放送後1週間は、「らじる★らじる」の聴き逃しサービスでもお楽しみいただけます!

ふんわり

ラジオ第1 毎週月曜~金曜 午前8時30分

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「ふんわり」火曜日9時台にお送りしている「木村家のリビング」。今回は、連続テレビ小説「あまちゃん」をはじめ、数々の作品を手がける脚本家・宮藤官九郎さんをお招きして、個性あふれる登場人物誕生の秘話や、宮藤さんが企画・監督・脚本を手がけた、来月配信されるドラマ「季節のない街」について伺いました。

【出演者】
宮藤:宮藤官九郎さん(脚本家)
木村:木村祐一さん(芸人)
澤田:澤田彩香アナウンサー

「あまちゃん」小池徹平さんが演じる「ストーブさん」誕生秘話!

澤田:
4月からNHK-BSプレミアムで、月曜日から土曜日の朝7時15分からNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あまちゃん」(2013年)が再放送されています。

宮藤:
やっているらしいっていうか、やっているんですよね(笑)。

(♪「あまちゃん」のOPテーマ)

澤田:
もうこの音楽を聴くと、「あぁ、始まったな!」っていう気がしますけれども・・・。
メールもたくさんいただいています。長野県50代・じゅんままさん。「今、BSプレミアムで『あまちゃん』が再放送されています。10年前は3人の息子の中学受験、大学受験が重なり、私は朝ドラをチラチラ見るくらいで、内容が全く頭に入っていませんでした。再放送で今になってハマり、毎日、楽しみで、楽しみで仕方がありません! そして、突然思いつき、一人で岩手へ・・・

宮藤:
えっ!?

澤田:
・・・久慈駅も、向かいのビルと看板もそのままで、感動しました。観光案内所でタクシーは1時間3,000円と安くなっていたこともあり、そこからタクシーで海岸へ。その間ずっと、頭の中は『あまちゃん』のオープニングの音楽が鳴りっぱなし。もう、楽しすぎて書ききれません!」というお便りです。

宮藤:
へぇ~!!

木村:
やっぱり、時代とかあるから。あの時、なんでそんなに話題にはなったけれども「もっとやろ」っていう声があったから。やっぱり「今」だったりね。作品っていうのは、映画でもそうやけど、ピタっと来る時期がある。

澤田:
(「あまちゃん」が放送されたのは)10年前!
千葉県30歳・ムラップさんからもメッセージをいただいています。「『あまちゃん』の再放送、毎日見ています。2回目もすごく面白い。宮藤さん、ありがとうございます!」

宮藤:
とんでもない! これ、なんか、貯金が返ってきている、みたいな感じですね! 貯金したものの「利子」が返ってきているっていうか(笑)。

木村:
なるほど! でもね、財産やから。値打ちが出るんですよ、やっぱり。
朝ドラは、やっている(撮影している)ときとか、(執筆を)引き受けるときって、長いでしょ? 200(話)・・・いくつ?

宮藤:
150何話か、ですね。

木村:
でしょ! それを、書いている期間は、ものすごく短い。

宮藤:
そうですね、そんなに(長くはないですね)。
だから多少(放送に)追いつかれますよね。

木村:
「アレをやろう!」って、いつ頃、着想するんですか?

宮藤:
この間も、たまたま「どれぐらい前でしたっけ?」っていう話になって。(放送の)1年半前にお話が来て。で、「東北を舞台にした朝ドラ」っていうところだけが決まっていて。で、まずはスタッフの方が東北をいろいろ見てくれて。これと、これと、これって言った中に、海女さんの話があって、「北限の海女」っていう、岩手に、一番、北限にある海女さんの話が。それで多分、取材に行ったのが、震災の年の秋・・・冬かな?

澤田:
2011年の。

宮藤:
それで、「高校生の海女さんっていませんかねぇ?」みたいなことで、いろいろ探して歩いていて。で、その時に、取材していたら、高校生の海女さんのお兄ちゃんが、ちょっと軽いニートみたいな感じで、家に、ただいる・・・家から出ないお兄ちゃんがいて。その方が、ストーブにあたっていたんですよ。そうしたら、その子のお母さんが「この子はね、ストーブのそばから離れられないのよ」とおっしゃって。それを聞いて、あだ名が「ストーブ」っていうネタを思いついて。

木村・澤田:
へぇ~~!?

宮藤:
それで、小池徹平くん(足立ヒロシ役)のあだ名が「ストーブ」になったんです。本当にそういう人がいたんですよ!

澤田:
(ストーブさんの)モデルが、いらっしゃったんですね!

宮藤:
だから、取材って大事なんだなぁ、って・・・

木村:
そやね。(桂)文枝師匠も創作活動するとき「取材、現場に行く」って言っていました。やっぱり、湧くものが違うんですね。だってもともと、(宮藤官九郎さんは)宮城県出身やけど、また違う。同じ太平洋でも違うんですね。

宮藤:
そうですね。方言も違うし。

あまちゃん

BSP 毎週月曜~土曜 午前7時15分~7時30分ほか

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小泉今日子さんと薬師丸ひろ子さんが演じた「天野春子と鈴鹿ひろ美」。“影武者”の関係性はどんな発想から?

