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NHK交響楽団 9月定期公演の聴きどころ【15日(土)、21日(金)、26日(水)】

番組スタッフ

投稿日時:8月27日 (月) 午前10時00分

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パーヴォ・ヤルヴィ ©Prague Spring Festival/Zdenek Chrapek

首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィの登場で幕をあける9月定期公演。N響という機動性に富んだオーケストラとともに、彼は果敢(かかん)な試みをさまざまに展開中である。ここ数年の間でもモーツァルトのオペラやバーンスタインのミュージカル、自身のルーツであるエストニアの現代作曲家の紹介など、多彩なプログラムが披露されたが、2018/2019シーズン開幕の定期公演でも意外な側面を垣間見せてくれるような選曲になっている。

新シーズンの開幕を告げる
ウィーンゆかりの曲が並んだ華やかなAプロ

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アンナ・ルチア・リヒター ©Matthias Baus

Aプロは、ウィーンの精華とでもいえるだろうか。ヨハン・シュトラウスII世の《「こうもり」序曲》で華やかに開始されたのち、同《南国のばら》《クラップフェンの森で》《皇帝円舞曲》、そしてヨーゼフ・シュトラウスの《うわごと》と、音楽都市ウィーンならではのワルツやポルカがとりあげられ、新しいシーズンの開幕を高らかに告げる。これらと組み合わされるのがマーラーだ。彼はオーストリア帝国統治下のボヘミア出身で、若い頃からウィーンで学び、指揮者として同国立歌劇場の総監督のポストを得た。ウィーン世紀末の爛熟(らんじゅく)した文化と結びついた作曲家である。マーラーはパーヴォが得意とするレパートリーで、すでにN響との共演において、含蓄のある響きを丁寧に引き出し、数々の名演を披露してきた。今回とりあげるのは《交響曲第4番》。第4楽章〈天上の生活〉のソプラノ・ソロには、若きスター候補のアンナ・ルチア・リヒターが起用される。天国的な澄み切った声に一抹の憂いを感じさせる表現力の持ち主で、マーラーの《第4番》に内包されるアイロニーに満ちた救済の世界を描き出すにはうってつけの歌手である。パーヴォの的確なタクトのもと、どんな歌唱を披露してくれるだろうか。

当代随一の名手が奏でる
R.シュトラウス《ホルン協奏曲第2番》

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ラデク・バボラーク

吹奏楽人口の多いわが国では管楽器ファンも少なくないが、そうした聴衆たちから熱い視線を浴びているのがチェコ出身のホルン奏者、ラデク・バボラーク。彼は当代随一のホルン奏者といっても過言ではないスターである。安定した音程、まるでオペラ歌手のようななめらかなカンタービレ、そしてどんな至難なパッセージも物ともせず軽々吹いてしまう超絶技巧......。不世出の天才ホルン奏者といわれたあのデニス・ブレーンにも並び称される名手が、N響定期公演に久しぶりに登場するのが、Bプロである。共演する曲目はリヒャルト・シュトラウスの《ホルン協奏曲第2番》。新しさと心地よいロマンチシズムが共存する名作を現代の名手がどのように表現するか、楽しみである。Bプロでは、加えてシューベルト《交響曲第3番》、ベートーヴェン《「プロメテウスの創造物」序曲》、そしてハイドン《交響曲第102番》というラインナップで、古典派から初期ロマン派へと続くオーケストラの醍醐味(だいごみ)を楽しめることになる。

Cプロはパーヴォのルーツでもある
オール・シベリウス・プログラム

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オール・シベリウス・プログラムとなるCプロでは、男声合唱付きの《フィンランディア》にまずは注目である。美しい自然に囲まれたフィンランドへの賛歌であるこの曲は、情熱的な金管楽器の響きや緻密(ちみつ)な弦楽器のアンサンブルなど聴きどころ満載の名曲中の名曲。今回はエストニア国立男声合唱団を迎えての演奏だ。パーヴォの故国でもあるエストニアは合唱大国としても名高い。シベリウスが曲に込めた愛国心を男声合唱の深々とした美声を通じて、より実感できることだろう。ちなみにパーヴォはこのバージョンで既に録音もしており、練磨(れんま)された音楽づくりが期待できよう。後半はソプラノのヨハンナ・ルサネンとバリトンのヴィッレ・ルサネン姉弟が共演する《クレルヴォ》。民族叙事詩『カレワラ』にもとづくこの曲でも、男声合唱の厚みのある響きが筋書きに陰影をもたらす。ソロの叙情的な歌を通じて、主人公の青年クレルヴォと実は彼の妹である乙女との禁断の愛が起伏豊かに描かれた重厚な作品である。パーヴォならではの周到なドラマづくりを堪能(たんのう)したい。

[伊藤制子/音楽評論家]

放送予定

Aプロ 9月15日(土)午後6時00分〜8時15分
NHK-FM「N響演奏会」

【放送内容】
ヨハン・シュトラウスII世/喜歌劇「こうもり」序曲
ヨハン・シュトラウスII世/ワルツ「南国のばら」作品388
ヨハン・シュトラウスII世/ポルカ「クラップフェンの森で」作品336
ヨハン・シュトラウスII世/皇帝円舞曲 作品437
ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「うわごと」作品212
マーラー/交響曲 第4番 ト長調*

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ソプラノ:アンナ・ルチア・リヒター*

Cプロ 9月21日(金)午後7時00分〜9時10分
NHK-FM「ベストオブクラシック」

【放送内容】
シベリウス/「レンミンケイネンの歌」 作品31-1
シベリウス/「サンデルス」作品28
シベリウス/交響詩「フィンランディア」作品26(男声合唱付き)
シベリウス/「クレルヴォ」作品7*

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ソプラノ:ヨハンナ・ルサネン*
バリトン:ヴィッレ・ルサネン*
男声合唱:エストニア国立男声合唱団

Bプロ 9月26日(水)午後7時00分〜9時10分
NHK-FM「ベストオブクラシック」

【放送内容】
シューベルト/交響曲 第3番 ニ長調 D.200
R.シュトラウス/ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調*
ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
ハイドン/交響曲 第102番 変ロ長調 Hob.I‒102

指揮 : パーヴォ・ヤルヴィ
ホルン : ラデク・バボラーク*

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