澤田:
もう一通、質問が来ています。群馬県40歳・みずほさん。「宮藤さんの脚本、初体験は深夜にやっていたシチュエーションコメディでした。宮藤さん担当の回がめちゃくちゃ面白かったです。その後、宮藤さんのドラマを追いかけ欠かさず見ています。中でも、好きなのは『あまちゃん』です。うまく言語化できませんが、宮藤さんすごいなと思いました。再放送も欠かさず見ています。全然、古くない。春子さん(小泉今日子さん)と、鈴鹿さん(薬師丸ひろ子さん)の影武者の関係が秀逸です。この関係性はどんな発想から思いついたのでしょうか?」

宮藤:
いや、元々、お母さんがアイドルで、娘が、お母さんが果たせなかった夢を果たす、みたいな話が最初にあったんですよね。それで、ネタを探していて。実はあれ、のんちゃんじゃなくって、小泉(今日子)さんの話がメインで、最初は考えていたんです。

木村・澤田:
へぇ~!

宮藤:
なんか、「ステージママ」みたいな、ちょっと面白いな、と思って。で、その時に「何か遺恨があるとしたら何だろう?」って。で、本当は歌がうまいのに、歌が歌えない子のために「影武者」っていうか、なんていうんですか・・・そういうの? あの、本当は、薬師丸さん、歌がうまいんですけど、知っているんですけれど(笑)。「薬師丸さんは(鈴鹿ひろ美さんは)歌が下手」っていう設定にして、その歌の部分だけキョンキョン(小泉今日子さん)に歌ってもらう、みたいな。

木村:
はぁはぁはぁはぁ!!

宮藤:
もう、ね。中学生の時のオレにしたら、夢の組み合わせですね(笑)。

木村:
そうね、ホンマやね(笑)。豪華な、ね!

宮藤:
「なにを、なにしてくれてるんだ!」っていう。あのー(笑)。

木村:
特徴的やから、二人とも(小泉今日子さんと薬師丸ひろ子さん)。合わせたらおもろいですよね。

長年の構想で、一番、手掛けたかった作品「季節のない街」

澤田:
そして、宮藤官九郎さんの監督作品、といえば、8月9日から、宮藤さんが企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、有料チャンネルで配信されます。少しご紹介させていただきますが、原作は、1960年代はじめに山本周五郎が執筆した小説。誰もがその日の暮らしに追われる、裕福とは言えない“街”を舞台に弱さやズルさを隠さず、たくましく生きる、個性豊かな住人たちの悲喜を紡いだ物語です。1970年には、黒澤明監督が『どですかでん』のタイトルで映画化。宮藤さんは、舞台の街を12年前に起きた災害で建てられた「仮設住宅のある街」へ置き換え、現代の物語として再構築されました。

宮藤:
原作が、戦後の、わりとすぐの話で。バラックがたくさん東京にあった頃の話なんですけれど。まぁバラックって言われても今、なじみがないから、なんか今、現代に置き換えるとしたら・・・と思って、その時に、震災とか、災害、水害(が起こると)仮設住宅、プレハブが建つじゃないですか。そこで、何年も生活している人たちを描いたらどうかな、って思って。それで配役を考えていって。もともとが新聞小説なんで、短編なんですよ。それを黒澤(明)さんが、割と芸術的に、群像劇に、映画化したんですけれど。小説を読んだ時からボク、「これ、連ドラなんじゃないかな?」って思って。「連続ドラマにしたほうが、一話完結でいったほうがいいんじゃないかな?」って、ちょっと思っていて。

木村:
「なにしとんねん? 黒澤!」と(笑)。

宮藤:
いや、いや、いや(爆笑)。

木村:
「ノー黒澤、ノーライフ」ですよ(笑)。ごめんなさい、ちょっと茶々入れたんですけれど。

宮藤:
いや、(黒澤明監督)大好きですけれどね(笑)。映画はもちろん大好きなんですよ。「なにしてんねん?」とは思っていないです(笑)。

木村:
ボクも思っていないです(笑)。「宮藤さんは(この作品を)一番やりたかった」って(プロフィールに)書いています。

宮藤:
そうなんです。なんか、あの映画(「どですかでん」)のよくわからないエネルギーがすごく好きで。これ、ちょうど20歳ぐらいの時に映画を見て、小説を読んで、その時に、ちょうど大阪の西成の方で暴動があったときだったので。ボク、なんかちょっと、もう見に行こう、と思って。

木村:
行ったの?

宮藤:
行ったんです。

木村:
リットン調査団の藤原光博も行って、頭に石が当たったって(笑)・・・大丈夫やった、ケガ?

宮藤:
(ボクが行ったときは)もうだいぶ収まっていたので。それで、その時になんかこう、すごいエネルギーをもらって、「なんかオレ、やらなきゃな!」って思って。大学生だったんですけれど。それで、もともと好きだった「大人計画」に参加したんですよ。

木村:
いや、「大人計画」も、「すごい大人」が入りましたよね。

宮藤・澤田:
(爆笑)。


詳しくは、9時台「聴き逃し」で♪

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23/08/01まで

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【放送】
2023/07/25 「ふんわり」

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